ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

書き初めならぬ「新春かき氷初め」! 名人に教わる「冬のかき氷」の魅力

DATE:
  • ガジェット通信を≫


 近年、東京を中心にかき氷ブームが起きているのをご存知だろうか? かき氷の食べ歩き本『かきごおりすと』が発売されたり、新鮮な生フルーツや個性的なシロップを使ったかき氷専門店がメディアに取材されたりしたこともあってか、有名店では2時間待ちの行列ができることもあるそうだ。

 そんななか、下北沢のカフェ「伝統の器 織部」では年明け後の1月10日、「俺たちの新春かき氷初め大会」が行われた。

■下北沢のかき氷名人は、お茶のマイスター
 ワークショップ&コンテスト形式でかき氷を作って試食する今回のイベントでは、特製の抹茶・ほうじ茶・紅茶の3種類のシロップを使って参加者がかき氷を作り、その出来栄えを競い合った。
 今回ホストとなってくださったのは、1970年創業の日本茶専門店「しもきた茶苑 大山」の現社長である大山泰成氏だ。大山氏は日本茶の茶審査技術段位の最高位である「茶師十段」の資格を持ちながら、実はかき氷の作り手としても超一流。同店の喫茶で提供するかき氷は、ふわふわの口当たりの氷に、抹茶やほうじ茶を使った特製シロップがかけられ、行列のできるかき氷として評判なのだ。

■作陶家の器に盛りつけるかき氷
 会場に集まったのは20代後半から40代までの比較的落ち着いた世代で、参加者14名のうち、男女の比率は半々といったところ。
 会場にはプロが使うかき氷機を設置した特設ブースがあり、一人ずつ大山名人からかき氷の作り方を指南してもらう。
 大会の開催場所となった「伝統の器 織部」では、さまざまな焼き物を取り扱っている。また、カフェも併設しており、こだわりの器でハンドドリップの珈琲や甘味を楽しむことができる。

 同店では週刊『モーニング』で連載されている『へうげもの』とコラボレーションした器の販売や、イベントの開催などを行っており、今回のかき氷大会もその一環として行われた。

 そのため参加者には、かき氷を盛りつける器は『へうげもの』とコラボレーションする若手作陶家のユニット「激陶者集団へうげ十作」が手がけた器から選ぶ、というルールが課せられていた。それぞれが個性的な魅力を持っていて、どれを使おうか迷ってしまった。

 優勝者にはへうげ十作の陶芸家・苫米地正樹謹製「かき初めセット」が贈呈されるため、ここは優勝を狙っていきたいところだ。

 ターコイズブルーの釉薬(ゆうやく、うわぐすり)が美しい書き初めセット、これは欲しい!

 気合いを入れて選んだ器はこれ。
 黄金色をした、お祝いの席で使われそうな印象の器で、新春にふさわしいと感じたからだ。この器に名人から教わりながら氷を盛りつける。ちなみに筆者はプロが使う電動モーター式のかき氷機でかき氷を作るのは初めてだ。

■いざかき氷初め、しかしなかなか難しい
 筆者が最初に思い描いていた氷は、富士山のような末広がりの形だった。地面に向かって左右均等な角度で広がっていく斜面。その表面をなだらかにして、赤い紅茶のシロップをかけ、浮世絵の「赤富士」のような形を作ろうとしたのだが、考えが甘かった。

 手でハンドルを回すタイプのかき氷機とは違い、モーター式のかき氷機は自動的に氷が落ちてくるため、器に均等に盛りつけることが難しく、氷の高さがいびつになってしまう。なんとか盛りつけを終え、表面をなだらかにしようとしたが、粒子の細かい氷は表面を削りづらいのだ。

 名人に聞くと、表面を削り取る加工は、かき氷でしようと思うと相当難しいそうだ。そこで、当初の構想を大きく変え、とにかくボリューミーに、大きなかき氷を作る方向に路線を変更して、名人の指導を受けながらなんとかかき氷を完成させた。

