声優のギャラについて考えてみよう~その1(たかみゆきひさ)
今回はたかみゆきひささんのブログ『shadowcube』からご寄稿いただきました。
声優のギャラについて考えてみよう~その1(たかみゆきひさ)
【これから声優を目指す人、また、目指してる人向けのブログシリーズ】
演技の勉強もいいけど、たまにはこういうとこも考えてみよう。
だって、思うにみんなできれば声優業で食べていきたいもんね。
声優業で稼ぐってどういうことなのか、自分が目指す声優業はビジネスとして成立してるのか、プロを目指すなら一度は考えておかないとです。
さて、まず最初に「食べていける」っていうのはいったいどのくらい稼ぐことなのか。
このあたりは人によって違うだろうけど、ここでは一旦定義しておかないと話が進まない。
あと、今声優になりたい人って大半がTVアニメに声をあてる声優を目指してるから、ナレーションや外画の吹き替えなどはちょっと考えないでおく。
で、「食って行ける金額」
世間のスタンダード的に大卒初任給くらいですか?
平成25年の大卒の初任給は厚生労働省によると約20万円
「平成25年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」 『厚生労働省』
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/13/01.html
都内で7~8万のアパートで一人暮らしとかだと結構ギリギリだよね。
5万の安アパートでパンの耳ともやし炒めで生活すれば、もっと安く生活できるよっていう意見もあるかも知れませんが、それは「声優で食ってます」と自信持って言える感じでは無い。
将来のための貯金、これまで自分にかけた投資の回収とか考えると、もうちょっと欲しい。
そうは言っても新人だし、ここはまぁわかりやすく20万としましょうか。
数字的に計算も楽だし、
大卒会社デビューと同じということで。
さて、あなたが20万円(額面)もらえるっていうのは所属事務所にいくら入るってこと?
ここではタレントの取り分を8、事務所を2として計算してみましょうか。
あなたが月20万もらうとすると事務所に入るのは25万。
25万の仕事ってどのくらいの仕事?
30分のTVアニメのギャラは新人で1話1万5千円。
月に16話出演しても24万円。
つまり、TVアニメだけだと、週4本のレギュラーをこなしても月収20万には満たない。
ちなみに裏を返すと、週4本のレギュラーがあっても事務所の取り分は月5万にもならないということ(←ここ、あとでまた出るから憶えておいてね)。
週4本のレギュラーだよ?
あなたは週4本のレギュラーとれますか?
新人にとっては結構ハードル高いよねぇ。
そんな訳で、新人がテレビアニメ出演だけで食っていこうと思ってもかなり大変なことだということが容易にわかる。
TVアニメもメインどころに抜擢されればアニメに付随したラジオ出演やキャラソン、イベント出演などがあるからアフレコ以外の収入も出てくるし、人気が出ればOPやEDを歌ったりなんてこともある。
要するにTVアニメだけで声優として食って行くにはメインどころにキャスティングされないとほぼ食って行けないのです。
ランクもだいぶ上がって1話4万5千円になったとしても週4本のレギュラーに出て月72万。
このうち事務所に14万4千円、自分には57万6千円入ることになる。
これをキープするには週4レギュラーをキープしないといけない。
いずれにしてもナレーションだったり、ラジオやイベント出演だったり、歌だったりとアフレコ以外の仕事をどんどんやっていかないと収入的には厳しいってことです。
ということで、TVアニメのアフレコだけで声優として食っていくというのは難しいということがわかりましたか?
とは言っても、悲観することはありません!
うちでもかつて所属してた人も今所属してる人も含めて新人でも超余裕で食えるほどにもらってた人が複数人存在することを考えると、諦めちゃダメだってことです!
夢と希望をもって精進しましょう。
※実際には税金や健康保険とか年金とかその他いろんな出費がありますが、アタマぐっちゃ!になるので、ここでは考えないでおきました。
次回は「声優業」というものについて掘り下げてみたいと思います。
執筆:この記事はたかみゆきひささんのブログ『shadowcube』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年06月13日時点のものです。
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