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なくならない職業「記者」に暗雲 いずれITに置き換えられる?

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米オックスフォード大マートン校の研究によると、電話営業や組み立てラインスタッフなど現在存在する仕事の47%が、今後20年間で自動化されて姿を消すという。その一方で、専門的な機械修理工や人間を相手にする作業療法士などは、ITに置き換えられないと見られている。

メディアで記事を執筆する「記者」の仕事も、機械化が難しく、特に日本では言語の参入障壁もあって「将来安泰の仕事」と見られていた。しかし技術の発達スピードは想像を超え、記者をロボットに置き換える可能性も出ているようだ。

AP通信が自動化で「300本から4400本に大幅増加」

報道によると、米国内の放送局や新聞社の協同組合であるAP通信が「ロボット記者」の導入を決めたという。IT技術により企業決算記事の自動作成が可能になり、四半期で300本出ていた記事を4400本に大幅増加させるという。

今回のプログラムは証券会社の持つ企業の報告書から必要な数字を抜き出し、即座に150語から300語程度の記事に仕立てるものだ。もっとも「ロボット記者」による記事の自動作成は、実は数年前から地震速報やスポーツニュースなどに応用されている。

自動生成したコンテンツを提供するオートメーテッド・インサイツのCOO、スコット・フレデリック氏は、AFPBBニュースに対し「今後1~2年のうちに、報道業界はどこの社も何らかの自動化戦略が必要になるだろう」と語っている。

同社が自動作成する記事は、同じデータソースを使って読者の好みや地域別に書き分けている。プロ野球で例えれば、阪神ファン向けには「マートン逆転打」、巨人ファン向けには「原巨人、勝利に一歩及ばず」というような感じだ。

AP通信の「ロボット記者」の出現はネット上でも話題になっている。ユーザベース・電機セクターアナリストの加藤淳氏はニュースアプリNewsPicks上に、記者たちに「危機感を持たなければ」と警鐘を鳴らすコメントを書いている。

「(記事の作り方を)しっかり理解できてる人が構造作れば、処理できるデータ量が圧倒的だから、一定の人間よりも出来ると思う。つまり、真剣に自分の首吹っ飛ぶリスクあるわけで、むしろ危機感持ってその残れる一握りにどうやってなれるか、そこを考えないとと思う」

「人間にしか書けない記事」を書けるかどうか

一方、ユーザベース代表取締役の梅田優祐氏は「人を介さないコンテンツはすぐにコモディティ化するので永続性はないと思う」と、ロボット記者は脅威とはならないという見方だ。NewsPicks編集長の佐々木紀彦氏も、

「記事の校正、ファクトチェックなどで、テクノロジーの力がもっと使えるとありがたい」

と評し、ロボットが記事作成の中心となることは「ありえません」と断ずる。

とはいえ、各種団体から発表されたリリースを書き下しただけの「記事」が現在でもメディアを飾っており、その価値自体はあまり変わっていない。重要なのは、制作コストが劇的に下がることではないか。

日本語で初めての「ニュースの自動要約」機能を有するアプリ「Vingow」を運営するJX通信社の米重克洋社長は、キャリコネ編集部の取材に対し、「ほどほどの質」でいい記事は機械で作り、大量に出すようになることは間違いないという見方を示している。 

「逆に言えば、記者は『人間にしか書けない記事』を書けなければ、今後生き残ることが難しい時代がやってくる。通信社やその記者は、役割の再定義を迫られることになるでしょうね」

デジタルカメラが台頭してきた2000年代初頭、カメラ業界の人たちは「フィルムにはフィルムのよさがある。アナログカメラは絶対になくならない」と言っていた。確かに「なくならない」かもしれないが、いまやニッチの市場に追いやられている。記者の世界でも同じことが起こらないとは言い切れない。

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