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民主党の呆れた反対討論

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【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】

 参院は25日午前の本会議で、早稲田大学・政治経済学術院特任教授の原田泰氏を起用する政府の同意人事案を賛成多数で可決した。
 民主党は反対したが、その考え方は大久保議員が行った反対討議によく出ている。大久保氏の個人の意見というか、今の民主党の見解を表していると思うので、民主党の政策をみる上で、重要なものだ(http://www.dpj.or.jp/article/106253 ) 。
 大久保氏の反対討論は、3つの反対理由をあげている。これらの反対理由が妥当かどうか、きちんと検証しておこう。
 1点目は、原田氏が「日銀が国債を買えば政府債務を減らすことができる」と主張している点だ。大久保氏は「政府と日銀の統合バランスシートで見れば、日銀が国債を全部買えば、政府債務は日銀の資産だから、連結すれば相殺される。しかし日銀の負債、すなわち日銀券と準備預金という民間資産は相殺されない」と反論した。この大久保氏の反論をみると、連結すれば相殺されるといっている。これは原田氏の意見と同じだ。原田氏は、経済学の統合政府という政府と日銀を連結させたバランスシートで見たときの話をしているだけだ。なぜ連結ベースのバランスシートを見るかというと、日銀が政府の子会社だからだ。通常の企業会計でみると、日銀は政府の連結対象である。この点、大久保氏は、日銀の負債を民間と書いているが、政府の連結バランスシートをみるのだから、単純に民間とみてはいけない。
 第二、原田氏が「日銀は国債を、コストをかけずにただで買っている。10兆円分の国債を購入して、仮に2割損しても、もうけは8兆円ある」といったことだ。大久保氏は、「複式簿記で日銀の会計処理を行えば、そのような打ち出の小槌的手法が不可能ことは、明白です。」と反論した。原田氏の発言の元は、筆者が10年以上前に著書(岩田規久男編「まずデフレをとめよ」 http://www.amazon.co.jp/dp/4532355648/ )で書いたことなので、筆者から大久保氏の反論が誤っていることを言おう。
 まず、大久保氏は通貨発行益の本質を知らないようだ。通貨発行益はほぼ通貨発行額になる。原田氏が言ったのは、国債買い入れで通貨発行益が出る場合、通貨発行益は国債購入金額と同じなので、その一部で損失が出ても、まだ益が残ると言うことである。大久保氏は、日銀の通貨発行益は、購入した国債の金利収入相当だという財務省・日銀の説明を鵜呑みにして、2割の損失を金利収入ではまかなえないとして反論したはずだ。ところが、筆者の前掲書を見れば、毎年の国債金利収入の現在価値の総和は通貨発行額になると証明している。要するに、大久保氏の反論は1年だけを見ているだけで、複数年で考えると原田氏の意見は正しいことを見落としてしまったのだ。
 最後に、原田氏の「貸し出しをせず国債ばかりもっている銀行は、日本経済のためには役に立っていない銀行である。そのような銀行が破綻しても日本経済になんのマイナスにもならない。むしろ、このような銀行が破綻することこそが最大の構造改革である」という主張だ。大久保氏は金融機構局の運営や金融システム安定に大きな障害をもたらすと反対した。
 原田氏は、デフレ社会にしか対応できない金融機関は社会的な貢献がないという趣旨だろう。大久保氏は、デフレ社会こそがノーマルであると言いたいようで、政策論として違和感がある。大久保氏は、いわゆる「債券村」の意見を代弁しているだけではないだろうか。「債券村」の意見は、しばしばデフレ指向で、一般社会と逆なので、良く注意しなければいけない。(http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150226/dms1502260830004-n1.htm

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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