【片山さん遭難事故】登山家が仲間を残して下山した過去を語る「最後は自分が生きて帰らなければならない」

access_time create folderエンタメ ガジェ通 デジタル・IT
noguchisan

25歳でエベレストへの登頂に成功し、七大陸すべての最高峰を世界最年少で登頂した記録を持つ野口健(のぐちけん)さんをご存知だろうか? 野口さんは登山家として有名な人物で、自身の『アルピニスト・野口健のブログ』を開設するなどインターネットでも積極的な活動をみせている。 そんな野口さんが、富士山で同僚と遭難した片山右京さんについて言及し、過去に自分も同じ経験をしたことを告白している

片山さんは自身の事務所のスタッフ2人と富士山に登山をしていたところ、極寒のため遭難。極限状態で止むを得ず片山さんだけが下山。片山さんは無事助かったものの、他の2人は残念ながら亡くなってしまった。詳細な状況はわかっていないが、片山さんが2人を残して下山したことに対して「正しい判断をした」という声があがっている。

野口さんも片山さんの遭難事故に対して、「右京さんが仲間を残したまま下山したのは間違えていなかったと思う。最後は生き延びなければならない。極めて冷たい表現に写るかもしれませんが、冒険では一部例外を除けば基本的には自己責任が求められるもの」とブログでコメントしている。

このまま “この場所” にとどまれば自分の命も危ない。そんな状況で片山さんは下山したとされているが、野口さんも同じような状況で仲間を残して下山した経験があると話している。その経験があるからこそ、「下山したのは間違えていなかった」と、片山さんの行動を理解できるわけだ。野口さんは自身のブログで、その “過去の経験” を語っている。報道陣から「片山さんが登山仲間を残したまま下山しましたが、どう思いますか!」という質問をされ、片山さんと過去の自分が重なり、辛く胸をえぐられる様な痛みを感じ、過去のことを思い出したのだという。

<野口さんの過去の経験>
何故ならば2年前私がチョモランマに登頂した日の出来事が頭の中を駆け廻っていたからだ。一緒に登頂した日本人登山家が下山開始直後に歩行困難となり、彼は私に向って「先に降りてください」と伝えてくるのだが、そんなこと出来るわけでもなく、そして次に「すぐに追いつくから先に降りていて」と。一緒にその場に留まるのか、それとも先に降るのか。あの標高で彼を背負って降りる事は不可能。つまり助ける事は出来ない。かといっていつまでも一緒にその場に留まっていれば自分もやられる。酸欠と究極の極寒の中、自分はどうするべきなのか、なかなか判断できないまま彼に声をかけ続けていた。どれほどの時間が経過したのか、「う~ん」と唸り声と共に彼の首がガクッとなり、そのまま脈が落ちた。私の手も寒さで悴んでいたので本当のところ、彼の脈が止まっていたのかどうか、正直分からない。しかし、最後は自分が生きて帰らなければならないと、彼に「自分はどうしても帰らなければならない。申し訳ない」と声をかけ、彼の体が落ちないように岩にロープで固定し下山を始めた。あの時の出来事が未だに何度も何度も夢に出てきます。今振り返ってみてもあの状況ではやはり助ける事は出来なかった。しかし、彼を残したまま下山した、置き去りにしてしまったことには変わりはない。※ブログより引用掲載(引用ここまで)

このような事故でマスコミが騒ぎ立てるのは仕方がないとしても、「片山さんが登山仲間を残したまま下山しましたが、どう思いますか!」という質問はあまりにも “浅はかな質問” である。片山さんを冷酷な判断(もしくは誤った判断)をした人物という方向にマスコミが持っていこうとしているような気がしてならない。登山家でなければわからない辛さ、そして経験者でなければわからない苦肉の選択、そして後に残る悲しみがあるはずだ。片山さんの判断は正しかったのか? 野口さんのコメントにあった「最後は自分が生きて帰らなければならない」という言葉が、その答えになりえるのではないだろうか。

■最近の注目記事
登山家が仲間を残して下山した過去を語る「最後は自分が生きて帰らねば」
平井理央アナがエッチ過ぎる服装でインタビュー! 視聴者から抗議
『ファイナルファンタジーXIV』のキャラクターが「エッチ過ぎる!」と評判
釣り番組がアメリカで「40年以上続いている理由」がわかる動画
『ファイナルファンタジーXIII』は秀逸なゲーム「楽しさの根本はバトル」

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 【片山さん遭難事故】登山家が仲間を残して下山した過去を語る「最後は自分が生きて帰らなければならない」
access_time create folderエンタメ ガジェ通 デジタル・IT
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。