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オランダが「パートタイマー大国」の理由 時給・社会保険・雇用期間・昇進等がフルタイム労働者と格差なし

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オランダという国に、どんなイメージをお持ちですか? 英エコノミストの記事によると、住みやすさランキングで上位の常連、ユニセフの調査では「子どもが世界で一番幸せな国」とされているそうです。

そして、この国にはパートタイムで働く人が非常に多いのです。EU加盟国の平均が男性8.7%、女性32.2%であるのに対し、オランダでは男性が26.8%、女性は76.6%に上ります。女性に限れば、労働者の4分の3超がパートタイマーであり、フルタイムで働く人の方が珍しい状況です。

日本でも最近パートで働く人が増えたと言われますが、2011年時点の調査結果で男性13.8%、女性45.9%ですから、これと比較してもかなり高い数値であることが分かります。(文:遠藤由香里)
フルタイム労働者と同等に扱うよう政府が働きかけ

なぜオランダでは、パートタイムで働く女性が多いのでしょうか? 歴史を振り返ると、この国では女性が労働市場に現れたのが比較的遅かったそうです。これは英国や米国と比べて第二次世界大戦に出兵した男性が少なく、働きに出る女性が少なかった影響によるとのこと。

また、国全体が豊かで共働きをする必要がなかったことや、1980年代までの政策がキリスト教的価値観に影響されていて国からの手厚い保障があったことで、母親は働きに出ず家で子どもと過ごすことができました。

しかし80年代後半から、女性を労働力として活用しようとする政府の政策が始まります。とはいえ「母親は家にいるべき」という世間の考え方はすぐには変わらないもの。そこで政府はパートタイマーをフルタイム労働者と同等に扱うよう事業者に働きかけました。

記事には「同等」について詳しい記述がありませんが、平成15(2003)年版の「国民生活白書」には、次のような解説がありました。

「フルタイム労働者とパートタイム労働者との間で、時間当たりの賃金、社会保険制度への加入、雇用期間、昇進等の労働条件に格差をつけることを禁じ、両者を労働時間数に比例して平等に扱うこととした」(「オランダ パートタイム労働者の均等待遇」より)

このことでパートタイマーの地位が上がり、女性が働きやすい環境ができたことで、女性の労働参加率は向上し、パートタイマーが増加したとされています。

2000年になると、男女とも労働時間を調整する権利を持つ旨が法律に明記され、フルタイムからパートタイムに、パートタイムからフルタイムにと、ライフスタイルに合わせた変更がしやすくなりました。
今のままで満足。「フルタイム希望」は4人に1人しかいない

オランダではフルタイムになりたいと望むパートタイマーは25%。金融危機前の10%よりは増加しているもの、他のEU諸国より低い数値。いまの働き方に満足している人が多いといえるかもしれません。

チルバーグ大学の労働経済学者ロナルド・デッカー氏は、法律はすでに各社で行われていることを明文化したものに過ぎないと指摘しますが、一方でパートタイムの求人の増加は、ハイレベルの仕事をする「一流」パートタイムワーカーの供給を増やすだろうと期待を示しています。

日本を含む他国では、パートタイムの仕事は「二流」と思われがちですが、オランダの場合はそうではないようです。

一方で課題もあります。オランダは女性の労働率こそ高いものの、経営に関与する女性はまだ少数派。統計調査会社CBSは、パートタイマーの多さが影響していると指摘します。政府は2016年までに経営幹部の女性比率を30%まで伸ばすことを目指していますが、現在は6%に過ぎず、見通しは厳しいようです。
日本の女性が管理職を目指せない理由は「家庭との両立が困難」

先日公表された調査結果によると、日本の女性正社員のうち管理職を望む人は12.9%にとどまっているそうです。管理職を望まない理由には「家庭との両立が困難」が多いとありました。日本企業は効率を重視し、少数の正社員や管理職に過剰な負担を求めるからでしょう。

近年、多様な働き方を推進する取組みにおいて、オランダのパートタイム勤務はしばしばワークシェアリングの好例として紹介されています。海外の良いところは取り入れつつ、課題も含めて検討する必要があるかもしれません。

(出典)Why so many Dutch people work part time (The Economist)

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