未来を切りひらく“未来力”を身につける方法

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未来を切りひらく“未来力”を身につける方法
 地上には高層ビルが林立し、その間をエアカ―や透明チューブに入った高速列車が駆け抜ける。海原にも巨大な海上都市が建設されている。
 仕事はもちろん、家事全般までロボットや電子計算によって作業が自動化されている。世界連邦が結成されて戦争はなくなり、人類はひとつで豊かで文化的な生活を手に入れている・・・。

 まだ20世紀当時の若者が描いた未来は、こんな感じではなかったのではないだろうか。当時の若者たちが大人となった21世紀の現在はどうだろう。ビルは林立し、ロボットが掃除をしてくれるようになったかもしれない。しかし、当時の未来像が当たっているとは言えない。戦争はなくならないし、貧困で苦しい生活をしている国、地域もたくさんある。

 これらの未来像は日本万国博覧会などが示した与えられた未来像だった。しかし、未来はひとつではないし、与えられるものでもない。自らつくるものなのだ。

 『未来力養成教室』(日本SF作家クラブ/編集、岩波書店/刊)では、想像力を使いこなし、自分の未来を切りひらく秘訣とは何か。未来を描くことなら、日本においても1、2であろう日本SF作家クラブの選ばれた9人がぞれぞれの10代を振り返りながら語る。

 科学技術の進歩こそが未来とも言えるものだが、それが実現できるのは、「こうなったらいいな」といった私たちの内側に未来を描く力があるからだ。個人個人が未来を作り出す妄想力と想像力が未来を作り出す力となるということだ。

 『鉄腕アトム』を例に挙げると、最初はアトムを見て、みんな「アトムが好き」だった。それが広がるにつれ、「あんなロボットが本当にいてくれるといいな」という憧れになった。その結果、アトムのようなロボットを作ってみたいという人を大勢生み出し、世界初の二本足で歩くロボットが日本で作り出された。二本足ロボットがいる現在、というのは、ある意味、作者の手塚虫さんが呼び寄せた、あるいは間接的に作り出した未来だと言える。それと同時に、アトムに憧れるみんなで作り上げたものでもある。

 待っていても、思い描いた未来が訪れる可能性は低い。何もしないで待っているくらいなら「○○があったらいいな」などと未来を想像してみてほしい。それを誰かと共有し、同じ夢をともに見る。それだけで、ほんの少しでも未来を作る力となるはずだ。そういった小さな積み重ねが理想の未来を作っていくのではないだろうか。
(新刊JP編集部)



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