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気になる三つの特別会計

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【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】
 

 予算時期なので、三つの特別会計を紹介しよう。
 まず、国債整理基金特別会計。一般会計又は特別会計からの繰入資金等を財源として公債、借入金等の償還及び利子等の支払いを行う経理を一般会計と区分するために設置された特別会計である。定率繰入れ等の形で一般会計から資金を繰り入れ、普通国債等の将来の償還財源として備える「減債基金」の役割もある。この「減債基金」は、先進国で日本しかない。他の先進国では昔はあったが、公債市場が大きくなって整備されると償還財源はその都度借換債で調達するので、「減債基金」はなくなった。そういえば、民間会社で社債の「減債基金」もない。将来の借金償還のために、さらに借金をする必要がないわけだ。
 この観点から見ると、2015年度予算の11.6兆円の定率繰入は過大な計上であり、不要である。また、利払費が9.7兆円ある。しかし、この積算金利は1.8%と過大だ。おそらく2兆円くらいは過大計上だろう。
 次に労働保険特別会計。労災保険と雇用保険を経理するために設置された特別会計である。労災保険は、業務上の事由等による労働者の負傷等に対して迅速かつ公正な保護をするための保険給付及び被災労働者の社会復帰の促進等を図るための社会復帰促進等事業を行うもの、雇用保険は、労働者の失業中の生活の安定、再就職の促進等を図るための失業等給付及び雇用機会の増大等を図るための雇用保険二事業を行うものである。
 2013年度の労働保険特別会計財務書類をみると、雇用勘定のバランスシートで7.1兆円の資産負債差額がある。いわゆる埋蔵金である。これは、高めの雇用保険料にもかかわらず失業保険給付が少ないために生じたものである。国民に還元すべきであろう。
 最後に、外国為替資金特別会計。政府が行う外国為替等の売買に関し、その円滑かつ機動的な運営を確保するため外国為替資金が設置されるとともに、その運営に伴って生じる外国為替等の売買、運用収入等の状況が区分経理するために設置された特別会計である。
 外為資金として127.9兆円(2013.3末)。このうち外貨債権は103兆円(証券は99.5兆円、貸付3.5兆円)である。ちなみに、外貨証券の満期は1年以下1割、1年超5年以下6割、5年超3割)となっている。一方、外貨負債はない。ということは、円安は資産を膨らませるだけであり、政府財政にとっては確実にプラスである。ざっくりみると、外為資金での円安による評価益は20兆円程度ありそうである。
 かつて、「母屋(一般会計)ではおかゆで、離れ(特別会計)ではすきやき」といわれたことがある。これは今でも妥当しているようだ。  

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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