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ネタバレをどう防止する? ユニークな研究の数々

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 今日は仕事や授業があるから、サッカー日本代表の試合は録画して帰ってから見よう。だから、サッカー情報は自分なりにすべて遮断して、帰宅後のサッカー観戦をワクワクしながら楽しみたい。
 そう思っていたのに、いつものくせでTwitterなどを見てしまい、友達のつぶやきで試合経過や結果を知ってしまう。あるいは、ニュースサイトのトップ画面でサッカー情報が目に入ってしまう。帰りの電車で隣にいた人の世間話が聞こえてきて、結果を知ってしまうこともある。
 その時の大きな落胆を経験したことがある人は多いのではないだろうか。

 『人を幸せにする目からウロコ!研究』(萩原一郎/編集、岩波書店/刊)は、そんなネタバレ防止が可能なブラウザをはじめ、折り紙にヒントを得た技術、柑橘の風味のする鮎など、ユニークな発想による数々の研究を紹介している一冊だ。

 冒頭のようなネタバレを何とかして防ごうと「ネタバレ防止」の研究をしているのが、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科准教授の中村聡史氏だ。
 人がネタバレ情報と遭遇する機会は多くあるが全てを遮ることは難しい。人の口に戸は立てられないし、テレビ番組のコンテンツはどのようなものが流れてくるか予測できない。なので、中村氏はネタバレ防止研究の第一歩目として、テキスト情報が存在するインターネット上のウェブページに含まれているネタバレ情報に注目し、そうしたネタバレ情報をユーザーから遮断する方法を検討した。

 では、どうしたらいいのか。多くの人は、プログラムでネタバレがある部分を判定し、その部分をウェブページ上から消し去ればいいと考えるかもしれない。ただ、この方法では、「〜が勝利」といった直接的な言葉ではなく、周囲の状況から「わかってしまう」「気づいてしまう」という問題を解決できない。
 例えば、日本代表のサッカーの試合が行われている時間帯にTwitterやLINEなどで日本人の友達が「やったー!」と書いているのを見たら、「日本代表のサッカーの試合について喜んでいるのでは?」と気づいてしまう。つまり、コンピュータが如何に高性能になっても、ネタバレ情報を100%検出することは難しい。こうした周辺情報から気づいてしまう人の力を考慮しつつ、ネタバレを防止する必要がある。

 そこで中村氏は、コンピュータによってネタバレ情報の検出度100%を目指すのではなく、人に勘違いさせる状況をつくり上げることで、結果的にネタバレを防止する方法を考えた。
 まずは「木の葉を隠すなら森の中手法」というもの。「日本代表が3−0で勝利」という記事があった場合に、「日本代表が2−3で敗戦」や「日本代表が0−0で引き分け」などの嘘の記事をウェブページの中に挿入するというもの。システムの利用者がネタバレ情報を見てしまっても、「どれが本当なのだろう」と思わせることを目的としている。
 次に考えたのが「結果反転手法」というもので、「日本代表が3−0で勝利」という記事があった場合に、ある一定の確率で「日本代表が3−0で勝利」のまま提示、または「日本代表が2−2で引き分け」「日本代表が0−5で敗戦」などに変換して提示するというもの。ユーザーに「日本代表の試合についてはネタバレ防止手法を適用していたんだった。この結果は本当かどうかがわからい」と思わせることを目的としている。
 人に対して、ネタバレを防止したいと考えている対象については、システムが嘘をつくこともあると思い込ませることによって、システムがネタバレとして検出しそびれて提示されてしまったネタバレ情報も、間違っているのではと考えさせることができるということだ。

 現在はスポーツの結果のみに注目しているが、小説の犯人の名前、映画の結末などのネタバレについても安心してウェブブイラウジングできる仕組みを実現する予定だという。
 本書ではこうした中村氏たちの研究をはじめ、さまざまな“ユニークな”研究を紹介している。私たち読者の脳を刺激する一冊だ。
(新刊JP編集部)



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