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なぜ豊かな日本で「子どもの貧困」問題が起こるのか?

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 世帯所得が低いあまり、子どもを塾や習い事に通わせられなかったり、高校に進学させられない、いわゆる「子どもの貧困」問題。日本は世界の中でもトップクラスの裕福な国ですが、実際には、貧困状況にある子どもの数は年々増えているといいます。

 厚生労働省の発表によれば、日本の貧困状況にある子供の割合は、2009年の調査では15.7%、12年の調査では16.3%となっており、増加傾向にあります。また、12年の16.3%という数字は過去ワーストで、人数にすると325万人もいることに。

 とはいえ、その数字に実感を持てない人も少なくないでしょう。事実、この日本で普通に生活を送っていても、「子供の貧困」は見えにくいもの。本書『子どもに貧困を押しつける国・日本』では、そういった目に見えにくい「子供の貧困」について取り上げます。

 著者は、ボランティア団体「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワーク”世話人”の山野良一さん。これまで、子どもの貧困に関する問題について、改善しようと活動されてきた人物です。しかし、山野さんらの努力も虚しく、この問題は改善するどころか悪化しているのが実態。

 もちろん国がなにもしていないわけではありません。厚生労働省は「子どもの貧困」が増加する理由について、「非正規雇用の増加による所得の減少などが影響したとみている」と発表しており、政府もそれに対してさまざまな政策を講じているのです。

 例えば平成25年度税制改正により、孫の教育資金を1500万円まで非課税で贈与できる新制度を開始。この制度を利用した信託商品「教育資金贈与信託」により、シニア世代から孫への教育資金贈与がスムーズに進み、親世代の子供の教育費負担を軽減できるようになっています。

 こうした制度がもたらしたメリットは多々ありますが、本書ではこの制度についても「子どもたちの格差拡大につながる可能性がある」「政府のおかげで貧困が増えている」と批判します。

 さらに山野さんは、国の政策が子どもの貧困を助長しているとし、次のように記述しています。

「社会保障、教育、福祉、労働施設の貧困によって、犠牲を強いられているのは、まだ無力な子どもたちです。(中略)『子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現すること』を理念とする法律の具体的な施策がたったこれだけだとしたら今最も強く裏切りを感じているのは、子どもや若者自身ではないでしょうか。(中略)この本のタイトルには、そうした怒りのメッセージを少し込めてみました」

 今、「子どもの貧困」を救うため、全国各地でさまざまな活動が行われています。その成果もあってか、一昨年に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立、昨年1月から施行されています。とはいえまだ問題は山積の「子どもの貧困」。本書を読んで、その厳しい現状を把握してみてはいかがでしょうか。

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