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プロジェクトの成否を決定づける“プロデューサーの仕事術”

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 日本固有のポップ・カルチャーや伝統産業を世界に売り出そうとするクール・ジャパン戦略が政府によって採択されて早4年。かつてのような高度成長がもはや見込めない日本が世界で勝ち残っていくには、オンリーワンの”新しい価値”を創り出していくことが求められています。
 さまざまな商品やサービスにおいて、「競合他社より安くて便利なものをつくる」ことはもはや当たり前。これからの時代は「独自の着想と技で”まだないもの”をつくる」ことが出来なければ、人も企業も生き残ることは出来ないでしょう。

 『世界に売るということ』(平野暁臣/著、プレジデント社/刊)では、空間メディアプロデューサーとしてセビリア万博日本政府館、六本木ヒルズアリーナや岡本太郎美術館などのプロデュースを行ってきた著者の「仕事の流儀」が紹介されています。「独自の着想と技で新しい価値を創り出す」という、平野氏の思考と方法論からは、クリエイティブ職でないビジネスマンも学べることも多いはずです。

■そもそも「プロデューサー」って?
 「プロデューサー」とは、どうすればプロジェクトを実現できるかを考え、実際にその仕組みをつくって遂行するリーダーのことです。その意味でいえば、AKB48の総合プロデューサー・秋元康や音楽プロデューサー・小林武史といった独立系のプロデューサーだけでなく、事実上のプロデューサーとして企業や組織の中で力を発揮している人は大勢います。

 本書は5章の構成になっており、それぞれに
1、欲望をセットし、ビジョンを描く
2、腹をくくって、構える
3、チームを起動し、味方に引き込む
4、人を束ね、惹きつける
5、プロデュースの勘所
 というタイトルがつけられています。各章でこれからの時代を生き抜くために必要な心構えが詳しく紹介されています。今回は、第1章から、クリエイティブな仕事に欠かせない「アイデア」の育み方についてご紹介します。

■「欲望」が決めるプロジェクトの強さ
 さて、プロジェクトの芯になりえるアイデアとはどのようなものか。
 著者は、「創造的なアイディアとは絶対的なものであって、相対的なものではない」と語ります。「マイナスをゼロにする」「マーケティングから学ぶ」という分析的な態度は、合理的で科学的です。それゆえに、誰がやっても同じように出来る”システム”となっています。
 一方、クリエイティブなモノづくりの根底に宿すべきは、”個人の欲望や思い”であるといいます。クリエイティブなビジョンとは血の通った人間の思いと情熱からはじまる”欲望”ですから、アイデアの源泉は経験にしかないのです。アイデアとはプロジェクトの基盤になるものですから、強いモチベーションがなければいけません。プロジェクトの強度は、つくり手の欲望の強さに比例しているのです。

 著者・平野氏は、岡本太郎の妻・敏子さんの葬儀をつくることになった際に、「敏子さんは岡本太郎のことを”言葉”で支えてきた人だから、彼女の最期は”言葉”で送ろう」と決め、参列者には焼香の代わりにカードを書いてもらい、参道からは敏子さんの声が聞こえてくる、という演出をしました。
 周りからは「夫の作品で飾ろう」「映像で盛り上げよう」「敏子さんを見送るパフォーマンスをさせてほしい」といった声があがりましたが、平野氏は徹底して”言葉”だけで構成し、忘れられない体験を創り出しました。
 つまりこれは、平野氏の「言葉で送り出したい」という強い欲望があったからこそ出来上がった一つの作品と言えるでしょう。

 プロジェクトでは、成果の品質も、性格も、すべてプロデューサーの個性と情熱に依存します。決断するときは一人ですから、孤独と責任に耐えねばなりません。けれど、それと引き換えに新しい物事の誕生に立ち会うという特権が与えられます。その作法を身につけてみると、人生にも新たな展開が出てくるかもしれませんよ。
(新刊JP編集部)


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