「イメージ力」と「才能」の意外な関係

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「イメージ力」と「才能」の意外な関係
 「自分の力はこんなものじゃない」「俺にはもっと大きな可能性がある」
 向上心の強い人ほどこんなことを考えるものですが、「では、自分の能力をフルに発揮するためにどんなことが必要なのか」というところまでわかっている人は多くありません。
 『あなたの潜在能力を100%引き出すたった1つの方法』(SBクリエイティブ/刊)の著者で、ポテンシャル・トレーナーとして教育・人材育成の分野で活躍する生田知久さんによると、そのポイントは「イメージ力」。
 眠っている才能を揺り起こして、自分の持てる能力を全て発揮するために「イメージ力」はどのような役割を果たすのでしょうか。
 今回は生田さんご本人にインタビュー。イメージと能力開発の関係を伺いました。

―今回は生田さんの著書『あなたの潜在能力を100%引き出すたった1つの方法』についてお話をうかがえればと思います。人間には自分でも気がついていない能力がたくさん眠っているというのはよく言われることですが、一般的な人の場合、持っている能力の何%くらいを使っているのでしょうか。

生田:この問いの答えは非常に難しいですね。あえてここでお応えするならば、「1%しか発揮されていない。」と言うのがベストでしょう。
例えば私は、バイオリンが弾けません。触ったこともありません。同じように、チェロも、フルートも弾けません。プロのバーテンダーのようにカクテルを作れません。テレビを作ることも、車のエンジンを作ることもできません。
そう、私には、「できる事」よりも「できない事」の方が圧倒的に多いのです。しかし、仮に今から10年その事だけに毎日10時間使ったらどうでしょうか?
1年間で約3600時間、10年で36000時間。約2万時間で「卓越性」の入り口に立つと言われているので、それなりの事ができるでしょう。
もしかしたら、今からでも、10時間×10年間やれば、ピアノのプロの駆け出しくらいには、なれるかもしれません。車のエンジンの基礎開発に携われるくらいの力にはなるかもしれません。
そう、私にも皆さんにも、10時間×10年コミットすれば、あらゆることが開かれる「可能性」がそこに存在しています。
「可能性」は「今できないこと」の中に存在しているのです。
という事は、出来ないことだらけの私達は、可能性に満ちています。そして、その可能性を追求していく過程で、潜在能力がたくさん開かれていくでしょう。
という訳で、問いの答えとしてあえて言うならば、「私達の潜在能力は、1%しか発揮されていない。」そして、「99%のできない事の全てが私達にとって可能性である。」
とお伝えしたいと思います。

―能力を100%使っている人とそうでない人の間には、考え方や行動においてどのような違いがありますか?

生田:ここは、本質的な問いですので、かなり本気で答えさせていただきます(笑)。
もちろん、様々な違いを感じますが、一番大切なのはその人がどれだけ本気か?と言う一点が大切です。そのためには、その人が持っているバイタリティーを爆発させられるかどうかがカギです。バイタリティーをつくり上げるのは、魂を込めた仕事や行動が取れるかどうかで決まります。そのためには、「職人魂」とか、「大和魂」などのように、「ワタシ魂」を作る必要がある。つまり、私は「何者でありたいのか?」というアイデンティティーを明確にすることがカギです。そのためには、自分のビジョンをヴジュアライゼーション体験のレベルで鮮明に描き、疑似体験することが大切。そして、「VISIONの“ビジュアライゼーションの世界”にいる私ってどんな私か?」と問い、私を定義つける事が大切です。

―本書では、能力をフルに使える人の共通点として「イメージ力」を挙げています。この「イメージ力」ですが、持てる才能を発揮するうえでどんな役割を果たすのでしょうか。

生田:能力を発揮するためには、2つのことが必要です。
1つ目は、能力を素早く「素早く習得」すること。
そして2つ目は、能力を効果的に使える「適切な戦略」を持つことです。
マラソンに例えるならば、まず走る能力を向上させる必要があります。足が遅かったらコースが合っていても結果は出ません。逆にどんなに足が速くとも、ゴールに到達する道筋であるコース(戦略)が間違っていては、ゴールにはたどり着けません。
この能力の「素早い習得」と、その能力を効果的に使う「適切な戦略」が必要なのです。
そして「イメージ力」はここで力を発揮します。
人間が物事を素早く習得するには、「イメージ」によって情報をインプットし、イメージによって処理することが圧倒的に習得力を高めます。詳細は本書に書かれておりますが、それは、脳の記憶のメカニズムと関連があります。たとえば、知的な学習であれば、英単語を覚えるなどの「意味」の学習になります。「意味記憶」は「エピソード記憶」とセットで強化されますので、頭の中のイメージによるエピソードが学習のカギとなります。
そして、スノーボードや、音楽など「手順記憶」を体が習得する必要がある場合は、「体感覚」が習得効果を高めます。そして、この体感覚を感じながら、脳内でイメージすることができると、実際の訓練と同程度の効果が得られるという実験もあります。そう、イメージ力を強化できれば、時間と場所の制約を受けずに、訓練量を増やし、成長速度を高めることができるのです。
ですから「イメージ力に」よって、「意味記憶」と「手順記憶」を圧倒的に強化できるので、「素早い習得」が可能になるのです。そして、イメージ力はすごくあいまいなので、本書では、具体的に「物語イメージ力」「イメージ体感力」「イメージ戦略力」など「10の基本イメージ力」をご紹介しています。
そして、「適切な戦略」について書きます。目的達成のためには、「明確なゴール」と、そのための「道筋」がしっかりと理解できる必要があります。そのためには、「ゴールへの地図」が必要不可欠です。
そして、このゴールへの地図を描くためには、「情報と知識を構造化」して、図解することがカギになります。「図解力」が「理解力」を作り、「理解力」が「考える力」の根幹をなすのです。
そして、情報を図解する際に大切なことが、理論でなくて「本当にそうなるの?」というツッコミ。それは、頭の中のイメージとして存在する「過去の物語」と「未来の物語」に照らし合わせて判断します。
「適切な戦略」を考えられる人は、アイデアを「頭の中のイメージの物語」でシミュレーションし、アイデアの精度を高めているのです。実際にはやってみないとわからない事が多いのですが、シミュレーションをできることで、より時間を効果的に使えるようになるのです。

結論:イメージ力が「素早い習得」と「適切な戦略」をもたらすことができるので、
「高めた能力」が「フルに発揮」されるようになるのです。そのためには、本書で紹介している10のイメージ力を習得することがカギになります。

―本の中には、現時点での「イメージ力」をチェックするテストがあります。特別なトレーニングをしていない状態で、人によって「イメージ力」に差が出るのにはどんな要因があるとお考えですか?

生田:「イメージする習慣」が“ある”か“ない”かが大きい要因です。たとえば私は幼稚園のころからイメージ力を使って、夢を自由自在に作る習慣を持っていました。思春期に恋愛がうまく行かない時期は、うまく行くイメージを妄想していました(笑)
他には、相手の話を聞くときに、頭のイメージでシーンを再現しながら聞く習慣。小説を読みながらその世界をイメージで描く習慣など。
このような習慣がある人は、自然と磨かれています。習慣がない人が一番気楽に習得できるのは、小説を読むことでしょう。文字から脳内のイメージを作り上げ、その世界を見ながら楽しむ習慣を持つと、楽しみながらイメージ力を習得できます。
(後編につづく)



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