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「新型スカイライン」の想定顧客 実は600人位しか実在しない?

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日産自動車は主力乗用車「スカイライン」を全面改良し、2014年2月末に発売すると発表した。月間販売目標は200台というが、この車の「ターゲット層」をめぐってネット上で話題になっている。

注目されているのは、同社の日本商品企画部の女性担当者が産経新聞の取材に答えた記事だ。「ターゲット層は?」という質問に対して、

「年齢でいうと40代前半の男性。共働きの奥さんがいて、娘が1人。外資系企業で管理職をしており、非常にタフな環境の第一戦(線)で活躍している人。都心のタワーマンションに住んでいる」

これが、新型スカイラインの顧客の姿だというのだが、そんな条件をすべて満たしたスーパーマンは本当に存在するのだろうか?

「架空のユーザー」を絞りすぎていないか
2007年頃から注目された手法に「ペルソナマーケティング」というものがある。「ペルソナ」とは、データを基に作り上げられた架空のユーザーのことだ。

年齢や性別、住所、職業、年収、価値観、ライフスタイルといった細かな要素を織り込み、典型的な顧客の「ペルソナ(人格)」を設定してから、それに合った商品やサービス、プロモーションを設計する会社が増えた。

顧客ニーズが多様化する社会では、不特定多数を対象にした商品を投入しても、誰にも刺さらないままに終わることがあるからだ。とはいえ、新型スカイラインの想定顧客は「絞りすぎ」との声も強い。ネット上には、

「ターゲット狭すぎw売る気あんのか」
「販売店の営業マンがかわいそうだわ」
「つまり外資系管理職じゃない奴はこの車買うなってことか」

といぶかる声が強まっている。

果たしてこれに合致する顧客は、国内にどれくらいいるのだろうか。キャリコネ編集部では、いわゆる「フェルミ推定」風のざっくりとした計算を試みた。「40代前半の男性」である労働力人口は、全国に459万人(労働力調査・2012年)。雇用形態別雇用者数(2013年10月)によれば、全男性労働者における正規職員の割合は78.4%。これで割ると、360万人になる。

管理職を務めている40代正社員は、城繁幸氏の「7割は課長になれません」(PHP新書)にならうと、このうち3割。108万人という計算になる。

外資系企業の雇用者は2.4%?
総務省統計局の家族類型別一般世帯数によると、結婚し子どもがいる世帯は全世帯のうち27.8%。残念ながら40代の統計はないのだが、ざっと6割くらいだろうか。これを掛けると64.8万人となる。

出生動向基本調査によると、2010年の子どもの数は1.96人。3分の1の世帯が一人っ子として21.6万人。さらに厚生労働省によると、出生時に女性である確率は約48%なので、「娘が1人」である人は10.4万人となる。

さらに「共働き」で「国産乗用車」に興味を持っていなければならない。労働力調査基本集計(2012年)では、共働き世帯である確率は35.8%。自動車情報サイトGoo-netの調査(2011年)では、次回購入予定の車を「国産車」と答えているのは71.1%。これで割ると、2万6472人になってしまった。

全雇用者数に占める外資系企業の雇用者の割合は、2004年と古いデータだが、JETROの「外資系企業雇用調査」によると2.4%。これを単純に掛け合わせると635人。新型スカイラインのターゲット顧客は、約600人と算出された。

「日本のメーカーなら大した高給はもらえない」
残された条件は「都心のタワーマンションに住む」人の割合だが、キャリコネ編集部があるヘッドハンターに取材したところ、高額不動産を購入できる40代前半の男性は、ほぼ外資系企業のマネジャーと考えてよいだろうということだった。

都心のタワマンは6000万円以上するので、1500万円程度の年収は欲しいところだ。しかし40代前半で1500万円以上の年収をもらう人は、いまや国内企業ではかなり少数である。

「大手メーカーでも部長になるには、40代後半にならないと難しい。もしもなれたとしても、年収は1200万円程度がいいところ。40代前半で1500万円を超えようと思ったら、やはり外資系でそれなりの実績を残さなければ難しいのでは」

ということで、約600人から先は絞り込む必要はなさそうだ。試算に雑なところがある点はご容赦いただきたいが、興味があれば読者の皆さまも別の試算をしていただければ幸いだ。

想定顧客がたった600人しかいないのであれば、新型スカイラインの販売台数は3か月で頭打ちになる。ただし40代をターゲットにした商品を、若作りしたいお金持ちのシルバー層がこぞって買うということも、いまの日本では十分にありうる。むしろ、そちらの方が有望だと思っていいかもしれない。

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