山口俊一・内閣府特命担当大臣閣議後会見 「TPPは知財・クールジャパン戦略に大きな影響がある」(2015年3月3日)
2015年3月3日9時15分頃より中央合同庁舎第8号館で開かれた山口俊一内閣府特命担当大臣の記者会見で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉と著作権関連の質問をすることができました。ここではその部分を抜粋して紹介します。
※詳細な大臣発言・質問・議事録は、内閣府ホームページにてご確認下さい。
知財政策、TPP交渉における著作権関連の質問(抜粋)
ーー改めてお聞きする形になってしまうと思うのですけれど、知財戦略と情報通信技術戦略とクールジャパン戦略、これらは密接に絡んでいるかと思うのですけれど、これらが大臣の中でどういう位置づけなのか、お伺いしたいと思います。
山口大臣:それぞれおっしゃる通りで、関連することもあると思っておりますし、同時に安倍内閣の一番大きな課題というのはやっぱり経済再生、デフレ脱却ということにあるのだろうと。そして特に先般の委員会等でもご指摘頂いたのは「三本目の矢」ですね。持続的な経済成長に向けての民間の動きが弱いじゃないか等々というご指摘。これに対してもやはりクールジャパンであり、あるいは科学技術であり、あるいは知財の問題であり、非常に大きな役割を果たしていくのであろう。そういう認識を持っています。
とりわけ地方創生にも密に関連しているので、私の方でITも地方創生に資するようなITってどんなものがあるのですか、ということで再度はじめました。クールジャパンもこれまで以上に地方版というものを取り入れながら、地方のさまざまな物産等々をしっかり世界に発信していくことで活性化を図っていきたい。そこらへん非常に関係がありますので、できるだけ有機的に進めていきたいと考えています。
ーーすいません、広い意味で関連すると思うのですけれども。現在TPP交渉で著作権保護期間70年への延長であったり、非申告化であったり、そういった方向で進んでいると一部で報じられています。今おっしゃられた知財関連、クールジャパン関連にも影響があると思うんですけれども、こちらの大臣のお考えをお聞かせ頂ければと思います。
山口大臣:おっしゃる通り、大きな影響があるのだろうと思っています。ただ、私としてはTPP交渉がどこまで、どういった形で進んでいるのかというのは、詳細わかりませんので、担当大臣の甘利大臣の方には、やはり知財の方も影響しますよ、と。我が国にとって大きな問題ですね、というお話はしてみようと思います。
ーーその交渉が進んでいる状況などが外から見ているとまったく見えない状況で、特に著作権関係で影響を心配する声が高まっていますけれども、そちらの方もどういうお考えかお聞かせ頂ければと思います。
山口大臣:これも同じことなんですよね。マスコミ報道等でしか承知はしていませんが、知財にしても基本的に我が国のルールというのはひとつ堅持しながら進めておるような捉え方はしています。ただ、これまでいろいろあって、私も党でそういう担当しておったのですが、ミッキーマウスでも、いざ切れそうになればアメリカサイドが「伸ばして下さい」と来るわけですよ。これは本当に国家戦略に関わる大事な話なので、しっかり対応していきたいと考えています。
著作権保護期間延長に関して言及
現在交渉中のTPPの知的財産条項案では、著作権保護期間が公開や作者の死後から50年後(映画は公開後70年)のものが、アメリカなどに合わせて原則70年後になり、侵害があった場合に第三者でも公訴できるようになる非親告罪化される方向で交渉が進んでいると報道されており、ネット上でも慎重な対応を求める声が高まっています。
そんな中、山口大臣に質問したところ、交渉の内容はわからないとしながら、経済財政政策担当の甘利明大臣に知財政策への影響についても申し入れる旨の発言がありました。また、ミッキーマウスを例に出して、著作権保護期間の延長を図るアメリカとの利害に触れています。今後の交渉へのアプローチに注意が必要です。
なお、この日はクールジャパン関連の海外見本市や展示会で、統一感を持たせるための「ジャパンマーク」の基本型が発表されています。観光庁が策定したロゴマークをベースに、ジャパンブランドの形成、発信を図っていくとのこと。今後は目にする機会が増えそうです。
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
ウェブサイト: https://note.com/parsleymood
TwitterID: ryofujii_gn
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。