パン好きはこの22,900円のトースターを買ったほうがいいと強く思った『バルミューダ ザ・トースター』

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今回紹介するのは『BALMUDA The Toaster』(バルミューダ ザ・トースター)
日本のメーカーが作った電熱式オーブントースターである。

先に値段を言うと、このオーブントースターは税抜き価格で22,900円する。市販のオーブントースターであれば、1500円くらいから始まって10000円程度の価格帯で収まる。そう考えると、お高めだ。

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けれども試食を含めた取材をしてみた今となっては、毎日パンを食べる人、パンが好きな人であれば、普通のオーブントースターとの差額分を埋められるだけの“満足感”がある商品ではないだろうか、と感じている。

『BALMUDA The Toaster』(以下バルミューダ ザ・トースター)が一体どんな製品なのか、試食レビューも含め、紹介していきたい。

いきなり試食レビュー

唐突だが、試食レビューから入りたい。
今回、通常のトースターで焼いたものと『バルミューダ ザ・トースター』で焼いたもの、それぞれを食べ比べた。試食した種類は、普通の食パン、チーズトースト、クロワッサン、バゲット(フランスパン)の4種類。後述するが、いずれも最適化された“専用のモード”で焼き上げている。

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・食パン
 普通のトースター:いつもの食パンだ。焦げないように気を遣って焼き上げてあるのでカリカリに仕上がっている。可もなく不可もなく、いつもの味。

 バルミューダ:触った感じよりも口に入れた瞬間に違いが大きくわかる。外側が薄めにしっかりとカリカリなのに対して、中が水分2割増しくらい?のふわふわとした柔らかさを保っている。確かに同じ食パンなのに、比べると甘味も強いのが驚き。表面と中のコントラストが明らかに強い。

・チーズトースト(食パンにチーズを載せただけのもの)
 普通のトースター:美味しい。パンにチーズを載せると美味しい、ということを改めて確認できる、いつもの味。美味しい。これ以上やると焦げる、というギリギリを目視しながら焼き上げ。フチはちょっと焦げ目。

 バルミューダ:まず、仕上がりの厚さが違う。かじった断面を見ると、普通のチーズトーストの倍は厚さを保っている。というか、普通のトースターのほうの厚みが、痩せてしまっていることに気付く。ふかふかした厚みを保ちながらも、表面はしっかりチーズの焦げ目。なのに、なのに、パンの耳は焦げずに適度に柔らかいのだ。チーズも同じものを使っているはずなのに、香ばしさの点で上回っている。

・クロワッサン
 普通のトースター:クロワッサンは温めると香ばしくなって美味しいが、どうしても上の方が焦げてしまう。温めた分の代償なので今まではさほど気にかけなかったが。表面含め、全体にサクッとした仕上がりに。

 バルミューダ:しっかり3分半焼いたのに、どこも焦げてない。サクッとした、表面に対して、中身はモチモチに仕上がっていて、口にするとやはり、普通のものよりも甘味を多めに感じた。焼きたてのクロワッサンを食べたことがあるが、印象は極めてそれに近い。

・バゲット(フランスパン)
 普通のトースター:焦げないように注意したけど、上の方はどうしても焦げ目が。表面はしっかり焼けてかなり熱い。フランスパンは他のものより硬く水分が少な目という性質上、焼くと焼いただけ表面も中身も硬くなる。そういったこともあって、個人的には進んで食する事は少ない。

 バルミューダ:やはり、全く焦げていない。そして、これまでのパンに共通して中身の柔らかさが、バゲットでも保たれていることが良く感じられた。クロワッサン同様、出来たて・焼きたてのフレッシュさがあるように思うし、フランスパンの味わい深さが良く引き出されているとも感じた。あと、こちらのほうの表面は、極度に熱くないのも特筆すべき点。

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いかがだろう。こういっては何だが、トースターだけでパンの味が変わるとは思っていなかったので、焼き直したパンでこんなに違いは出た事に驚きだ。本当に違った。一体、従来のオーブントースターと何が違うのだろうか。

スチームすること、完璧な温度制御

『バルミューダ ザ・トースター』の機能として二つの大きな特徴がある。まず、そのひとつに“スチーム機能”が挙げられる。
トースターの扉を開くと、トースター上面に吸水孔が用意されている。ここに小さな専用カップで5ccの水を注ぐことでスチーム機能の準備完了だ。
余談だが、スチーム機能に備わるパイプやカバーなどは衛生的なメンテナンスのために、取り外せるようになっている。

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もうひとつの特徴は“完璧な温度制御”。先ほどの試食に用いられた「トースト」「チーズトースト」「フランスパン」「クロワッサン」それぞれに、専用の焼き上げモードがプログラミングされているのだ。性質の違うそれぞれのパンに対し、表面を色づけつつも決して焦がさずふんわりと焼き上げるために温度制御がコンピューター制御されている。

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焼き上げ用のヒーター以外にもスチーム用のヒーターが隠されている。つまり合計3本のヒーターのON/OFFをしながら温度調節がなされているのだ。

『バルミューダ ザ・トースター』ではまず庫内に水分を行きわたらせるところからスタートする。庫内は保湿されパンの表面には水分が付着する。そこから温度管理された加熱が開始すると、水分が逃げることなく全体が温まる。ポイントは、「柔らかさと風味がよみがえる60℃」、「きつね色に変わりメイラード反応が起きる160℃」「焦げ目が付き始める220℃」の3つの温度帯だ。メイラード反応とは、加熱することでうま味成分が増加する現象。肉を焼いて色が変わったり玉ねぎを炒めたときに飴色になるのと同じ原理だ。メイラード反応により、数十のうまみ成分が百種以上になるという。

これら二つの特徴は、科学的な論拠と調整のたまものであろう。

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理想の外見は『魔女の宅急便』の「ニシンのパイのおばあちゃんちのかまど」

5月27日に発表された『バルミューダ ザ・トースター』の外見は、一見すると「オシャレなトースター」。非常にオーソドックスなスタイルとも言える。しかし、鋳物のようなマットな仕上げ、あえての小さな窓、直線と丸みのあるコーナーのバランスなど、デザイン的には“モダンクラシック”な要素を取り入れ、これまでのバルミューダ製品の特長である“モダン”なスタイルから離れたという。

「おいしいものが出てくる機械」として考えたときにモデルとなったのは、スタジオジブリ作品『魔女の宅急便』の「ニシンのパイのおばあちゃんちのかまど」なのだと、寺尾社長は語った。ヨーロピアンでクラシックで重みのあるアイテムとしてこのデザインに仕上がったそうだ。

ちなみに、焼き上がった時の電子音も非常に上品だと感じた。随所に気配りが見える。

開発1年余、焼いたパンは5000枚

『バルミューダ ザ・トースター』の開発のきっかけは、土砂降りの社内バーベキュー大会だという。その時に焼いた食パンの美味さという記憶を頼りに、試行錯誤が行われた。プロダクトデザイナーとして入社したマツフジ氏は、1年間パン焼きだけを行い、今ではパン焼きに秀でた「味のデザイナー」。マツフジ氏に限らず、社員全員が仮説と実験の繰り返しを行いながら『バルミューダ ザ・トースター』の開発にあたったという。

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寺尾社長は製品開発にあたり「性能機能よりも、使いやすさ、心地よさ」を重視していると語った。“良い体験”などの“五感で感じられるもの”は数値で表せない、とも語ったが、『バルミューダ ザ・トースター』はその数値化できないものをトライアンドエラーでデータを取り、製品化した例と言えそうだ。

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リーマンショック後に高価格ながら高性能な扇風機で急成長したバルミューダ、2015年のキーワードは「Hello kitchen!」。五感すべてを使う「食べる」という行為に対して、これからも“良い経験”を提供していきたいと語る寺尾社長の次の構想には、“コーヒー、ご飯、電子レンジ”といったものがあるようだ。

パン好きほど試してほしい

『バルミューダ ザ・トースター』は、焼きたてのパンを再現できる、パン好きのために開発されたトースターと言えるだろう。オーブントースター界のフラグシップとなりうる存在である点を考慮すると、価格も相応だろう。
とはいえ、気軽に購入できるものではないので、もし、試食など体験できる機会があれば試してみていただきたい。

『BALMUDA The Toaster/バルミューダ ザ・トースター』は、2015年6月中旬出荷予定。現在、バルミューダオンラインストアで先行予約を受け付け中。
二子玉川 蔦谷家電、ザ・コンランショップ(キッチン、丸の内)他、百貨店などでも順次先行予約を受け付ける予定だ。

バルミューダ公式ページではレシピページも公開されている。

BALMUDA The Toaster
http://www.balmuda.com/jp/toaster/

製品名:BALMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)
カラー:ブラック/ホワイト
価格:22,900円(税抜)

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オサダコウジ

慢性的に予備校生の出で立ち。 写真撮影、被写体(スチル・動画)、取材などできる限りなんでも体張る系。 アビリティ「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」 「寒い場所で耐える」「怖い場所で驚かされる」 好きなもの: 料理、昔ゲームの音、手作りアニメ、昭和、木の実、卵

TwitterID: wosa

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