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外見的特徴で通行人認証、法的な問題は

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JR大阪駅の駅ビル内で通行人認証実験の実施計画

総務省の外郭団体である独立行政法人情報通信研究機構は、顔や歩き方(歩容)、服装、髪型などの外見的特徴でカメラに映った人物を識別する方法で、JR大阪駅の駅ビル内で人間がどのように移動するかを追跡する実験の実施計画を第三者委員会に提示したとの報道がなされました。実験データにより人の流れを掴み、災害時の避難計画立案に有効活用できるかどうかを検証する目的で行うものとされています。

この実験では、外見的特徴を数値化してIDを与え、データ化された段階で映像そのものを消去するため、当該データで個人を特定することはできない仕組みを予定しているようです。

法的保護が及ばないとする解釈には疑問

ところで、我が国において定められている「個人情報の保護に関する法律」や「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」では、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と〈容易に〉照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)」を「個人情報」と定義しております。よって、上記のようなデータは「個人情報」に該当するものではないと一応はいえます。

しかしながら、法律上の「個人情報」に該当しないからといって、法的保護が及ばないとする解釈には疑問があります。法律上の「個人情報」には該当しない外見的特徴に関する情報も、特定の個人に関する情報であることに違いはないのであり、公権力による利用のされ方如何によっては、監視社会につながりかねず、個人のプライバシーないし行動の自由を制約してしまう危険性があります。また、民間に流出してしまった場合には、どのような形で悪用されるのかも予測できません。

機構は、本年4月に実験を始める予定でいたものの、市民の反発を受けて延期に追い込まれ、第三者委員会において、プライバシー保護の方法などが検討されているようです。データ化された情報というものは、本来の目的以外に利用される危険性がありますし、一旦流出してしまった場合も今のインターネット社会においては拡散自体が容易であるため、その回収は極めて困難となってしまうものです。

このように考えると、実験の実施については、慎重に議論を重ねる必要があるといえるでしょう。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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