「江戸しぐさ」道徳教科書掲載で波紋!? 研究者「政府が嘘だと気づけない能力の可能性も」 

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政府・文部科学省が道徳を「特別な教科」として検定教科書を導入することになり、平成26年度から使用できるよう全国の小・中学校に配布する事とされていますが、その中で実在に疑いを持たれている「江戸しぐさ」について触れるページがあることがネットで波紋を広げています。

「江戸しぐさ」が掲載されているのは、『私たちの道徳 小学校5・6年』(廣済堂あかつき)の58~59ページ。「江戸しぐさに学ぼう」と題して”かた引き””かさかしげ”などを紹介。江戸に全国から文化や習慣のちがう人たちが集まり「おたがいに仲良く平和に暮らしていけるよう」商人の間で普及したとして、「お天道様にはずかしくないように行動することや、 人のおかげで物事が成り立っていると考えることなどを通して、真心をもって人間関係を大切にしようとしていたことが分かります」と強調しています。
これまでも、道徳の検定教科書導入の時点で教科書の内容が話題になっていましたが、2014年12月に文部科学省のサイトでPDFが読めるようになり、『Togetter』で反応ツイートがまとめられたことにより再び物議を醸すことになりました。

実在しない江戸しぐさが記載された道徳の教科書のPDFが波紋を広げる(Togetterまとめ)
http://togetter.com/li/766103 [リンク]

「江戸しぐさ」については、公共広告機構(現・ACジャパン)で取り上げられるなど、既に公民の教科書や道徳教材に使われていますが、「商人の秘伝のルールが一般町人までマナーとして伝播していたのか」「喫煙禁止という張り紙が江戸時代にあったのか」といったさまざまな疑問点があり、その実在を示す史料の存在が確認されていません。

『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』(星海社新書)の著者で文明史研究家の原田実氏は、この件について下記のようにツイートしています。

文部科学省が教材に「江戸しぐさ」を採用している件について政府が嘘も方便と国民を騙す姿勢でいることを懼れる意見があるけどもっと恐ろしいのは政府が「江戸しぐさ」が嘘だと気づかない程度の能力だという可能性の方だと思う

ああ、そうか、安倍首相が長州閥だということは安倍政権が「江戸しぐさ」を嘘と知りつつ教育に導入している、という説への反証になるな。内容をよく調べなかったからこそ取り入れてしまったわけで…よかった、政府は別に国民を騙そうとしたわけじゃないんだ(棒)

このように、道徳の授業方針や教科書の内容について、歴史との整合性が問われることになっています。「江戸しぐさ」を採用した経緯を含めて、議論や検証が行われる必要があるのではないでしょうか。

※画像は『私たちの道徳 小学校5・6年』PDFより
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/12/01/1344900_4.pdf [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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