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世界的に活躍する巨匠ふたりの濃厚な会話

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 体調が心配されながらも、小澤征爾音楽塾で指揮する姿を国内でも見せ、6月にはスイス・ジュネーブで海外公演も行ったマエストロ・小澤征爾さん。国内外問わず圧倒的な人気を誇り、4月には短編集『女のいない男たち』を刊行した村上春樹さん。

 本書『小澤征爾さんと、音楽について話をする』は、音楽と文学、それぞれの分野で世界的評価の高い小澤征爾さんと村上春樹さんによる、音楽に関する豪華な対談集です。

 2010年11月から2011年7月にかけて様々な場所で行われた、小澤さんの実際の経験を元にしたカラヤン、グレン・グールド、レナード・バーンスタインに始まる、クラシックを巡る非常に濃厚な音楽の話に、この度、新たに村上さんの書き下ろしエッセイが加わり、文庫化されました。

『村上春樹を音楽で読み解く』(日本文芸社)という本もある程、村上さんの小説作品にはいつも様々な音楽が流れ、ジャズやポップス、クラシックにも詳しいことはよく知られているところですが、本書を読むと造詣の深さに驚かざるを得ません。その知識量と音楽愛の深さは、小説家の中でも群を抜いて突出したものです。

 小澤さんも村上さんの音楽に対する姿勢について、次のように言います。

「あのね、こんなことを言うと差し障りがあるかもしれないけれど、僕はもともとレコード・マニアみたいな人たちがあまり好きじゃなかったんです。お金があって、立派な装置を持って、レコードをたくさん集めている人たち。(中略)でもね、あなたと話していて僕がいちばん感心したのは、あなたの音楽の聴き方がとても深かったということなんです。(中略)しっかり中身を聴いている。そういうところが、話をしていて、僕としては面白かったわけなんです」

 一方、村上さんも音楽と自身の文章との関係について述べます。

「僕は十代の頃からずっと音楽を聴いてきたんですが、最近になって、昔より音楽が少しはわかるようになったかな……と感じることがあるんです。細かいところを聴き分けられるようになってきた、というか。というのはたぶん、小説を書いていると、だんだん自然に耳がよくなってくるんじゃないかな。逆の言い方をすると、音楽的な耳を持ってないと、文章ってうまく書けないんです」

 音楽と小説をそれぞれを極めている二人が交わることで見えてくる、音楽を聴く上での抑えるべきポイントや、ジャンルを超えた共通点。音楽への理解の深まりはもちろんのこと、芸術への向き合い方にも刺激を与えてくれる一冊となっています。

 また、本書で取り上げられた楽曲を収めたCDも発売されていますので、興味のある方はこちらも聴いてみると、より二人の会話を楽しめるのではないでしょうか。

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