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今注目の若手建築家7組が提案、[MAKEHOUSE-木造住宅の新しい原型展]

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日本の木造住宅をもっと安く建てられるよう、部材をシンプルに「パーツ化」したいと、「耐震構法SE構法」を開発したNCN社が建築家たちに声をかけた。若手の気鋭建築家7組がそれを受け、木の家の新しいつくり方についてアイデアを出した展示会を見てきたので、その模様をお伝えします。[MAKEHOUSE-木造住宅の新しい原型展]@六本木、東京ミッドタウン

10月17日~26日の期間、六本木の東京ミッドタウンに木造のSE構法で建てたテント会場が出現した。住宅部材の「パーツ化」プロジェクトの第一弾として、建築家たちのアイデアを発表、展示。入場無料で43000人もの人が来場した。

【画像1】会場も木の構造を見せたSE構法。住宅だけでなく、大規模建築も建てられる耐震構法(写真撮影:藤井繁子)

【画像2】「パーツ化しながらも、普遍的で資産価値のあるデザインを建築家と探りたい」と主催の田鎖NCN社長(写真撮影:藤井繁子)「開かれた家」―鈴野浩一/禿真哉(トラフ建築設計事務所)

展示された3階建ての模型は、基本パーツ5種(柱1+梁4)で構成され、追加パーツ4種(柱1+梁2+床1)を足して空間をつくってゆく。10年、30年と住み手の家族構成が変わるたびに、床などのパーツを足したり取っ払ったりして間取りを柔軟に変化できる家だ。

【画像3】「構造をシンプルに、かつ家具と建築を一体化させてコストを抑えます」右から鈴野浩一さん/禿真哉さん(トラフ建築設計事務所) (写真撮影:藤井繁子)

「開かれた家」というタイトルには、部材や構造がシンプルなので住み手につくる行為を「開き」参加しやすくなるという意味と、住み手がコミュニティに向けて「開く」家にしたいとの思いも。

【画像4】今回の模型では1階が妻のフラワースクールとして、「開かれた家」(写真撮影:藤井繁子)「高床の低い家」-谷尻誠 

水上に建つ家をジオラマで見せた谷尻氏は広島出身、海の上に建つ宮島の社殿にインスピレーションを得たようだ。傾斜地や水上など悪条件の敷地に高床という解決策を提案、土地代のコストも抑えられそうだが「基礎の鉄筋コンクリート代もコストカットできます」とのこと。

【画像5】「自然のままの立地、機能が限定されていない空間に可能性を感じます」谷尻誠さん(サポーズデザインオフィス)(写真撮影:藤井繁子)

高床に対して、建物は低い天井高を提案しエネルギー効率の良い経済的な空間に。「50㎡弱の家を1000万円で建てられれば、食や旅など生活に余裕ができて豊かになるはず」と、シンプルでコンパクトに住まうライフスタイルも提案した。

【画像6】池のような水上に現れた「高床の低い家」をジオラマで展示(写真撮影:藤井繁子)「つくる家」-長坂常

その名のごとく、住み手が自分で「つくる家」セルフビルドを実現するパーツを提案した長坂氏。T字型やL字型の木製アングル部材をパーツとして用意し、シンプルな四角の躯体に自分で取り付けてゆく。部材を木製にすることで、素人でものこぎりでカットでき釘やビスを打つことができる。

【画像7】「DIY好きな人たちが、必要なスペースをつくりながら住んでいくイメージ」長坂常さん(スキーマ建築計画)(写真撮影:藤井繁子)

‘Between Architecture and Furniture’ をテーマにした長坂氏、今回はパーツ部材を活用しながら棚や空間をつくる様子も楽しげな絵で見せた。鉄やアルミで近代化されてきた日本の住宅部材を木に戻すことで、新しい日本の住まいの美しさや感性が戻ってくるように思えた。

【画像8】住宅にある隙間空間 ‘Between Architecture and Furniture’ を住まい手が埋めてゆく(写真撮影:藤井繁子)「内と外の家」-藤原徹平

建て込んだ都市の住宅では、縁側のあるような開放的な庭を持つことは難しい。そこでプライバシーを確保しながら、自然を無理なく取り込む構造パーツの考え方を提案した。ポリラインフレームと藤原氏が呼ぶ、多重線のグリッドで光や風の通り道[中間領域]をつくり自然を住戸内に取り込む設計が特徴的。

