IT企業の陰謀や抗争を描いた『パワーゲーム』監督インタビュー「個人情報流出に警鐘を鳴らしたい」

access_time create folderエンタメ 映画
ロバート・ルケティック

ベストセラー小説を原作に、巨大企業のカリスマ同士の権力闘争に巻き込まれた若手社員の運命を描いたビジネスサスペンス『パワー・ゲーム』。『ハンガー・ゲーム』シリーズのリアム・ヘムズワースを主演に、『エアフォース・ワン』以来17年ぶりとなるハリソン・フォードとゲイリー・オールドマンの共演も話題です。

本作を手掛けたのは『キューティ・ブロンド』や『ラスベガスをぶっつぶせ』など様々ななジャンルの傑作を生み出してきたロバート・ルケティック監督。監督が「個人情報は何よりも大切な宝物」と話とおりす、個人情報流出やWEBを介しての情報の監視など、私達にとっても見逃せないストーリーです。今回は監督に映画や、デジタルセキュリティについてなど色々とお話を伺ってきました。監督の次回作と噂されている“女性版『エクスペンダブルズ』”の話もチラっと出てきますよ!

―『パワー・ゲーム』は、全米でベストセラーとなった小説を原作にしたサスペンスですが、10年前の小説を今映画化して、ズレを感じる事はありませんでしたか?

ロバート・ルケティック:この映画の話をもらった時、ちょうどウィキリークスの事件が話題になっている頃だったんだ。原作は10年前に出版された本だけど「個人情報が商品になる」という危険が書かれていて、原題にも通じる話だと思ったんだ。僕ももともと興味を持っているテーマだったしね。もちろん、10年で時代は変わったから古さを感じる描写はあったけど、その部分はアップデートして。キャラクター達は原作同士なんだけど、周囲の状況や環境は現代風にアレンジしているよ。

―今回の映画の為にどの様な事・人を取材しましたか?

ロバート・ルケティック:諜報関係の専門家……いわゆるスパイの方に色々とお話を聞きました。主人公や登場人物が使っているガジェットについては、実際に携帯電話メーカーに現在開発中のモデルを見せてもらったり。映画の中に色々なガジェットや技術が出て来ますが、これは映画の中の話だけでは無いんですね。近い未来に実現可能という事です。

後は、軍関係者の方にもお話を聞いて。今こうして僕はあなたと会話をしていますけど、この会話を遠隔操作で遠い国から聞くという事も出来てしまうんですね。そうやって取材をすればするほど、この映画の原題であるParanoia、つまり妄想状態になってしまったんだ。今でも、自宅に戻ったらPCやスマートフォンのカメラにシールを貼って隠しているよ。

―確かに、いくら気をつけても気をつけ過ぎるという事は無さそうですよね……。私たちも気をつけなくてはいけないと思います。

ロバート・ルケティック:つい最近も女優やアーティスト達のプライベート画像が流出してしまうという事件がありました。皆、自分の情報がどこまで危険にさらされているのか気付いていないんだよね。こういった映画を観て恐いなと思っても「自分とは関係無い」と考えてしまう。でも僕は、プライベートは宝物の様に大事な物だし、一度失ってしまったら二度と取り戻す事が出来ない物だと思う。スキミングされたクレジットカード情報や、Facebookが集めた個人情報は誰が集めているんだ? って世の中を疑う事も必要だって警鐘を鳴らしている作品でもあるんだ。

―リアム・ヘムワーズという若きスターと、ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマンという名優の共演はとても豪華でした。

ロバート・ルケティック:リアム・ヘムズワースを主演に起用する事はすぐに決まったよ。『ハンガー・ゲーム』も観ていたし、彼は“ソー”(クリス・ヘムズワース)の弟だしね(笑)。若くて野心家な瞳がこのキャラクターにピッタリだと思った。

ハリソン・フォードは僕の小さい頃からのヒーローだったんだ。彼は飛行機の操縦をするんだけど、僕も時々するの共通の趣味を持っているんだ。それで飛行機関連のパーティで一緒になった時に勇気を出して話かけて出演してもらえるも事が出来たんだ。ゲイリー・オールドマンには企画と脚本を送り、それに興味を持ってもらったのと、『エアフォース・ワン』以来のハリソン・フォードとの共演に惹かれたらしい。今回、こんなに豪華なキャストを揃えるのに2週間しかかからなかったというのは本当に驚きだよね。

―どんな映画でもキャスティングが一番苦労すると、監督のみなさんはおっしゃいますもんね。

ロバート・ルケティック:本当にキャスティングって大変なんだよ。僕の次の監督作だと噂されている、女性の傭兵達の……“E”から始まる映画(女性版『エクスペンダブルズ』!)も、かれこれ1年くらいキャスティングに苦労しているんだ(笑)。

―どんなキャストが集まるのか、いつその映画を観れるのか今から楽しみで仕方ありません!

ロバート・ルケティック:まだ詳しい事は言えないのが残念だよ。でも、撮影自体は来年の春から入るつもりだよ。楽しみにしていてね。

―待ち遠しい……。今日はどうもありがとうございました。

ロバート・ルケティック

『パワー・ゲーム』ストーリー

躍進中のIT企業ワイアット社に勤務するアダム(リアム・ヘムズワース)は、成功のチャンスをつかもうと必死だった。ある日、彼はCEOニック(ゲイリー・オールドマン)の前で新ソフトのプレゼンをするものの失敗し、トップにたてついたせいで本人とチーム全員が解雇されてしまう。やけくそのアダムは仲間と一緒に会社の金で高級クラブに繰り出すが……。

http://power-game.jp/

(C) 2013 PARANOIA PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. IT企業の陰謀や抗争を描いた『パワーゲーム』監督インタビュー「個人情報流出に警鐘を鳴らしたい」
access_time create folderエンタメ 映画

藤本エリ

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。