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コンサルタントが指摘する「無謀な起業」

コンサルタントが指摘する「無謀な起業」
 ビジネスを立ち上げるということはとても難しいもの。成功の保証はないですし、うまく軌道に乗せるには凄まじい努力が必要だというイメージがあります。
 しかし、そうやって複雑に考えてしまえば、途端に難しくなるのもビジネス。シンプルな視点でするほうがいいと言うのは、これまでに40以上のビジネス立ち上げに携わってきた山中哲男さんです。
 山中哲男さんは著書『「あったらいいな」を実現するビジネスのつくり方―顧客に求められる圧倒的価値の創造メソッド』(パブラボ/刊)で、ビジネスを創る際の心がけや方法を伝授しています。今回はそんな山中さんに本書の内容をテーマにお話をうかがってきました。その後編をお伝えします。
(新刊JP編集部)

―これまでのご経験から、事業を起こす時に「やってはいけないこと」がありましたら教えていただければと思います。

山中:一歩目を大きく踏み出してしまうことです。どういうことかというと、サービス業やアパレルなど、店舗を持つタイプの起業に多いのですが、起業する人が持っている「理想のお店」のイメージをいきなり実現しようとしてしまうんです。
たとえば内装だとかデザインなどを理想に近づけようとして、「自己資金では足りないから融資を受けたい。事業計画書を作る手伝いをしてほしい」という相談が僕のところに来たりします。起業する方にとって、店舗は言ってみれば「自分の城」なので、理想的に近づけたい気持ちはわかるのですが、正直に言って無謀です。
特に多いということでサービス業を例に出しましたが、他の業種でもこういったことは起こります。あまり最初から形にこだわってしまうと、金銭面でも人材面でもロスが大きくなってしまうので注意が必要です。

―初動は小さくした方がいいと。

山中:そういうことです。全て整えてから始めるのではなく、今できることから小さく始めるのが大事ですね。
事業そのものについても、僕は起業家の「理想」ではなく、今ある技術や知識で確実に「できること」からやっていくように勧めています。今の時点でどんなことができて、どんなお客さんを満足させられるのかということを徹底的に考えて、実行に移すということから始めないと、後でクレームにつながりますし、顧客満足度も上がりません。最初は間口を広げすぎないことに気をつけてほしいですね。

―ビジネス立ち上げ後に突き当たりがちな壁にはどのようなものがありますか?

山中:やはり資金繰りのところだと思います。だからこそ、事業を興す前に「最低月の売上がいくらあれば運営していけるのか」という収益モデルと計画は立てておくべきです。
これがないと、事業を立ち上げた目的を忘れて「稼げればなんでもいい」という考えになりがちですし、そうなると結果として事業の間口を広げ、余計に資金繰りが苦しくなってしまいます。
先ほどのお話の繰り返しになりますが、まずは「今できることを確実にお金に換える」という意識が必要です。「こんなことをやりたい」という理想の部分は徐々に実現していけばいい。よく「事業はスピード感が大事」ということが言われますが、基盤ができていないとスピードは出せません。
事業を興す方も、立ち上げた当初はそれをわかっているんですけど、いざ走りはじめるとどうしても忘れがちになります。

―山中さんがこれまで立ち上げに関わった事業の失敗エピソードと成功エピソードを教えてください。

山中:昔はうまく立ち上あげられなかったビジネスもたくさんありました。そのほとんどは、僕が「人」について深く理解していなかったのが原因です。
以前、フリーの営業マンだとか、営業の空き時間に副業がしたいという営業マンが周りに結構いたんですよ。
僕は僕で、経営者の知り合いが仕事柄多いので、「商材」を持っている人はたくさん知っていました。そこで、両者をマッチさせたらビジネスになるんじゃないかと考えた。
「商材を求めている営業マン」と「商材を持っていて営業マンを求めている経営者」を引き合わせようとしたわけです。この計画を話すと、双方とも乗り気でした。
その勢いで始めてしまったのが失敗だったのですが、営業マンといってもそれぞれスタイルが違うんですよ。電話でアポイントを取って行く人もいれば、アポイントなしで飛び込む人もいますし、エリア限定でしか動けない人もいました。それぞれのスタイルも行動もバラバラで、僕もそれをきちんと把握していなかったので「この人の営業スタイルではこの商材は売れないだろうな」というケース出てきてしまった。結果としてうまく形にならなかったんです。
結局みんな契約が取れずに事業は自然消滅してしまったのですが、勢いだけで事業をやってはいけないといういい勉強になりました。

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