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話題沸騰!『楽園追放 Expelled from Paradise』水島監督インタビュー「3DCGで日常芝居を描くのが大きなチャレンジだった」

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『ガンダムOO』で知られる水島精二監督と、脚本・虚淵玄さん(ニトロプラス)による完全オリジナル作品『楽園追放 Expelled from Paradise』。15日より公開され、各映画サイトのレビュー、Twitter等ネット上で大きな反響を呼んでいます。

『楽園追放 Expelled from Paradise 』は、人類が多くの地上を捨て、「ディーヴァ」と呼ばれる電脳空間で暮らす西暦2400年を舞台にしたSF作品。キャストには釘宮理恵さん、三木眞一郎さん、神谷浩史さんと人気声優陣が集結。主題歌はELISAさんが担当しています。

今回は、水島精二監督に映画についてインタビュー。声優陣のキャスティングから、その迫力に誰もが息を飲む3DCGについてなど、色々とお話を伺ってきました。

【関連記事】三木眞一郎&神谷浩史も自信! 水島精二×虚淵玄オリジナル作品『楽園追放 Expelled from Paradise』
http://otajo.jp/43908 [リンク]

―『楽園追放 Expelled from Paradise 』、オリジナルストーリーという事で、背景やあらすじを知らずに観たのですが、冒頭から世界観に一気に惹き込まれました。本作の制作はどんな事からスタートしましたか?

水島精二監督:脚本家の虚淵玄が書いたストーリーがあって、僕は監督としてそれを肉づけしていく作業をしました。リアルワールドと仮想空間をテーマにした話だったのですが、虚淵くんの脚本の特徴を損なわず、映像としてどう分けて見せるかなど考えるのが楽しかったですね。この物語はとてもシンプルなのでそれをヴィジュアルや音楽面でどれだけ盛り上げられるかという。虚淵君が書いた物語を、分かりやすく、面白く観客に伝えられるかというのが僕の仕事だと考えていました。

―細かい説明などは無いのに、状況や設定がきちんと伝わって来ます。

水島精二監督:キャラクターがそれぞれ何を背負って生きているのか、という所ですよね。人間とは、命とはという根源的なテーマが描かれている。僕は普段フィクションの物語ばかり作っている僕からすると、それってフィクションと現実の狭間なのかなと思ったりもして。後はシンプルだからこそ、答えの多様性は大事にしようと思っていました。僕はこう思うけど、あなたはこう思うかもしれない、観客はこう感じるかもしれないと、答えや考え方を決めつけない様な柔軟性のある表現にしようと。虚淵くんの脚本からもそれは感じられましたから。

―最近の劇場アニメーションって2部作に分かれていたり、観客にとってハードルが高い作品も多かったと思うのですが、本作は104分でスッキリ終わる。かなり爽快感がありました。

水島精二監督:アニメ映画って実写映画と違って、ちゃんと腰を落ち着けて観れる限界って90分前後だと言われているんですね。なので、オファーされる時も「尺は90分」と言われる事がほとんどです。でも僕は割とテーマや要素を詰め込むタイプというか、そういうライターとよく仕事をしている事もあって、どうしてもはみ出てしまう(笑)。でも、そこから内容を刈り込んでいくと、今回の様に100分くらいの物語が出来上がります。とはいえ出来れば入れたいシーンもあったんですけどね。

―先ほど言った事と矛盾していますが、それもすごく観てみたいです(笑)。

水島精二監督:キャラクターや世界への理解は深まるけど、でもそれを描きはじめたら、見せたいもの、聞かせたいセリフがボヤけてしまうし、描写の方法を変えると虚淵くんらしさも消えてしまう事に気づいたんです。それならば、具体的に話さなくても端々でディンゴやアンジェラの今までや、世界を匂わせていく。あくまで会話の中から想像してもらう、そのギリギリのバランスを狙いました。釘宮さんと三木さんのお芝居から色々な背景を感じ取ってもらおうと。

―釘宮さん、三木さん、神谷さんの演技素晴らしかったです。このキャスティングについてはいかがですか?

水島精二監督:三木さんとはディンゴについてたくさん話をしたのですが、三木さんの素晴らしいのは、ディンゴの過去や背景を聞いてくるのでは無くて「僕はこう解釈したんですけど、合っていますか?」と自分で考えて、噛み砕いて演技してくれる所なんです。こちらが与えた情報をもとに、更に掘り下げてディンゴを理解して演じてくれているからこそ、少ない説明や補足でキャラクターの性格や背景を、見てくれる方たちに伝えられるのだと思います。

アンジェラのキャラクターデザインを作り始めた頃から、釘宮さんを想定していました。アンジェラは、ものすごい知識量のあるキャラクターで、知識や体験を考えると40代でもおかしくない。でも見た目は10代で、どこか幼さも脆さもある。そんなアンバランスさを表現できる女優さんは釘宮さんしかいないだろうと。もともと彼女の力量に惚れていたので、ようやく釘宮さんに彼女じゃないと出来ない、本当のヒロインで起用出来て嬉しかったですね。

フロンティアセッターに関しても、神谷さん合うよなあと思っていて。彼とは『ガンダムOO』でも仕事をして、とても真面目に取り組んでくる方だと知っていたのですが、役が役なので、こんな作品やるんだけれど出てくれない?と、僕と虚淵くんの作品で演って欲しい役がある、とだけ伝えて。そうしたらとても興味を持ってくれて。無事、調整も出来て、キャスティング出来ました。ストーリーにも共感してくれてすばらしいキャラクターにしてもらえました。

―理想的なキャスティングだったと。

水島精二監督:『楽園追放 Expelled from Paradise 』は僕にとっても初めての劇場オリジナル作品という事でチャレンジだし、勝負だったので、釘宮さん、三木さん、神谷さんという絶大な信頼を置いている3人に演じてもらえたのは本当に有り難かったですね。

―また、3DCGによるアクションシーンの迫力もすごかったですね。

水島精二監督:もともとアクションシーンに定評のある3Dアニメーターが集まった事と、『エウレカセブン』などを手掛けている京田知己さんに後半の絵コンテと演出を担当してもらいました。ある意味監督2人体制の様な感じで、僕は監督として全体を俯瞰で見つつ、3DCGが苦手とする日常的なシーンやストーリーに関わる部分の多い前半2/3くらいを演出し、京田さんにはアクションシーンを中心とした後半1/3くらいを見てもらって。そうやって協力しながら作りました。

―私が言うのもおこがましいですが、アニメーションの新たな歴史の一ページがはじまったといいましょうか。

水島精二監督: 3DCGで日常芝居を描くことはあまり経験がなかった分、大きなチャレンジでしたね。絵コンテに描いてある芝居を理解しつつ、より自然に、仕草や表情を作っていく事。感情を伝えるためのお芝居はかなりできたと思います。アクションは、グラフィニカの3Dアニメーターが京田さんという司令塔を得て、そのポテンシャルを最大限に発揮したと思いますね。

『楽園追放 Expelled from Paradise 』はグラフィニカという新鋭のデジタル3Dの会社が本当に愛情をもって今までやったことないことにもどんどんチャレンジして、そのトライアルを繰り返して作りあげる事が出来た映画です。現状の3DCG、セルルックのアニメーションでは、今最高峰の技術を集めた作品です。これからのアニメーション作品の新しい歴史のスタートになって欲しいなと思っています。

―今日はどうもありがとうございました。

『楽園追放 Expelled from Paradise』
http://rakuen-tsuiho.com

(C)東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサエティ

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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