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「健康と長寿」の根源を語る12 なぜ、人間は「太る」のか?(中部大学教授 武田邦彦)

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「健康と長寿」の根源を語る12 なぜ、人間は「太る」のか?(中部大学教授 武田邦彦)

今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

「健康と長寿」の根源を語る12 なぜ、人間は「太る」のか?(中部大学教授 武田邦彦)

先日、「肥満の医学」に関する論文を少し読んでいたら、とても面白いものがあった。単なる医学ではなく、なかなか興味深い物だったので、その一部を紹介したい。

最初の論文は「人間は本来、太るはずはない」ということが書かれていた。動物はその動物に最適な体重にするために、おおくのシステムを持っていて、「これ以上、栄養を取る必要が無い」と言うことが判るようになっている。

だから、特殊な病気になった動物や、人間が無理矢理、餌を与える動物などを別にしたら、「太った動物」というのはいない。確かに群れをなして何1000匹で草原を歩いているヌーでも、シマウマでもその体型はほとんど同じである。目の前にあふれるほどの草(食料)があるのに、痩せたり太ったりしていない!!

「健康と長寿」の根源を語る12 なぜ、人間は「太る」のか?(中部大学教授 武田邦彦)

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2014/05/futoru.jpg

それに対して人間はBMI(肥満指数)で20以下のガリガリの人と、BMIが30以上の太った人がいる。いったい、これはどういう理由なのだろうか?と論文では問うている。研究の結果、人間も本来は太ることはできないが、頭脳が優先して必要も無い栄養を取ることがあるから太るという結論が書いてあった。

そうなると、人間が太るという要因が二つあることがわかる。一つが「体重を制御する能力が病気で破壊された」という状態で、これは体の病気だ。もう一つは、体の異常は無いが、頭脳が壊れているという場合だ。

多細胞動物が誕生して以来、は虫類まではDNA、つまり遺伝情報の方が優性だったが、哺乳動物になって僅かに頭脳情報が上回るようになり、さらに人類は脳が発達した哺乳動物よりさらに10倍程度の脳情報がある。だから、時に遺伝情報(生物としてのまともな情報)を脳情報が抑制することがあり、それが肥満の原因とされていた。

私の今までの経験などに良く合う。たとえば、健康な時に脂っこい物が美味しいし、不調になると食べたくなくなる。朝はあまり食欲がないが、栄養を使い切った夕方は何でも美味しい。お醤油を掛けたいときには血圧が低く、末端の血流が不足している時だ。

私の食欲制御はまともに行っているように見える。病気がちだった私も40歳ぐらいから今に至るまで、どんな生活をしても、何を食べても、たらふく食べても、食事を抜いても、いつでも62キロだったことを考えると、体は弱かったが、体重の制御装置は正常だったらしい。

「肥満防止」とは「心に病を持たず、美味しい物を美味しい、食べたいときには食べる」ということで良いのだろう。

もう一つは、「これ以上、栄養は取る必要は無い」ということをどこで感知しているかだ。一つは血中のグリコーゲンのようなもので、これは濃度を検出していると考えられている。その他にも人間の制御系だから、いろいろ工夫しているに相違ない。

でも、一つ疑問がある。食べ物を口に入れるときにはまだ体はその食べ物の影響を受けていない。食べてから少なくとも10分ぐらいは胃に入った食べ物の種類などを検知して、食べるのを制限するのにかかるだろう。そうすると、常に食べ過ぎの危険があるのではないか?

そう思っていたら、ある論文に「このぐらいで食べるのを止めよう」と感じるのは「血中の栄養」などではなく、「口の中で噛んだ回数」で分泌される物質によるとあった。そうか!!

生物界のさまざまな現象を勉強していると、あたかも複雑な仕組みのように見えて、実は単純な判定をしている時がある。これもその一つで食べるものがある程度一定なら、わざわざ栄養分を測定しなくても「噛む回数」だけで判定ができる。その方がエネルギーが要らない。

そうなると、肥満の原因は「食物が柔らかくなったから」とか、「甘い飲料はいくら飲んでも満腹感がない」からと思われてきた。近くにいた人が「俺はカレーを飲み込む」と言った。まさにカレーを飲み込むといくらでも食べることができるのだろう。

「動物はまれにしか肥満はいない」と言うことを考えると、人間が肥満する原因は、「頭脳優先の食事」と「噛まない食事」にあるようにも思える。だいたい、私は「朝食を採ると良いことがある」などは信じていない。食欲がないときには食べない。

執筆:この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年05月30日時点のものです。

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