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みんなの党代表・渡辺喜美氏は立件できるか? 専門家でも分かれる見解

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「DHCの会長から借りた8億円でかなり大きい熊手とかを買った」と、謎の主張をしているみんなの党代表・渡辺喜美氏。読売新聞の報道によれば、元・都議の男性が東京地方検察庁に渡辺氏を公職選挙法違反の疑いで刑事告発したという。

これを受けて2ちゃんねるでは、『【速報】渡辺喜美逮捕へ』というスレが立ち、「もう政治家なんかみんな逮捕しちゃえよ」「よくわからんがヤッター」など、渡辺氏が逮捕されたと誤解した人々が祭りをはじめている。

しかし、今回行われたのはあくまで「刑事告発」。逮捕・起訴とはぜんぜん違うものである。専門家(元検事の方々)の間では、今回の件が果たして逮捕までたどり着けるものかどうか、議論になっているのだ。そもそも、この「刑事告発」とは何なのだろうか?

刑事告発とは「通報しますた」!?

刑事告発を簡単に言うと、「犯罪人がいるので逮捕して欲しい」とお上に届け出ることである。届け出ることは誰でも出来る。要は「通報しますた」なのだ。刑事訴訟法第239条には次のようになっている。

何人(なんぴと)でも、犯罪があると思料(しりょう 注:「思う」と同じ)するときは、告発をすることができる。

法律条文をわかりやすく言えば、「だれでも犯罪があると思ったら、you告発しちゃいなyo!」(ジャニー喜多川風)ということだ。

告訴と告発の違いは、被害を受けた当事者かどうかの違い以外はないようだ。「被害届」は告訴・告発の軽いものである。字や雰囲気が似ているが、「起訴」とはぜんぜん違うものである。

起訴は、告訴・告発を受けて検察庁が捜査を行い、「これは間違いない。犯罪だ!」となった時に裁判所に訴えるものである。こうしてようやく裁判になって刑が確定するのだ。

更に言えば、告発したとしても捜査に着手するかどうかは、まだわからないのである。法律上は拒否できないはずなのだが、現実にはなかなか告発状を受け取ってもらえないケースがあるのだ。

現に2011年9月に起きた大津中二いじめ自殺事件では、被害者の親御さんの被害届の受理を警察が3度も拒んで問題となったが、今回も実は「告発状」が東京地検に渡っただけで、受理するかどうか検察庁で検討中としているのである。告発が受理されれば、法律上は捜査に着手することになる。これを「立件」という。

専門家の間でも立件可能か議論に。

専門家の間では、この告発が検察庁で立件されるかどうかについて議論になっている。立件可能としているのは、元大阪高等検察庁公安部長で現在は市民団体代表の三井環氏。立件困難と見ているのは、元東京地検検事の郷原信郎氏だ。

三井氏は今回の告発とは別に、自分でも刑事告発をすることを考えていると、『夕刊フジ』の記事で述べている。(http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140329/plt1403291455001-n1.htm)

元検察幹部で、現在は社会の不正を追及する市民団体「市民連帯の会」を主宰する三井氏も、「猪瀬氏のケースと非常に似ている。(中略)猪瀬氏より金額が多い分、悪質ともいえる。借り入れが選挙や政治活動に使われたと証明されれば、公選法違反か政治資金規正法違反に問われる。今回の場合、資金を提供した吉田会長が『選挙資金』と認めているため、証拠固めはしやすい。立件までのハードルはそれほど高くない。逮捕もあり得る」(中略)

三井氏は調査を重ねたうえで、渡辺氏を東京地検に告発することも視野に入れている。(中略)

「渡辺氏が党代表を務めているため、カネの流れを把握するため、全所属議員への事情聴取が行われるかもしれない。」

しかし、元東京地検検事(八王子支部副部長)で、現在は弁護士・大学教授の傍ら、多数の省庁の委員を務める郷原氏は立件について難しいとしている。自身のブログで以下のように述べている。(http://nobuogohara.wordpress.com/2014/03/27/)

「しかし、今回の渡辺代表が受けた資金提供については、公選法、政治資金規正法違反での立件には、多くの隘路があり、容易ではないことを指摘しておきたい。現時点で報道されている事実関係からは、刑事立件の可能性を前提に考えるべき事案とは言い難いのである。」(中略)

(以下、用途がはっきりしていた猪瀬直樹氏の事件とは今回の事件は違うケースであること、渡辺氏の借入金の用途がはっきりしないので「公職選挙法違反の選挙資金の寄附」なのか、「政治資金規正法の違反」なのか、立証が難しい等と述べる。)

「何の手続もとられることなく候補者個人に直接現金が提供されるというような典型的な「裏献金」の場合に立件が困難になることを、私は、かねてから指摘してきた。」

「(中略)政治的、道義的責任は別として、違法行為・犯罪として立件するのは相当困難だろうというのが率直な印象である。」

この事件はどうなっていくのであろうか。実はまだまだ、一山二山ありそうなのである。

ただし、刑罰逃れのために見苦しい振る舞いをすればするほど、人気商売の政治家の場合は余計に苦しい立場に追い込まれることも事実。過去には裁判で無罪になったが政治生命をほとんど絶たれた大物政治家もいた。簡単に罪を認めたほうが出直しに支障がなく、みそぎ選挙もやりやすい点は否めない。

(トップ画像は東京地検webページより)

※この記事はガジェ通ウェブライターの「松平東龍」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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