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院内集会・問題だらけの『刑事訴訟法改正案』 なぜ冤罪被害者は、反対するのか(音楽家・作家 八木啓代)

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今回は八木啓代さんのブログ『八木啓代のひとりごと』からご寄稿いただきました。
※この記事は2015年04月28日に書かれたものです。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/939385をごらんください。

院内集会・問題だらけの『刑事訴訟法改正案』 なぜ冤罪被害者は、反対するのか(音楽家・作家 八木啓代)

少し遅くなったが、4月22日に衆議院第二議員会館で、「問題だらけの『刑事訴訟法改正案』 なぜ冤罪被害者は、反対するのか」が開催された。簡略にそのレポートをお届けする。

まず、小池振一郎弁護士から基調報告があった。
今年の3月に国会提出された「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」が、マスコミ報道では「取調べ可視化義務付け法案」と報道されているが、実態はそれとはほど遠いものであること。

すなわち、法案の内容では、「例外事由」が定められており、「被疑者の言動により、記録をしたならば、被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき」「被疑者、親族を困惑させる行為がなされる恐れがあることにより、記録をしたならば、被疑者が十分な供述をすることができないと認めるとき」となっている。
すなわち、捜査側の裁量で、可視化をしなくても良いということだ。
そもそも「義務づけ」でもなんでもない。

しかも、これでは「全面可視化」ではなくて「部分可視化」で良いということになってしまう。
しかし、部分可視化であれば、これまでも行われており、さらに、部分可視化は、袴田事件、八海事件、足利事件などで見られるように、かえって冤罪を生む可能性がある。
しかし、取調べの開始から終了までの全課程可視化が見送られてしまったため、「都合の良いところだけ」を録音録画することが可能になってしまった。

そして証拠開示。
いままで、検察や警察は、証拠開示義務を負わなかったため、自分たちに都合の悪い、すなわち、被疑者にとって有利な証拠を開示しなくても良かった。それどころか弁護側は、そのような証拠があったとしても知ることすらできなかった。
そこで、証拠の全面開示の義務化が待たれていたわけだが、ここにも例外規定が設けられた。
「犯罪の捜査に支障を生ずるおそれ」があるときは、証拠を記載しなくても良いというのである。
これは、とんでもない抜け穴であって、証拠開示を骨抜きにされたも同然だ。警察・検察は税金で運営されているのだから、証拠は国民の共有財産だというのに。


(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2015/04/0422.jpg

さらに、盗聴法の大改悪。
いままでは通信傍受法(盗聴法)は、組織犯罪、とりわけ組織的殺人、銃器、薬物、集団密航犯罪の4類型に限定されてきたが、ここに対象を拡大して、個人的な一般犯罪も対象となった。
要するに「数人の共謀」「役割の分担」「人の結合体」があればいいということになってしまうので、2人でも、複数犯なら組織と見なして、電話でもメールでも盗聴できることになってしまう。
しかも、現行法では立会人を常時立ち会わせなくてはならないのに、法案では通信事業者職員の立ち会いが不要になり、全国の県警本部で盗聴可能になる。
この盗聴の合法化によって、別件盗聴も可能になる。

海外では第三者委員会など、盗聴記録をチェックする機関があったり、弁護人に記録が全面開示されているわけだが、日本ではノーチェックで盗聴をやりたい放題になるというわけだ。

これだけでもトンでもない話だが、さらに報告者が郷原信郎弁護士に移って、「司法取引」制度の導入に警鐘が鳴らされた。
郷原弁護士が手がけて無罪判決を勝ち取ったばかりの藤井美濃加茂市長の贈賄事件では、ヤミ「司法取引」の疑いがあった。
すなわち、10の金融機関から4億円を超える融資詐欺が存在していたにもかかわらず、検察はわずか2件2100万円のみを立件・起訴し、その融資詐欺の捜査が終了する前に「藤井市長に対して賄賂を供与した」という内容の「自白」が行われたわけだ、
明らかに、起訴を軽くするための自白としか考えられないことは判決でも指摘されている。

司法取引が認められていない現在であっても、このような事実上の司法取引が行われているのであれば、司法取引が合法化されてしまえば、日本の場合、冤罪の温床となってしまう可能性がある。

そして、袴田巌さんの姉、袴田秀子さんから、袴田さんが精神的に不安定で来られなかったこと、そして、袴田氏弁護団の小川秀世弁護士から、警察・検察の取調べがいかにひどいもので、かつ、多くの証拠が隠されていたのかが訴えられた。
さらに、冤罪事件当事者として、「それでもボクはやってない」のモデルの一人である西武新宿線痴漢冤罪無罪確定の矢田部考司氏は、「どれほど『やってない』と言っても調書に書いてくれません」と痴漢事件であっても可視化の必要性を訴え、布川事件再審無罪確定の桜井昌司さんも「私を国会に呼べ」と熱く、日本の司法制度のひどさを訴えられた。

執筆: この記事は八木啓代さんのブログ『八木啓代のひとりごと』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2015年04月30日時点のものです。

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