猫好き必見! 猫本だけを集めた猫本専門書店の本

猫好き必見! 猫本だけを集めた猫本専門書店の本

 ネコ、ねこ、猫…。気まぐれで美しく、時に意地悪な猫は、人間を魅了してやみません。愛らしい小動物に取り憑かれた芸術家や作家は数知れず。夏目漱石の『吾輩は猫である』、金井美恵子の『タマや』、コレットの『牝猫』など、多くの作家が愛を込めて猫についての物語を紡いできました。

 そして、また一人、猫に魅了されたある女性が、ついに日本初の“猫本屋”を開いてしまいました。2013年の2月22日、通称“猫の日”に、猫の本だけを扱うインターネット書店「書肆 吾輩堂」が開店したのです。猫を主人公として登場する小説、猫について綴られた随筆、猫が被写体となった写真集などの猫本を古本・新本問わずに集めたインターネット販売店です。

 『猫本屋はじめました』(大久保京/著、洋泉社/刊)は、「吾輩堂」の店主・大久保さんのエッセイ。大久保さんが吾輩堂を開店させるまでの経緯、猫好き作家たちとの対談、猫本15選などが収められた、猫好き必見の一冊です。

■「わだば猫本屋になる」!
 幼少期から猫が好きだった大久保さん。しかし、猫嫌いな家族に猫を飼うことを禁止されてしまいます。猫を何回も拾って持ち帰ったものの、その度に直ちに捨てられてしまったそうです。可愛い鳴き声と柔らかな毛への憧れを捨てられない大久保さんは、成人して念願の猫飼いを始めました。すると猫への偏愛は強くなる一方で、自分の愛猫を雑誌に投稿しまくり、多くの猫関連書籍を集めるようになりました。
 大久保さんの「猫に関する本だけを集めた本屋があればいいのに」という思いは年々強くなり、やがて「猫本屋がないなら自分でやろう」という思いを抱くようになりました。実際に決意してからは、起業塾に通い、古書組合に加入し、ヒアリング調査に乗り出し…。「猫に関する書籍のみ」を扱うという、超ニッチなビジネスゆえに多くの人から心配されましたが、大久保さんは「わだば猫本屋になる」という強い思いでホームページ開設や在庫集めに励んだといいます。
 本の表紙にもなっているお店のシンボルマークには、浮世絵画家・歌川国芳の猫を素案に採用。開業までには約20年という長い年月を待たねばなりませんでしたが、「吾輩堂」は猫を媒介として人々の心を繋ぐ「ネコミュニケーション」の場として人気を集めています。

■「猫を美術館に
 歌川国芳が「猫狂い」として多くの猫を描いたことは有名ですが、現在にも国芳のエッセンスを受け継ぎ、ユーモア溢れる猫を描いているアーティストに横尾忠則さんがいます。本書に収められた、横尾さんと大久保さんの対談では、「媚びない猫は、その一点だけでアーティスト」という横尾さんの「猫観」を伺うことが出来ます。猫好きの横尾さんはネズミ対峙のために猫を“雇っている”ロシアのエルミタージュ美術館を見習って、神戸の「横尾忠則現代美術館」でも猫を飼おうとしたほど。「猫が作品を破いたら大変」と学芸員に却下されてしまいまったそうですが、「前例を壊すのが美術」という横尾さんはいつか「猫のいる美術館」を作ってくれるかもしれません。

 本書では、金井美恵子さん・久美子さん姉妹、桜井美穂子さんという文学・美術を代表する猫好きの面々による座談会も収録されています。猫好き、本好きの方には垂涎の一冊。ぜひお手にとってみてはいかがでしょうか。猫への愛情が増すこと間違いなしです。
(新刊JP 編集部)


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