空き家の固定資産税が6倍に?顕在化する不動産リスク

空き家の固定資産税が6倍に?顕在化する不動産リスク

2月に「空き家対策特別措置法」が施行

不動産は株以上にリスクの高い資産で、常に空き家の可能性が付きまといます。しかし、空き家には固定資産税の減免があり、そのまま放置している人が増加したことで、近年は空き家の急増が社会問題にまで発展しました。

これらの不動産の流動化を図るため、「空き家対策特別措置法」が2015年(平成27年)2月28日から施行されます。

措置法が適用される「特定空き家等」の条件

この措置法が施行されれば、一部の空き家は住宅用地の特例措置が受けられなくなり、固定資産税が本税の適用になります。滋賀県長浜市のホームページから引用すれば、本税が適用される「特定空き家等」とは、下記の事項に該当する不動産を指すとしています。

1.倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理を行われないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

そのため、相続や転居などで長く放置されている空き家などが対象となります。この「特定空き家等」に該当すれば、勧告命令や指導・助言、さらに要件が緩和された行政代執行の方法により強制執行が可能となります。

従来まで、空き家は固定資産税の評価額が6分の1となる措置を受けてきました。しかし、この適用を受けられなくなれば、現在、支払っている固定資産税は6倍に跳ね上がります。元々居住している住宅のための減免措置であったものを本税に戻すだけのことですが、これまで放置してきた空き家を確実に処理することが求められているのです。

売り急ぎの拡大で、不動産価格下落が予想される

総務省統計局のデータによれば、全国の総住宅数は6,063万戸で、5年前に比べて305万戸(5.3%)増加。そのうち、空き家数は820万戸と、5年前に比べて63万戸(8.3%)も増加しています。 空き家率(総住宅数に占める割合)は、過去最高を記録しました。

そんな現状を踏まえ、固定資産税が6倍になる影響を考えてみましょう。これまでは安い固定資産税を支払ってきた人、例えば四半期に2万円の固定資産税であれば、「2万円×4回×6倍=68万円」になります。これにより、全国で空き家が建っている土地の売却が進めば、売り急ぎの拡大で、不動産価格は下落していくと予想できます。このように、土地と建物を保有するリスクは、突然、顕在化します。仮に「特定空き家等」に該当する空き家を持っている人は、早めの処分を検討した方が良いでしょう。

(吉野 充巨/ファイナンシャルプランナー)

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