大阪都構想 最後の審判の行方
【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】
いよいよ5月17日だ。大阪都構想に関する賛否を問う住民投票が行われる。事前の報道によれば、反対票が優勢であるが、はたしてどうなるだろうか。
地方行政の観点からみれば、人口270万人の大阪市が基礎的自治体としての適正規模を超えているのは、どのような方法で計算しても明らかなので、もう少し小ぶりの基礎的自治体に再建する、つまり、基礎的自治体として今の大阪市の代わりに、今の24の行政区を5つの特別区に統合するという大阪都構想の方向は正しい。
もっとも社会科学として正しいこと(自由貿易など)が、民主主義で行われないこともしばしばなので、その意味で、17日の住民投票でどのような民意が示されるかはきわめて興味深い。
政治的な立ち位置をいえば、維新の会だけが賛成で、自民・共産・民主が反対となっている。公明党の支持母体である創価学会は自主投票である。
先般の統一地方選での大阪市議会議員選挙の各党の得票率は、維新の会37.0%、公明党18.9%、自民党19.6%、共産党14.6%、民主党4.2%、その他5.7%だった。
維新の会と自民・共産・民主の勢力はほぼ拮抗している。要するに、公明の票がどうなるかで、勝敗は決まる。これまでの報道では、表向き公明党は反対だったので、反対が優勢なのだが、はたしてどうなるのだろうか。
大阪都構想が否決されると、現状維持になる。反対は、自民・共産・民主の相乗りなので、新しい案が出てくることはまずない。となると、これまでの体制のまま、将来の大阪はどうなるのだろうか。
東京都、大阪府、愛知県の県民総生産(名目)の推移を1960年から見てみよう。
表作成:政策工房
日本経済全体のマクロ政策に地方経済もだいたい連動する。しかし、動きはまったく同じではなく、地方によって差が出る。その差が長期にわたって継続する場合には地方政府の巧拙の差であろう。現状維持であえば、この差はこれからも続くと思ったほうがいい。
霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!
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