 「コツは器を回しながら作ること。そうすると均等に氷を盛ることができます」と名人。アドバイスを受けてからは、器に均一に氷を盛りつけることができ、大きなかき氷が完成した。

 シロップは贅沢に抹茶・ほうじ茶・紅茶の3種類を交互にかけ、味の変化が楽しめるようにした。当初のイメージとは大きく違う形になったものの、かき氷を完成させることができ、達成感を得た。

■かき氷の概念が変わった! ふわっふわの氷
 かき氷の完成後に作った氷を試食してみると、ふわふわな食感に驚いた。正直に言うと筆者はかき氷があまり好きではなかった。氷はジャリジャリしていて歯に染みるし、すぐに溶けて水っぽくなる。シロップも甘いだけですぐに飽きてしまう。

 しかし、ここで食べたかき氷は、口の中でふわりととろけるやわらかさで、水っぽくない。シロップもお茶の香りが強く上品で飽きがこない。今まで持っていたかき氷の概念が変わり、これならお店に食べに行ってもいいかもしれない、と思った。

■名人の技に見惚れる
 筆者はかき氷を作る楽しみに目覚めてしまったようだ。ここは名人の技も見てみたい、ということで技を披露してもらった。

 さすが名人、手つきはスムーズで、動きに無駄がない。

 「氷は器の端に積み上げていくと、高く大きく盛れるんです」と言いながら名人は手を動かし続ける。途中でシロップを回しかけながら氷を盛り続け、器の上はどんどんボリューミーになっていく。

 かき氷機の下に設けられたスペースぎりぎりまで大きく盛りつけ、最後にシロップをかける名人。非常にスピーディで開始から完成まで約1分もかかっていない、その様子に見惚れてしまった。

 完成したかき氷を試食させてもらったが、筆者のものより氷がふんわりとしていて、シロップの味もより強く感じられた。

 「その日の気温や天候によって氷の溶け方も変わるので、それに合わせてシロップのかけ方も変えているんですよ」。そう言って名人は微笑んだ。かっこいい! 名人かっこいい!

■栄えある優勝作品は……
 参加者の作ったかき氷は、富士山に見立てたもの、器に合わせて直角に盛りつけたものなど、形や色も十人十色。

 参加者全員がかき氷を完成させたところで、名人が審査に入る。審査の基準は形の美しさや独創性、大きさなど5項目。栄えある優勝を勝ち取ったのは、器に合わせてオレンジと緑のシロップをかけ、アクセントにトサカのような飾りをつけたかき氷だった。


■真冬に食べるかき氷の魅力
 真冬にかき氷と聞くと季節外れな印象があったが、暖房の効いた室内で食べるかき氷は意外に美味しく、ぺろりと平らげることできた。名人に聞くと、冬場でもかき氷を食べにくる人は年々増えているそうだ。
 また、味やトッピングのバリエーションも店ごとに趣向を凝らし、果物屋さんが作った生フルーツのかき氷や、醤油を使ったみたらし味のかき氷など、新たなかき氷が続々と誕生しているという。

 さらに、真のかき氷通は寒い時期にかき氷を食べるという。冬は夏場と違い、かき氷目当ての客が少ないため、行列を避けることができる。加えて、この時期だからこそ、新作シロップの提供に力を入れているお店も多いとのこと。冬にかき氷という考えは頭の片隅にもなかったが、通の世界は奥が深いようだ。

 今回のイベントでは、名人が作る「本物」のかき氷の美味しさだけでなく、かき氷を作る楽しみも知ることができた。まだまだ寒い日は続くが、真冬にかき氷を味わってみるのも遊び心があり、オツなものではないだろうか。

■関連リンク
「手抜きギョーザ」実際に焼いてみた
レイヤー直伝「大きい胸の作り方」
「宇宙の匂いがする紅茶」誕生秘話

カテゴリー : エンタメ タグ :
Scoopie Newsの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP