ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

もはや夏の風物詩になったセルジオ・メンデスの陽気なステージ。今夜は華やかなサンバのリズムに乗って、楽しくステップを踏んで。

DATE:
  • ガジェット通信を≫

今年もやって来ました、この時期が――。

 セルメーーーーーーーーーーーーーーーン!…と、原稿も最初からハジケ気味ですが(笑)、彼のライヴを観ないと夏が来るような気がしないと豪語している人も多い、もはや夏の風物詩の1つになったと言っても過言でないセルジオ・メンデスのステージ。今回もイキのいいメンバーを従えて、すでに70代半ばの彼が飛びっきり楽しいブラジリアン・ミュージックを聴かせてくれる。ステージはもう真夏。今夜はアロハ・シャツを着て、夏を先取りしようと前のめりで会場に足を運んだ。

 セルジオ・メンデスといえば、1950年代から音楽活動を行っているブラジル音楽界のドンであり“リヴィング・レジェンド”。「マシュ・ケ・ナダ」などを筆頭に、とことん陽気な音楽を思う存分聴かせてくれる、サービス精神旺盛なミュージシャンなのだ。
バックを務めるメンバーも3人のコーラスを含む8人の大所帯。今が旬の人たちを揃え、まるで“セルメン音楽学校”のような趣。常に新しい血を入れて、自らの音楽自体をアップデートさせているのだから、凄いとしか言いようがない。

 しかし、彼のルーツはヴィラ・ロボスのような古いブラジル音楽やサンバはもちろん、50年代に影響を受けたジャズやボサノーヴァであり、65年に活動拠点をブラジルのリオ・デジャネイロからアメリカに移してからは、ヒットチャートの常連になったりもした。また、ビートルズのナンバーをボサノーヴァ風にアレンジしてヒットさせたり、さまざまなポップスの要素を積極的に取り入れたりして、確かなテクニックに裏打ちされた実にハイブリッドなブラジリアン・ミュージックを提示し続けてきた。だから、セルメンの音楽は、いつ聴いても新鮮、いつ聴いても新しい。

 近年はスティーヴィー・ワンダーと共演したり、ラップやヒップホップの要素を取り入れてブラック・アイド・ピースやウィル・アイ・アム、さらにはジル・スコットらともコラボし、音楽シーンの最前線で存在感をアピールしてきた。そんなセルジオ・メンデスの今年のライブ、これは絶対に見逃せないと言っても過言ではないだろう。

 2014年にサッカーのワールド・カップ・ブラジル大会に合わせてリリースされたアルバムで披露した明るく華やかなサンバのリズムが会場全体に響き渡り、もうブラジル一色に染め上げられていくような感覚。これは、他のブラジル音楽を奏でるミュージシャンでも味わえない素晴らしい高揚感だ。また、ブラジリアン・ファンクと表現してもいいような、太くて弾むリズムで演奏される楽曲の数々は、オーディエンスの腰を直撃し、誰もが立ち上がってステップを踏みたくなる。とにかくカラッとした音とメロディ、そして楽しさをメンバー全員で表現しているかのようなステージングは、聴き手を音の波の中に飲み込み、ストレスもフラストレーションも全部、解き放ってくれる。

 そろそろ、ジメジメした梅雨が間近に迫ったこの時期、セルメンのライブで精神をリフレッシュさせておくのが、元気に真夏を迎えられる処方箋だ。僕は、今夜はあまりの楽しさに、我を忘れて踊りまくってしまった。それほど強力な吸引力を持つセルジオ・メンデスの演奏、そしてステージング。

 さぁ、じっとしていたら損するだけ。東京は27日と28日、大阪は30日にライブが予定されている。今週は、梅雨を乗り切る“切り札”としてセルメンのライブを体験することをお勧めする。これは確実に効く“特効薬”だから。

Text:安斎明定(あんざい・あきさだ) 編集者/ライター
東京生まれ、東京育ちの音楽フリーク。今年もやって来ました、ワインにもこの時期が。6月から夏季限定で出荷されるトスカーナの白ワイン、カプスーラ・ヴィオラが超オススメ! アルコール度も低いので昼間からガブガブ飲める。すぐに売り切れちゃうから、注意してね。

Photo: Yuma Totsuka

◎セルジオ・メンデス公演情報
ビルボードライブ東京
2015年5月26日(火)~28日(木)

ビルボードライブ大阪

関連記事リンク(外部サイト)

<Light Mellow Searches> Special Feature -AOR now and then-
デヴィッド・ボウイ、1999年のアルバム『’Hours…’』が初のアナログ化
ストーンズがアメリカ・ツアーをスタート! 6/10再発の『スティッキー・フィンガーズ』からも4曲演奏

Billboard JAPANの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP