『るろうに剣心』佐藤健×伊勢谷友介×大友監督インタビュー「あの時代の“生きる”ってすごく重い」
「週刊少年ジャンプ」にて発表され、爆発的ヒットを記録した和月伸宏のコミックを実写映画化した『るろうに剣心』。12年の公開から2年の月日を経て、ファンの間で最も人気の高いエピソード「京都編」を描いた2部作の前編『るろうに剣心 京都大火編』が8月1日より公開し、大ヒットを記録しています。
主演はもちろん佐藤健さん。武井咲さん、蒼井優さん、青木崇高さん、江口洋介さんら前作からのキャストに加え、志々雄真実役に藤原竜也さん、四乃森蒼紫役に伊勢谷友介さんら実力派キャストが追加。『龍馬伝』の大友啓史監督がメガホンをとり、日本映画史上類を見ないスケールのアクションエンタテインメント作が完成しました。
今回は、大友啓史監督、佐藤健さん、伊勢谷友介さんの3名にインタビュー。映画の見所や、撮影の苦労話などを伺ってきました。
※すべての画像は(http://otajo.jp/41021)をご覧ください。
(撮影:周二郎探検隊)
――作品を拝見して、前作以上にパワーアップしたアクションの数々に大興奮でした。そして「京都大火編」には、悲しい人間ドラマが描かれていて。剣心にとって志々雄は敵でも、志々雄には志々雄の想いがあるわけで……。監督が『京都編』に惹かれた理由を教えてください。
大友:僕は『龍馬伝』の監督もやっていますから、幕末に生きた人物についてはある想いをめぐらせるわけですよね。吉田松陰がどういう想いで死んでいったんだろうとか。『るろうに剣心』も、エンタテインメントでありながらその時代に生きていた人々の無念さや悲しさを痛いほど描いている原作です。あの時代の人達の「生きる」という意味って今以上にすごく重かったと思うから、その生きる支えを無くした時の念とかパワーはそれこそ倍返し、10倍返しになると思うんだよね。
伊勢谷:『るろうに剣心』で描かれているのって、言ってしまうと必要とされなくなった人達なんですよね。幕府側でも無いし、倒幕側でも無いという、そのひずみが戦いのパワーになっていますよね。僕は『龍馬伝』で高杉晋作を演じていますが、幕末という事でそちらの方が演じていて気持ちを入れやすかったです。蒼紫は本当に体の奥から恨みつらみが沸き上がっているんですよね。
大友:『京都大火編』での蒼紫のセリフって「どこだ……抜刀斎……どこだ……」ばっかりだもんね(笑)。
伊勢谷:そうなんですよ。「抜刀斎……どこだ……」「俺の幕末は終わってない……」だけですもんね(笑)。
――伊勢谷さんは蒼紫にキャスティングされた時、率直にどの様な感想を抱きましたか?
伊勢谷:『るろうに剣心』は前作でもアクションでもの凄いチャレンジをしている作品でしたので、その中で僕も新たなチャレンジを出来ると思ったので参加させていただきました。そしてコテンパンにされました(笑)。
――アクションで相当苦労されたと。
伊勢谷:膝に水たまるんだ!? って驚きましたね。健君はものすごくアクションが上手ですから、年下だけどとても勉強になりました。少しでも追いつこうと一生懸命トレーニングしていたのに、健君もさらにトレーニングしてくるからなかなか追いつけないわけですよ。
佐藤:いえいえ、僕も必死だったんですよ(笑)。蒼紫とは出会ってすぐに戦うシーンなので、自分の事でいっぱいいっぱいというか、緊張感がものすごくて。
伊勢谷:そうかなあ、ひょうひょうとしている様に見えたんだけど。でも後から健君も体ボロボロだったって聞いて。この『京都大火編』と『伝説の最期編』では、最後の方の健君の顔全然違ったもんね。志々雄と対峙する所なんて、目から血が吹き出るんじゃないかっていうほどの迫力だった。
佐藤:蒼紫の迫力も凄まじかったですけどね。でも確かに、原作でもアニメでも、前回の映画でも観た事の無い剣心を見てみたいという想いが自分でもあったので、限界を越えようと。
――監督のキャスティングへのこだわりをお聞かせ願えますか?
大友:原作は『週刊少年ジャンプ』で連載されていたコミックですからね。ジャンルは紛れも無い“アクションエンタテインメント”なわけです。でも、エンタテインメントであればあるほど、そこに毒だったり違う要素をちょっぴり入れたくなる。その時に、キャスティングした俳優達が映画や芝居についてどういう考えを持っているかが実は大事なんです。
例えば「隠密御庭番衆」の田中泯と伊勢谷友介の戦いっていうのは、個人的にもたまらないものがあります。世代と分野は違えども俳優以外にも色々な活動をしている2人が、芝居を越えて、剣を交えるというのは、ある種2人の生き方自体のぶつかりを撮っているように思えて。僕の大興奮ポイントでしたね。
伊勢谷:泯さんは僕が芸大時代からとても尊敬していたパフォーマーでしたから、「この人越えなければいけない」という想いでいっぱいでしたね。
佐藤:田中泯さんが自由すぎてアクションが大変だったという話は現場で聞いていましたから(笑)、それについていける伊勢谷さんってすごいなあと思いました。
伊勢谷:アクション部が「ここで止めてくれ」って言っている所からさらにガツンと来るわけですよ。泯さんって負けず嫌いだから、芝居の中で負けたとしても本気で悔しいんですよ。だから攻撃が得意で思い切り攻めてくるたびに、「泯さんやばいっす」って何度も言ってましたね。膝に水貯まっても「叱れば治る」って言って、本当に水抜けてましたからね(笑)。
佐藤:68歳の方がそうですから、僕達が弱音なんて吐けないですよね。本当にパワフルで圧倒されました。
伊勢谷:泯さんとのシーン撮影は5日間ありましたが、5kg痩せましたからね。そういった苦労した事はたくさんありましたが、出来上がった映像を観ると本当に素晴らしいし、大友さんは、エンタテインメント作品であっても必ず強いメッセージを入れる監督なので、大友さんの作品に参加させていただくのは非常に嬉しいことです。
大友:『京都大火編』は8月1日に、『伝説の最期編』は9月13日に公開となりますが、『伝説の最期編』では、剣心と蒼紫の闘いはもちろん、軍艦でのバトルシーンに特に注目して欲しいです。軍艦って日本のスタジオじゃなかなか組めないんですよ、大きすぎて。一番大きい東宝のスタジオで船の頭と体を分けて作って、と苦労しましたね。ただ、着物を着て軍艦の中で剣で戦うという今まで映画で観た事の無いアクションシーンが撮れたので、満足していますね。そして、蒼紫の無念さだったり、志々雄の怨念が『伝説の最期編』では痛いほど伝わってくると思うのでドラマの展開もぜひ楽しみにしていて欲しいです。
佐藤:『京都大火編』も素晴らしい作品なのですが、僕の中では『伝説の最期編』への準備運動だと思っています。キャスト、スタッフ、全員体をボロボロにしながら戦った渾身の2部作となっていますので、ぜひ映画館でお楽しみください。
――どうもありがとうございました!
『るろうに剣心 京都大火編』ストーリー
かつては「人斬り抜刀斎」と恐れられた緋村剣心は、新時代の訪れとともに穏やかな生活を送っていた。しかし、剣心の後継者として「影の人斬り役」を引き継いだ志々雄真実が、全身に大火傷を負わせた明治政府へ復讐を企てていると知った剣心は、逆羽刀を手にとり、単身で志々雄のいる京都へ向かう。
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