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「オイルプリング」にまつわる真っ赤なウソ

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オイルプリングにあるとされる効果

現在、「オイルプリング」がメディアでも話題になっています。元はインドの自然療法である「アーユルベーダ」の健康法の一つと言われていますが、なんでも「口の中でココナッツオイルやごま油でうがいする」だけで、下記のような効果があるとされています。

1.口の中へ体内の毒素を排出するデトックス効果
2.口内の病気(歯周病のことでしょうか?)や虫歯、口臭の改善と予防
3.歯のホワイトニング効果
4.頬の筋肉を使うのでほうれい線が消えるなどのアンチエイジング

歯肉炎や歯周病、虫歯が治るとされる話も根拠はない

オイルプリングに限った話ではありませんが、最近、美容や健康の話題になると、よく「デトックス」との言葉を耳にします。デトックスとは、体内に溜まった毒物を排出させることです。人の体には、体外から入ってきた有毒物を解毒し、排出する機構として肝臓や腎臓などの臓器があります。中には、体外へ排出しきれない重金属や微量な化学物質があるのも事実です。しかしながら、これらの物質が不快症状や病気、老化などの原因かどうかは十分検証する必要があります。

さて、オイルプリングによるデトックスの場合、全身に溜まった毒素がどのように口の中にまで移動してくるのでしょうか。また、オイルプリングで歯肉炎や歯周病、虫歯が治るとされる話も根拠はありません。虫歯は虫歯菌に汚染された歯質を削り取り、人工材料で修復しない限り治りません。

医学的根拠に乏しく一般的なうがい以上の効能・効果は期待できない

また、虫歯菌は歯の表面にむき出しで付着しているわけではありませんので、うがいによる効果も疑わしいところです。通常、虫歯菌は分厚く張り付いた「バイオフィルム」と呼ばれるさまざまな細菌同士が化学的に結合した細菌膜の内側に潜んでいます。例えるなら、バスタブに付着する水垢と似ています。水垢もよくこすらなければ綺麗にならないように、大抵の消毒薬によるうがいだけでは、虫歯菌を撲滅することはできません。

さらに、歯周病菌は歯の根に沿って、歯茎の中の奥深い場所に住んでいるため、うがいをしても薬は届かないのです。効能的な側面に言及すれば、オイルプリングで得られる効果は、歯の間の汚れにある食べカスや、口の中の老廃物に対して程度だと考えられます。歯のホワイトニングに関しても、歯の質が暗い色や黄ばんでいる人の場合、漂白効果は期待できないはずです。

結論としては、口をすすぐのであれば市販のうがい薬の方がよく効くはずです。「オイルプリング」は現時点で医学的根拠に乏しく、一般的なうがい以上の効能・効果は期待できないと思われます。10年後もココナッツオイルが市民権を得ているか不明ですが、「アンチエイジング」などと勧めている芸能人、「セレブの常識」などと取り上げたメディアの主張を素直に受け入れるのは危険だといえそうです。

(飯田 裕/歯科医)

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