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「国家戦略特区」の提案募集でビジネスチャンスをつかめ[連載:岩盤規制(6)]

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安倍首相のダボス会議でのスピーチ(今年1月)について、以前の記事(連載2)でもご紹介しました。

「既得権益の岩盤を打ち破る、ドリルの刃になるのだと、私は言ってきました。春先には、国家戦略特区が動き出します。向こう2年間、そこでは、いかなる既得権益といえども、私の『ドリル』から、無傷ではいられません。」

我が国には、これまで長い間「こんな規制はおかしい」「是正すべきだ」と言われながら、岩盤のように堅く維持されてきた、さまざまな「岩盤規制」があります。これらを、自ら「ドリルの刃」となって打ち砕くというのです。

2年でこれを実現できるならば、画期的なことと言ってよいでしょう。

以前の記事でも触れましたが、岩盤規制のある分野は、現状では大きくビジネスが制約されています。だからこそ、岩盤さえ打ち破られれば、新たなビジネスチャンスの宝庫にほかなりません。
http://getnews.jp/archives/620600 [リンク]

今回は、安倍首相のスピーチでも岩盤突破の起点として言及されている、「国家戦略特区」についてお話ししたいと思います。

「国家戦略特区」は、安倍内閣のもとで、昨年12月に新たに創設(法律制定)され、今年から本格稼働を始めた制度です。

私は実は、政府の国家戦略特区の制度設計・運用に関するワーキンググループの委員を務めており、関係者の一人でもあります。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/index.html [リンク]

「国家戦略特区」とは何か……一言でいえば、「岩盤規制を打ち破るための仕掛け」です。

岩盤規制を打ち破ることは、容易ではありません。

以前の記事(連載1)でも触れましたが、既得権団体、族議員、官僚機構、マスコミが一緒になって反対するからです。

そこで有効なやり方は、いきなり一斉に規制撤廃・緩和を目指すのでなく、「まずは地域を限って実験的にやってみる。さらに、それで問題がなければ、拡大する」というステップを踏む戦術です。これが「特区」です。

「特区=規制改革の実験場」という考え方は、決して新しいものではありません。

2002年に小泉内閣のもとで、「構造改革特区」という制度が作られました。

10年以上前にことなので、記憶が薄れつつあるかもしれませんが、この制度は初期には大いに成果をあげました。例えば、農業への企業参入(ただし、リース方式に限る)が最初に解禁されたのは、構造改革特区においてでした。実験的にやってみたら特段問題はないということで、のちに全国展開されました。

「構造改革特区」は、実に秀逸な仕組みでした。

特に、意欲ある地方自治体が自ら提案して手をあげるという、「地方主導」の仕組みを組み込んだことは、中央集権的に定められた岩盤規制に穴をあける上で、画期的な仕組みだったと言えます。

しかし、この秀逸な仕組みは、初期には大いに機能発揮したものの、時を経るうちにマイナス面も生じてきます。

「地方主導」の裏返しとして、「国は受け身」(地方からの提案待ち)になってしまったのです。
そうなると、思い切った提案をした地方自治体は、強力な「反規制改革」勢力から目の敵にされ、陰に陽にいろいろな嫌がらせを受けかねません。

何年か経るうちに、大胆な提案がなされることは、ほとんどなくなってしまいました。

その結果、初期の一部の成果は除き、ほとんどの岩盤規制は手つかずのまま残ってしまったのです。

(なお、民主党政権のもとで「総合特区」という制度も設けられました。ここで詳しくは述べませんが、同様の問題があり、やはり「岩盤規制」に手をつけることはできませんでした。)

今回、新たに作られた「国家戦略特区」は、こうした過去の特区の成功と失敗を研究した上、今度こそ岩盤規制を打ち破ることのできるよう、仕組みを作り直したものです。

最大のポイントは、「国が受け身」にならないということです。

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記者:

株式会社政策工房代表取締役、特定非営利活動法人「万年野党」理事。

ウェブサイト: http://yatoojp.com/

TwitterID: HaraEiji

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