入社前に「ブラック求人」を見抜く術

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入社前に「ブラック求人」を見抜く術

20代の若者の3人に1人が「勤務先はブラック」と感じている

「ブラック企業」が問題視されて久しいですが、まだまだその数が減る気配はありません。自身の勤務先がブラック企業だと思う人の割合は4人に1人、20代の若者に限って言えば3人に1人という調査結果もあるようです(日本労働組合総連合会調べ)。

ブラック企業の特徴は、長時間労働やサービス残業が当たり前、有給休暇が取れない、上司のコンプライアンス意識が低い、仕事に見合わない低賃金で労働者を酷使する、などが挙げられます。その多くは、故意にこのような労働を強いているわけですが、仮に雇用する側に悪気はなくとも、昔ながらの「親方意識」で従業員を使っていると、知らず知らずのうちにブラック企業とみなされてしまう恐れもあるので注意が必要です。

ハローワーク、ブラック企業の求人受け付けず。新たな政府の対策

ブラック企業対策として厚生労働省が打ち出した新たな対応策が、残業代不払いなどの違法行為を繰り返す企業のハローワークへの新規求人を受け付けないというものです。この制度は、今月招集される通常国会に提出する若者向け雇用対策法案の中に盛り込まれる予定です。

公的機関ということで「ハローワークの求人は安心」といったイメージを持つ人も多いと思います。しかしながら、現行法ではハローワークは「すべての求人を受け付ける」義務があるため(求人内容に違法性があるものを除く)、求人を出す企業に対し審査などをしているわけではありません。「ハローワークでの求人に応募して就職したが、実際に働いてみると募集要項と全く異なる労働条件だった」という事例もあるようです。

HPはチェック。短い期間で何度も求人を出している企業は要注意

不景気や雇用のミスマッチなどで正社員への就職が狭き門となっている今、正社員の求人広告に飛びつきたい気持ちもわからないではありません。しかし、就職してから後悔することのないよう、事前にその企業がブラックではないかどうか、できるだけの情報収集をしてみることは必要です。

最低限、企業の会社案内やホームページはチェックしてみましょう。商品やサービスを提供する企業であれば、その接客態度など顧客からの口コミも参考になります。また、比較的、短い期間で何度も求人を出している企業も要注意です。単に良い人材が集まらないだけではなく、従業員の離職率が高いため求人を繰り返している恐れがあるからです。そして、実際に応募する前に、企業の下見をするのも良いかもしれません。社内見学までとはいかなくとも、外から見るだけでも雰囲気がつかめる可能性があるからです。

今般の世情を考えると、毎日ゆとりをもって働ける職場の方が少ないことは否めません。過重労働で従業員がうつ病を発症したり、会社が違法行為をするような劣悪な職場は論外ですが、必要な残業や一時の繁忙期まで過剰にブラック扱いするのは問題です。企業理念・方針に共感できるか、自身がその企業で何ができるのかを考えて就職活動をすることも大切です。

(大竹 光明/社会保険労務士)

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