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書評:なくしたものとつながる生き方

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皆さんは母の日の由来をご存知ですか?

母の日は、ある娘さんが、亡くなったお母さんを忍び、母が通っていた教会で記念会を開き白いカーネーションを贈ったことが始まりとされています。1907年の話です。亡くなったお母さんは、南北戦争のあと、二度と戦場に夫や子供を送りたくない思いから立ち上がった活動家でもありました。

日本には母の日に母を思う気持ちを広める活動をしているリヴオン( http://www.live-on.me/ )という団体もあります。

リヴオンの代表を務める尾角光美さんは、母の日の活動にとどまらず、死別のグリーフをサポートする活動をされています。そんな彼女の著書「なくしたもの」とつながる生き方は、お寺の住職としても死別に苦しむ人々にお薦めしたい一冊でもあります。

自身の苦しみのみならず、多くの人々の苦しみと向き合ってきた彼女から発せられる言葉は、「わたし」という一人称から発せられる言葉で、とてもリアルに迫ってきます。

苦しむ人々にとって救いとなる言葉は日常に潜んでいます。「ご飯食べた?」「昨日は寝られた?」そんな日常の声掛けに救われた経験は皆さんにもおありではないでしょうか。

逆に日常には苦しみを増幅させるものが潜んでいることもあります。申込書類を書いている時に「緊急連絡先」を記入することを求められます。何気なく家族の名前、母親の名前と連絡先を書く方が多いのではないでしょうか?

そこには亡き母を思う気持ちがあふれる瞬間があります。

仏教の世界観は一切皆苦、すべてが苦しみです。苦しみは一様でなく、人それぞれに様々な苦しみが襲いかかってきます。人それぞれに体験を通じて感じた悲しみや苦しみを抱え、苦しみと向き合うことで感じた思いを他者とわかちあい、共有することで、苦しみとともに生きていくことができる。

苦しみを無くすのではなく、隠すのでもなく、どうやって折り合いをつけていくか。

「人はだれか特別な素晴らしい人によって救われるのではなく、自分と他者の間に生まれる関係や、つながりによって救われるのだと思います」この言葉を裏付ける沢山の人々との出会いがつまった本です。彼女の思考はとても仏教的であり、「ああ、立派なお坊さんと出会われたのだなぁ」と思わず手を合わせてしまう言葉とも出会えました。皆さん是非お手にとってお読みください。

そして今日は母の日。お母さんへの思いをご本人に、またはお仏壇に、お墓に、夜空に向かって、お伝え下さい。

松島靖朗拝


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松島靖朗:彼岸寺

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