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【不遇の名作】ウルトラマンネクサスって知ってる?

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「ウルトラマンネクサス」というウルトラマンを知っているだろうか。今から約10年前、2004年10月から3クールにわたってTBS系で放送されたシリーズだ。通常ウルトラマンは4クール(1年間)放送されるのだが、様々な理由から途中で打ち切りが決まった作品だ。物語は37話で完結している。
これまでのシリーズとは全く違う路線で、異常なほどシリアスな物語で構成。敵もグロテスクな造形のものが多く、全編重苦しいストーリーで描かれている。これが毎週土曜の朝7時という時間帯のため、当時の子供たちがテレビから離れてしまった。しかし一部のマニアたちの間では非常に高評価を得ている作品である。
こんなことを書いている私も最初は、ただなんとなくという理由からこの作品は食わず嫌いをしていた。しかしネットで第一話の動画を見たことで、これまでにない衝撃に圧倒された。そのままの勢いで2万円くらいするDVDボックスを購入した。
まず、このシリーズは主人公が変身をしない。ネタバレをしてしまうと、最終回で最後に一度だけ変身することになる。今回、ウルトラマンとして変身をするのは、第三者の人間であり、その人間も数人いる。これまでの作品には無かった斬新な設定であり、数年後に放送されたアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」でも、これと似ている世界観が描かれている。
そしてこの主人公が所属している防衛チームも、この物語の独特の世界観を作り上げている。通常、防衛チームやビースト(この作品では怪獣をビーストと呼称する)など、非現実的なものは一般的に認知されている存在だった。しかしこのシリーズでは完全に隠蔽されている。
防衛チームの存在は「国家機密」とされ、その存在は国の一部の人間しか知らない。ここが面白いところで、地球の平和を守っている存在がトップシークレットとして扱われ、一般市民たちは物語終盤まで、地球にピンチが迫っていることすら全く気が付いていない。ビーストが現れたとしても、その存在が一般市民に知られてしまう前に撃退、隠密に任務を遂行することが、今回の防衛チームのミッションである。
自分たちに与えられた職務を遂行するのか、人間としての答えを出すのが正解なのか、葛藤に苦しみながら生きていく主人公。他のメンバーも同様のため、防衛チームとは思えないくらいギスギスした人間関係で物語が進行する。地球の平和(国家機密)のためなら、多少の犠牲はいとわず、それがウルトラマンであってもミサイルで攻撃する。この難解なストーリーが当時の子供たちには早すぎ、朝の早い時間帯に見るには内容が重すぎたようだ。
しかも今回のチームはやたら強く、ウルトラマンと同様の威力を持つ兵器で、普通にビーストを一撃で倒したりする。これまでのシリーズの定番であった、怪獣が出現→防衛チームやられる→ウルトラマンが怪獣を倒すという一連の流れが完全に払拭されている。前作のコスモスと次作のマックスではこのお決まりの展開なのに、このネクサスだけは色んな部分で新しい挑戦をしているシリーズである。
これらを国家機密として扱う理由も、物語の終盤で全て明らかになるのだが、これまでのシリーズとは一線を画するクライマックスを迎えることになる。そしてもう一つの大きなネタバレもがるのだが、あまりにも斬新すぎる展開に驚愕することになる。
そしてこの「ネクサス」という名前も途中まで全く登場せず、主役は「ウルトラマン」と呼称され続ける。そして迎える最終回、主人公がこれまでの物語を総括するかのように「ネクサス」と言い放ち、最後の宿敵との戦いに挑んでいく。このとき初めてこの物語が「ウルトラマンネクサス」として一本につながることになる。制作費の削減、関連グッズ不調、打ち切りなど様々な壁を乗り越え、物語のクライマックスはウルトラファンにとって最高の形で幕を下ろすことになる。
これは「ウルトラマン」という先入観を一切捨て、別の作品と思って見て欲しい。最初は所詮いつもの特撮だろという軽い気持ちで第一話を見始め、30分経った頃にはもう気持ちは第二話の冒頭で準備している自分に気が付くだろう。ウルトラシリーズの中でも陽の当たらない作品ではあるが、その非常に奥深く作り込まれた物語に魅了される。当時はその内容から受け入れてもらえず、不遇のウルトラマンとして埋もれてしまった作品だが、いつか深夜枠とかで再放送となれば、異色のウルトラマンが始まったと話題沸騰に違いない。現代の大人が見て本気で楽しめる作品、それが「ウルトラマンネクサス」だ。

(Written by 山岸悠也)

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