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共働き夫婦のための住宅ローン講座(3)返済シミュレーション比較

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共働き夫婦のための住宅ローン講座の3回目。前回は共働きのメリットを活かせるローンの組み方として、民間金融機関でペアローンを利用する方法と、住宅金融支援機構のフラット35を利用する方法を紹介。それぞれのメリットやデメリットを比較した(http://suumo.jp/journal/2014/10/17/71335/)。最終回となる今回は、共働き夫婦の合算年収を900万円という設定で、両者の返済シミュレーションを比較した。共働き夫婦の合算年収900万円で比較

合算年収を900万円とする理由は、1回目と2回目でお話しを伺った住宅ローンコンサルタントの加藤孝一氏のもとに相談に訪れる共働き夫婦の合算年収で最も多いのが900万円台だからだ。

詳細な設定は、夫の年収が500万円、妻の年収が400万円。購入する物件価格は5500万円。自己資金(頭金)を1100万円とすると、夫婦の借入総額は4400万円となる。ペアローンの場合の夫と妻それぞれの借入額は、借入総額4400万円を年収比率で案分して、夫の借入額は2400万円、妻の借入額は2000万円とした。返済期間は30年、ボーナス返済はなし、返済方法は元利均等返済とした。■返済シミュレーション条件
世帯年収:900万円(夫:500万円、妻:400万円)
物件価額:5,500万円
頭金:1,100万円
世帯借入額:4,400万円(夫借入額:2,400万円、妻借入額:2,000万円)
返済期間:30年 ボーナス返済:なし 返済方法:元利均等返済

返済シミュレーションは、ファイナンシャルプランナーの高田晶子さんに試算してもらった。ペアローンの場合は、夫婦ともに変動金利で借り、金利は0.775%。その後の金利変動がないものとして試算した。一方、フラット35の場合は全期間固定で金利は1.56%で試算した。

比較した項目は3つ。「月々の返済額」「住宅ローン控除額」「諸経費などの違い」。月々の返済額を比較する

ペアローンの場合は、夫婦ともに変動金利で借りていることもあって、夫婦合わせた月々の返済額は13万7020円。その内訳は夫が7万4738円、妻が6万2282円だ。収入が夫一人だと月々約14万円を一人で返済する必要があるが、ペアローンだと夫婦それぞれで折半するかたちだ。ペアローンだと、夫は変動金利で借り、妻は全期間固定で借りて金利変動リスクを減らすなど、夫婦で異なる金利タイプを選べるのも魅力だ。

一方、フラット35の場合は、月々の合計返済額は15万3122円になる。ペアローンで変動金利型で借り入れた場合と比べて月々の返済額は1万6102円高いが、金利上昇リスクが解消されるメリットは大きいだろう。ペアローンの場合は夫妻の年収に応じて借入額が決まるが、フラット35の場合は、ローン自体は一本なので夫婦で返済比率を決められることも利点だ。

【図1】ペアローンとフラット35の月々返済額の違い住宅ローン減税額と諸経費を比較する

次に住宅ローン控除額を比較する。ペアローンとフラット35のいずれの場合も、夫婦それぞれが住宅ローン減税を受けられる。住宅ローン減税制度とは、住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額が所得税や住民税から10年間控除される制度のこと。控除される期間は最長10年間。2017年12月末まで(2015年度の税制改正で2019年6月末まで延長される予定)の入居者は、年末ローン残高4000万円を上限として控除が受けられる。

住宅ローン控除額の計算は所得税額や所得控除額などによって変わり難しいが、今回、夫の所得税が14万500円と住民税が24万5500円、妻の所得税が8万6000円と住民税が17万9500円として、税額が10年間変わらなかったと仮定して試算した。その結果、ペアローンの場合の10年間の控除額の概算は365万円(夫199万円、妻166万円)。フラット35の場合の10年間の控除額は373万円(夫203万円、妻170万円)となった。フラット35のほうが、金利が高く残高の減りが遅いため、控除額は多くなる。借入総額の8~9%近くが戻ってくる減税制度を利用しない手はない。

最後に諸経費を比較する。ペアローンの場合、大手都銀の数字を用いて試算したところ諸経費の合計額は約122万円(内訳は図2)。「司法書士手数料は司法書士によって異なり、更にペアローンの場合は夫婦2人分を払うのではなく、例えば、妻の司法書士手数料は追加2万円でいいなど少額で済む場合があります」(高田さん)。

フラット35の諸費用は120万円とペアローンとほぼ変わらない。「事務手数料を2.16%と高めで試算しています。優良住宅ローンなどで0.8%なら事務手数料は35万2000円となり、約60万円下がります」(高田さん)。

【図2】諸経費の比較特約料の自己負担と万が一のときの返済リスクを考える

フラット35の特徴は機構団信特約制度の特約料を自己負担すること。ただ、「デュエット(夫婦連生団信)」を利用すれば、特約料は2人分必要なく1人分の約1.56倍で済む。今回の条件で試算した30年間の特約料は約404万円になる。

「デュエットの利点は一方が亡くなった場合、ローン全額が返済不要になること。ペアローンの場合、死亡者のローンは返済不要なものの、残ったほうは自分のローンを払い続ける必要がある。夫はもちろんだが、妻が亡くなった場合、夫は仕事しながら家事や育児するのは厳しい。それらを外部委託する場合は費用が発生し、家計から捻出する必要がある」と住宅金融支援機構の板垣泰史さんは言う。
 
特約料負担はあるが、全期間固定金利と、夫婦のいずれかが死亡した際にローン全額が返済不要になる安心感を得たいならフラット35を検討する価値がある。一方、できる限り低金利で借りて、合算収入を活かし、繰り上げ返済も含めて短期間で返済したいならペアローンを検討するのも手だ。

共働き夫婦が住宅ローンを借りるパターンは複数ある。ペアローンで借りる場合、金融機関によって妻の年収が全額認められる、半分しか認められないなど判断が異なる場合もあり、1人で借りるより複雑で難しい。ただ、逆に言えば、お得な方法も存在する。さまざまな金融機関に相談して複数のシミュレーションをしてもらい、ベストな返済方法を見つけてほしい。

監修・シミュレーション:株式会社マネーライフナビ 高田晶子
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/02/03/77194/

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