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ヘルスケアリート初上場、「老後」を投資対象とする是非

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高利回りで推移するヘルスケアリート

日本で初の「ヘルスケアリート」が初上場してから、1か月が経過しました。ヘルスケアリートとは、ヘルスケア施設(いわゆる老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など)を不動産投資信託(端的に言えば投資商品)にしたものです。投資家は証券を購入し、定期的に配当が得られる仕組みで、株式同様証券の値上がりにも期待できます。

11月5日の上場以来、利回りは3%ほどで、定期預金よりもずいぶん高い数値を維持しています。当初想定されていた発行価格よりも、かなり上方に振れて取引されており、上場前の触れ込み「高利回りが期待」の面目を維持しているといえます。また、今後、続々とヘルスケアリートの上場が予定されており、官民挙げてのプロジェクトとなっています。

現代社会では高齢者の生活までも投資商品として扱われている

ヘルスケアリートへ投資した投資家への配当は、そこに入居している高齢者の施設利用料から支払われます。考えてみれば当たり前のことですが、高額な費用を払って入居している高齢者にとっては、自分たちのお金が投資の対象として扱われることに、どんな気持ちを抱くでしょうか。現代社会では高齢者の生活までもが投資の商品として扱われていることに、驚きを隠せません。

しかも、老人ホームの入居には高額な費用が必要です。具体例を出せば、ある老人ホームに入居する際、入居時におよそ600万円、毎月176,190円(もちろん消費税は別途)支払うことになります。それ以外に電気・水道代が4,000円、さらにおむつ代、日用品代金、新聞購読料、クリーニング代、特別入浴料などが上乗せされます。

これだけ高額であれば、さぞ立派な部屋に住んでいるのかと思えば、部屋の広さはワンルームで効率重視のビジネスホテル並み。入居者は退職金から大枚叩いて入居し、毎月20万円ほど払い続けて老後の安心を手に入れています。一旦入居すれば、どんなに苦しくても月々の入居費を払い続ける必要があります。

同じ日本で老後の過ごし方にも差が生まれている

一方、地方では出身も住むところも異なり、過去に接点もない人々が空き家で一つの村に住み、晴れた日は畑仕事、雨が降れば読書にカラオケといった生活を送り、困った人がいれば手を差し伸べ、擬似家族とも呼べる関係を構成しながら老後を楽しく安心に送ろうとする取り組みがあります。

空き家であれば賃料は無料、食べ物は畑から、病気になれば近くの人が手を差し伸べてくれるため、生活費は月5万円もあれば事足ります。同じ日本でありながら、老後の過ごし方にもこれだけの差が生まれつつあるのです。今後もヘルスケアリートの上場は続きますが、こうした背景を無視してはいけません。

(中山 聡/不動産鑑定士)

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