農水省推進「6次産業化」のメリット・デメリット

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農林水産省が推進する「6次産業化」とは?

農水省推進「6次産業化」のメリット・デメリット

農林水産省が推進する「6次産業化」。「6次産業化ネットワーク活動交付金」などの給付金も準備されるなど、国全体での支援を掲げています。6次産業化とは、農林漁業者が主体となって生産から加工・販売まで取り組むことです。詳しく説明すると、農山漁村には有形無形の豊富なさまざまな資源「地域資源」(農林水産物、自然エネルギー、風景・伝統文化など)に溢れています。 6次産業化とは、それら「地域資源」を有効に活用し、農林漁業者(1次産業従事者)がこれまでの原材料供給者としてだけではなく、自ら連携して加工(2次産業)・流通や販売 (3次産業)に取り組む経営の多角化を進めることで、農山漁村の雇用確保や所得の向上を目指しています。

「1+2+3=6」で6次産業化と呼ばれていますが、単なる足し算ではなく、有機的・総合的結合を図るという意味で「1×2×3=6」という意見もあります。こうした経営の多角化が、地域活性に繋がると期待されています。

7割強の農家が所得の向上を実感。しかし、デメリットも

1次産業は利益率が悪く、利益率の良い2次産業・3次産業を合わせることで所得が向上します。現に日本政策金融公庫が実施したアンケートでは、6次産業化で7割強の農家が所得の向上を実感したという結果が出ているようです。

ただ、もちろんデメリットもあります。そもそも、長年食品加工や流通販売しているプロの2・3次産業事業者が存在します。そのような事業者を相手に、素人である農林漁業者が2・3次産業に参入することになるのですから、そう簡単に成功しないことは容易にわかります。

しかも、2次産業である食品加工は投資額も大きく、衛生面でも厳格な管理が求められます。したがって、6次産業化を目指す農林漁業者は、食品衛生の知識を相当勉強する必要があり、リスク管理・投資に対する責任も持つことになります。そこまでして6次産業化を進めたいのかを考え、一度立ち止まってじっくり考える必要があるかもしれません。

6次産業化は簡単ではないが、全国では成功例も

とはいえ、6次産業化が成功すれば1次産業のみでは得られなかった所得を獲得することは間違いありません。実際、全国で成功例も出てきています。その一例として、高知県のとある村では、柚子を使ってポン酢しょうゆや清涼飲料水を加工・販売し、6次産業化に成功しています。ただ、軌道に乗るのに20年近くの歳月を要し、毎年新商品を販売するなど成功した現在でも消費者に飽きられないよう努力しているそうです。

繰り返しになりますが、6次産業化は簡単ではありません。2次産業・3次産業について勉強し、消費者のニーズを研究する必要があります。そこで、農業経営アドバイザーという資格を持っている人がいます。そのような人をアドバイザーとして頼り、少しでも6次産業化成功の可能性を高めてから行動することをおすすめします。

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