ココアはなぜ風邪に良いの?由来は「神の飲み物」、甘いだけじゃない5つの効果

ココア。記事と直接の関係はありません。(画像:Takeshi Kuboki)

中央アメリカ、古代マヤ文明で、「神の飲み物」を意味するカカワkakawaが、ココアの源流だ。風邪をはじめとして、ココアは人の健康に幅広い形で効いてくる。

風邪だと、はな喉が赤くなって、せきも出るし、熱も出てくる。食欲が落ちる、体の冷えもある。ココアを飲むと、そんなつらさがやわらぐ効果が分かってきている。

いったいどうしてなのか?主に5つの効果がありそうだ。

「神の食品」の秘密とは
風邪にココアが効くとすればこんな成分が効いていると分かってきている。
・ポリフェノール
・食物繊維
・テオブロミン
・テオフィリン
・カフェイン
・ココアバター
・マグネシウム
・亜鉛

とりわけポリフェノールの効果が大切なようだ。

1.免疫力を強くする効果
ポリフェノールの仲間はいろいろある。緑茶のカテキン、そばのルチン、大豆のイソフラボン、赤ワインのレスベラトロールなどがよく知られている。
ココアに入っているのはフラボノイドの仲間で、フラバノールの一種のエピカテキン、アントシアニンがある。

ココアの効果としてまず注目したいのは、病原体から身体を守る「免疫力」を強くしてくれる効果だ。

免疫グロブリンAを増やす
12月、スペインのバルセロナ大学の研究グループが、英国の栄養学雑誌ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション誌でポリフェノールの効果を報告している。動物実験で、ココアを10%加えて与え、その後の変化を見るというものだ。
ココアは3種類を比べていて、ポリフェノールが0.2%のもの、0.4%、0.8%のものを試した。

4週間続けて食べさせて変化が表れたのは、血液の中の免疫に関係する「免疫グロブリンA」の数字だ。
結果として、ポリフェノールを0.2%含むココアと0.8%含むココアで最も免疫グロブリンAが多く出ており、免疫の強化につながっていると見られた。高濃度の0.8%だけではなく、0.2%のココアも反応が大きかった。

その理由は、あとで出てくる食物繊維、テオブロミンを多く含んでいたためと見られている。風邪の病原菌から身体を守る仕組みを強める効果を引き出せるというわけだ。

2.腸内細菌を改善する効果
悪い細菌を排除してくれる効果もありそうだと分かってきている。

2011年の研究発表でココアのポリフェノールで画期的な発見があった。
英国リーディング大学の研究グループが、ココアのフラバノールの効果を22人の健康な人を対象に調べたところ、腸内細菌に変化が確認できた。善玉を増やして、悪玉を減らす効果があった。

ビフィドバクテリウムと乳酸菌を増やす
1日、ココアのフラバノールを23mg取るグループと、494mgを取るグループの2つのグループに分けて、4週間にわたってココアを飲んでもらった。
すると、フラバノールを多く取ったグループで、「ビフィドバクテリウム」「乳酸菌」といった善玉の腸内細菌を増やし、好ましくないクロストリディウムという仲間の腸内細菌を減らしていたというものだ。

中性脂肪と炎症も抑えていた。
腸内細菌の変化を促して、病原体をやはり遠ざけてくれる。

3.抗酸化作用
炎症は、はなや喉、せきの症状を起こす敵。

体は元からグルココルチコイドという炎症を抑える仕組みを持っている。
ここを邪魔するのが、「酸化ストレス」と呼ばれるものだ。老化にもつながるが、風邪にとっても厄介だ。

ココアのエピカテキンは、この酸化ストレスを押さえ込む効果がある。グルココルチコイドによる、元から持っている炎症を抑える仕組みを有効にすることができるわけだ。

4.炎症を抑える効果
さらに、ココアそのものにも炎症を抑える効果があると分かってきている。その役割を果たすのが食物繊維。

ココアに食物繊維というと意外かも知れないが、ココアには水に溶けない食物繊維リグニンのほか、水に溶ける食物繊維である多糖類が豊富に含まれている。

海外でも注目されていて、2011年にスペインの研究グループが炎症を抑える効果を動物実験で確認している。

食物繊維は腸内で分解されて、糖になっている。腸内細菌の栄養源になって、前に触れたような腸内の環境の改善につながる可能性も出てくる。最近では、食物繊維を取ることで、免疫力を弱める糖尿病を遠ざける効果があるとも分かってきている(なぜ食物繊維は健康にいいのか、秘密は腸内にを参照)。

5.せきを鎮める効果
せきや喉の痛みがあって、せきが出る。ここでも効果が期待できる。テオブロミンやテオフィリン、カフェインといった成分も大切だ。

南アフリカの研究グループの報告によると、動物実験でせきにつながるような気道が過敏になる状態をココアのテオブロミンやテオフィリンによって収められるという。

コーヒーやお茶と同じように、ココアにもカフェインは含まれている。テオフィリンとカフェインは同じ仲間で、いずれもせき鎮める効果を持っている。

体を温め、喉も潤す
さらに、マグネシウムや亜鉛といった体調を整えたり、ウイルスに対抗したりするために必要なミネラルが豊富であるほか、ココアバターのような喉を潤すのにいい効果もある。
体を温める効果も気持ちを楽にしてくれるのに役立つ。ココアを飲むと、甘くて気持ちがよくなるのも良い。

さらに、記憶力を高めるような新しい報告も出ている(ココアや日本茶など飲むと、記憶能力を強化?赤ワインやリンゴなどにも豊富な成分でを参照)。

神の飲み物と言われるだけのパワーが秘められる。

文献情報
Addai FK.Natural cocoa as diet-mediated antimalarial prophylaxis.Med Hypotheses. 2010;74:825-30.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25345541

Massot-Cladera M et al.Impact of cocoa polyphenol extracts on the immune system and microbiota in two strains of young rats.Br J Nutr. 2014;112:1944-54.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25345541

Tzounis X et al.Prebiotic evaluation of cocoa-derived flavanols in healthy humans by using a randomized, controlled, double-blind, crossover intervention study.. Am J Clin Nutr. 2011;93:62-72.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21068351

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http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24269961

Sánchez D et al. Soluble fiber-enriched diets improve inflammation and oxidative stress biomarkers in Zucker fatty rats.Pharmacol Res. 2011;64:31-5.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21349333

Solà R M et al. Cocoa, hazelnuts, sterols and soluble fiber cream reduces lipids and inflammation biomarkers in hypertensive patients: a randomized controlled trial.. PLoS One. 2012;7:e31103.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22383996

Sarriá B et al. Regular consumption of a cocoa product improves the cardiometabolic profile in healthy and moderately hypercholesterolaemic adults.Br J Nutr. 2014;111:122-34.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25345541

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