【画像9】光や風を取り込む中間領域が、住宅の中心部にも走る(写真撮影:藤井繁子)

【画像10】「日本家屋ならではの中間領域の豊かさを実現したい」藤原徹平さん(フジワラテッペイアーキテクツラボ)(写真撮影:藤井繁子)

中間領域と内部空間の分量比率を、S/M/Lと3タイプに分けて住まい手に選ばせるという提案も面白い。「自然環境が住宅面積より大事」という志向の人なら[中間領域L:内部空間S]という組み合わせ。洋服と同じく住宅プランもS/M/L、3パターンだけで良いのでは?というシンプルな発想である。「柱と梁の家」-藤村龍至

部材のパーツを徹底的に見直し、柱と梁の寸法を各1種類に絞った藤村氏。間取りも田の字型で4つに区切ったシンプルなものだが、その中心には大黒柱を構えて日本の木造住宅らしいしつらえに。構造的な強さだけでなく、家族にとって住まいのシンボル、拠り所となる思いを込めた大黒柱だ。

【画像11】「性能評価も最高等級でクリア、すぐにでも量産化に対応できます!」藤村龍至さん(藤村龍至建築設計事務所)(写真撮影:藤井繁子)

今回、家のサイズを6000×6000㎜、7200×7200㎜の2パターン設計とした。年間光熱費がマイナスになるシミュレーションまで詳細数字を落とし込み、大手ハウスメーカーにも負けない性能値をたたき出した。

【画像12】「柱と梁の家」スタンダードモデル(6000×6000㎜)は、お値段しめて1592万円!(写真撮影:藤井繁子)「 大中小の家 」-中山英之

‘大中小’とは、テーブルのような構造体を3種類(高さ:大4650/中3050/小1700㎜)用意し、重ねることで高さの違う空間を生み出すアイデア。大の下に小を入れたり、中を上に置いたりと、家具のようにテーブル型構造体を重ねてみると意外な空間ができる。家づくりや部屋の概念を変える斬新な発想だ。

【画像13】「テーブル型にしたのは家具を買い足していく感覚で、家づくりを身近に考えて欲しかったから」中山英之さん(写真撮影:藤井繁子)

一番外側の大テーブルに外壁を付けず、外とのコミュニケーション空間とすることもできる。小テーブルを今住んでいる部屋にセットすれば、ロフト空間が生まれる…… 確かに新しい住まいのつくり方だ。

【画像14】大中小と、入れ子でつくる住空間。ロシアのマトリョーシカ人形のよう!(写真撮影:藤井繁子)「アプリの家」-吉村靖孝

最後に紹介するのは、[House Maker]と名付けたアプリケーション・ソフトを開発した吉村氏。誰でも家を設計することができるアプリなら、建築家要らずかも!?設計のみならず構造計算から部材発注まで、オンライン化することを提案。

【画像15】展示されたアプリ画面、タッチパネルで私でも簡単に操作できた(写真撮影:藤井繁子)

骨組みは、平面910㎜×立面1200㎜のグリッドの格子状。これくらいの小さなグリッドで組むと、小梁や間柱などが要らず部材数を減らせる結果に。また、このアプリのキモは総工費が常に表示され、外壁や窓を選ぶたびに表示価格に反映。「ユーザーは楽しみながらも必然的にコスト意識が高まり、無理を言うこともなくなる(笑)」

【画像16】「住み手がアプリでつくった図面を、売れるところまでビジネス化したい」アプリを操作する、吉村靖孝さん(吉村靖孝建築設計事務所)(写真撮影:藤井繁子)

各建築家のプロフィールや模型などの詳細は、以下の[MAKEHOUSE]ホームページにて公開されている。

今回の展示では住宅部材の「パーツ化」によって、より住み手が主体的になるなど家づくりのプロセスが変わる可能性を見せてくれた。これらのアイデアには既に複数の企業から関心が寄せられているとのこと。来年にはこの提案を実現したリアル住宅が建つことになる。あなたが施主なら、どのアイデアを実現したいですか?●MAKEHOUSE
HP:http://www.ncn-se.co.jp/makehouse/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/10/31/72382/

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