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事務所が9割のところも!? 芸能人のギャラ配分とお金の事情

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 出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!
 第66回の今回は、公認会計士でありながら作家としてベストセラーを連発、ビジネス書から小説まで幅広い作品を執筆し支持を集めている山田真哉さんです。
 山田さんは現在、日本最大級の芸能界専門会計事務所である一般財団法人芸能文化会計財団で理事長をつとめています。芸能人や作家たちの「お金」事情はどうなっているのか…?誰もが気になるところを小説にしたのが、新作『あいるさん、これは経費ですか?』(KADOKAWA/刊)です。
 超人気アイドルグループの元センターがひた隠しにする真実とは? タレントと事務所がお金でもめるのはどういうとき? 芸能人の裏側をえぐる衝撃の作品についてお話をうかがいました。前編では、書籍の話を中心に芸能界のお金のお話についてうかがった。
(新刊JP編集部/金井元貴)

■事務所が9割のところも…芸能人のギャラ配分とお金の事情

――『あいるさん、これは経費ですか?』は山田さんにとって4年ぶりとなる小説の新刊になります。今回、小説をお書きになったのはどうしてですか?

山田:このシリーズの舞台は芸能界なのですが、これはノンフィクションよりもフィクションの方が書きやすいということがまずあります。実話として語ると、当たり前ですが各所に迷惑がかかってしまいますが、フィクションにすると伝えられることが広くなります。
また、税金についても同じで、法解釈の問題もあるので、フィクションの方が書きやすいんですね。実務上はケース・バイ・ケースなので。

――山田さんは現在、芸能文化会計財団の理事長として芸能人や作家、役者といった方々向けの会計事務所を運営されています。このシリーズは現在の山田さんの活動をモチーフにされていらっしゃるのですか?

山田:そうですね。もともと僕自身が作家業のおかげで芸能界とつながりがあったことや、会計業界が今、すごく細分化されているので、差別化のために芸能専門の会計事務所をはじめたのですが、お金や税金の本については、エンターテインメント業界を舞台にすればみんなに興味を持ってもらえるのではないか、という考えがありました。経営者としての選択と作家としての選択が一致した感じです。

――芸能界のお金の話は興味を持っている方も多いと思う一方で、詳しく知る機会が少ないですよね。山田さんから見て、芸能界は特殊だと思いますか?

山田:一般的なビジネスマンの感覚から見れば、だいぶ特殊だと思いますよ。まず貧富の差がものすごく激しい。同じ会社で働いていても、正社員ならば給料の差があっても2〜3倍くらいですよね。でも、芸能界は同じ番組に出ていたとしても、100倍くらい年収が違うこともあるんです。それが普通と考えると、特殊ですよね。
また、テレビにいっぱい出ているからお金持ちかというと、実はそうでもない。頑張っていっぱいテレビ番組に出ても貧しい人はいます。

――ギャラが少ないから、ということですか。

山田:そうですね、ギャラの単価が低い。あとは、事務所との配分の問題もあります。例えば芸能人1:9事務所のところもあれば、芸能人9:1事務所のところもあるんです。つまり前者はギャラの9割が事務所にもっていかれて、芸能人は1割という配分ですね。3月に出る第2巻『結婚指輪は経費ですか?』では、ギャラ配分にからんだ事件も描いています。

――なるほど。本の話に戻りますが、登場人物の名前がとても特徴的です。天王洲あいる、竜ヶ水隼人、烏山千歳、飛田給、桜上水芦花、船橋法典など、駅名で統一されています。

山田:『女子大生会計士の事件簿』では歴史上の人物から名前と性格を借りていたので、今回は駅にしました。
これは、本を読んでもらうきっかけ作りの一つでもあるんです。僕が本を書く最終目的は会計や税金について親しみを持ってもらって、勉強してほしいということなんですが、そこに向かわせるために芸能界をテーマにしたり、駅名が出てきたりという入り口を設けているんです。
読者の中に京王線沿線に住んでいる人がいらっしゃって、「自分の住んでいる場所の最寄りの駅がまだ出てこない」というコメントもいただきました。

――山田さんは鉄道もお好きなんですよね。

山田:そうなんです。その好きな鉄道の中でも、特に思い入れのある路線を使っています。例えば竜ヶ水駅と隼人駅は日豊本線にある駅なのですが、両親の実家に近いのです。また、日豊本線は錦江湾沿いを走る路線で、とても景色が美しいんです。桜島がドン!と見えて。

――3曲目の「職業・新人作家」では、松本や新島々など長野県の駅名が出てきますね。

山田:あの辺もいいですよね。「アルピコ交通上高地線」という路線が走っているのですが、この路線も個人的にお気に入りなんです。

――その駅のイメージがキャラクターを作っているわけですね。

山田:「姓名診断」があるくらいですから、名前はその人の人格をつくり上げる重要なものだと思うんですね。適当な名前からは適当なキャラクターしか生まれないと僕は考えています。

――小説を書いているときに、キャラクターは勝手に動き出す感覚ですか? それとも山田さんの中で計算してキャラクターを動かしているのですか?

山田:勝手に動き出してしまうタイプですね。彼女ならどうするだろう、彼ならどうするだろうと考えます。『あいるさん、これは経費ですか?』シリーズもキャラクター文芸と位置づけられるのですが、キャラクター文芸の特徴は「キャラが立っている」、つまりキャラクターが物語をつくっているということ思うんです。だから、この物語の結末もこのキャラクターだからこそという部分はあります。

――ご自身を投影したキャラクターを小説の中に登場させることはありますか?

山田:これはですね…、私小説は別として、著者自身が投影したキャラクターが出てくる小説って、僕は大嫌いなんです。どうしてもその著者さんのイメージに引っ張られてしまって、キャラクターに没入できない。
例えば芸能人の方がアニメに声優として出演されることがありますが、これも凄く苦手です。どうしてもその芸能人の方のイメージが大きくなってしまうんですよね。
もちろん、声で演じることが上手な方もいらっしゃいます。例えば『アナと雪の女王』の松たか子さん、神田沙也加さんは全く元のお二人を感じませんでした。それくらい、完全にそのキャラクターを演じていましたよね。でも、キャラクター以上に中の人を感じさせてしまう人もいて、そうなると萎えてしまうんです。

――著者がそのままその小説の中に登場するケースは、ビジネス小説ではよく見かけますね。

山田:そうなんですよね。この先生役はきっとこの人自身のことなんだろうなとか。僕はそれが嫌なので、いっさい自分を出さないようにしているつもりです。

(次回は“巨額の印税”や“ギャラと税金”についてお話をうかがいます!)


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