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「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

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「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

今回はomaenotekiさんのブログ『戦争だ、90年代に戻してやる』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/403721をごらんください。

「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

発端となったのは某2chまとめサイトの記事でした。

『ベルセルク』連載終了で、信者が阿鼻叫喚でスレが崩壊wwwwww
http://blog.livedoor.jp/shonenmanga/archives/30868454.html

その記事の元となったスレッドにはヤングアニマル編集部からのお知らせという体裁で
「ベルセルク」の連載が不本意な形で終了する
という情報が書き込まれていました。以下がその文面です。

「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/08/01.jpg

当然、スレ住人は敏感に反応します。

「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴 「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
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悲観にくれる者、せせら笑う者、生贄を望むものなどが噴出し、まさに阿鼻叫喚です。

そしてこの情報は、まとめサイト経由でtwitterにも拡散します。

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twitterでも2ch同様に多くのファンが沸き返ります。

それも当然です。

「ベルセルク」という作品は1989年から24年にも渡って連載されている作品で、単行本の売り上げは2400万部にも達します。アニメ化・ゲーム化も幾度と無く為されており、最近も原作のストーリーを元に画3部作でアニメ映画化を果たすなど、単なる古典としてではなく現在進行形の人気を誇る大ヒット作品です。

それが、ストーリーに全くオチをつけないまま突然連載が終了されてしまう。単なる休載ではなく「完結」という言葉を用いて終わらせてしまう。そんなことになったら誰でも驚きます。ファンならなおさらです。

正直な話、最初にこの報に触れたときは僕も死ぬほどびっくりしました。

たしかに「ベルセルク」は現在7ヶ月ほど休載が続いており、ストーリーも重厚長大で、「完結できるのか?」とさんざん囁かれた漫画です。

さらに近年は「グイン・サーガ」の栗本薫先生や、「ゼロの使い魔」のヤマグチノボル先生が作品を完結させぬまま相次いで他界しており、「作家は永遠ではない」ということを否が応でも意識せざるを得ない状況でした。

しかし、同時にかすかな違和感もありました。

7ヶ月も連載を中断してケロリとしてる漫画が、いまさら作者の体調不良ごときで「連載中断」、ましてや「完結」などという措置を採るだろうか?

出版界の常識からすればありえません。

たとえば「BASTARD!!」は2001年以降3年に1冊程度しか単行本が発行されませんし、「ガラスの仮面」など41巻が出てから42巻が出るまでに6年の歳月を要しています。他にも「十二国記」や「ファイブスター物語」など、漫画界にはあまりにも単行本が出ないため完結が危ぶまれている作品が多々あり、しかも人気作品である以上それが許されるのが漫画出版の世界なのです。

そんな作品があるなか、「ベルセルク」のような超人気タイトルに限って「作者の体調不良が原因での連載終了」はありえないように思われました。

というわけでネタ元を調べてみると

デマであることが明白な、あまりにもお粗末なソースからこの情報が拡散していることがわかりました。

ネタ元の記事*1をよーく読んでみてください。

*1:「『ベルセルク』連載終了!?で、信者が阿鼻叫喚でスレが崩壊wwwwww」 2013年08月18日 『SHONEN漫画速報』
http://blog.livedoor.jp/shonenmanga/archives/30868454.html

まず第1に

・ 情報ソースが皆無であること。
「ヤングアニマル編集部」より「愛読者の皆様へのお知らせ」という体裁で書かれていますが、それを示すようなURLや雑誌のスキャンなどは皆無です。どこの誰ともわからない人間が「こういうお知らせがあった」と言っているに過ぎません。

第2に

・ 投稿日が古すぎること
投稿日が2013年7月26日となっています。今日の日付が8月19日なわけですから、20日以上も前の情報です。ベルセルクほどの人気作の打ち切り情報が20日以上もネットで無視されることがありうるでしょうか?あり得ません。

この時点で僕は、ベルセルク打ち切りの報は何者かが流したデマであると確信しました。

しかしTLの「ベルセルク打ち切り」の報は止まりません。もう少しでトレンドに入るんじゃねえか?というくらい拡散に次ぐ拡散で、勢いが衰える気配はありません。そこで、あえてデマにカウンターデマをぶつけることで、どんな反応が帰ってくるのかを見てみよう、と思い立ちました。

という名目で情弱を馬鹿にして遊ぶことにしました

僕の作ったデマがこれです。

「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/08/08.jpg

・ 情報ソースが皆無であること
・ 投稿時間(日曜深夜)が明らかにおかしいこと

という点で、拡散された「連載終了」のデマと情報の信ぴょう性は全く変わりません。

僕の作ったデマツイートにも雑誌のスキャンや信頼出来るサイトのURLはありませんし、日曜日の深夜に電話で問い合わせをするというのも普通に考えれば無理そうです。

さてどうなるかな、と放流したところ。

50分で400RTを超えるほど拡散してしまいました

「ベルセルク」連載終了騒動 嘘つきと情報弱者が織り成す<蝕>の宴

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/08/09.jpg

RTしたひとの中にはまとめブログのデマに憤る方インターネットリテラシーについて高らかに語っている方なども多く散見されたことは記録に残しておきたいと思います。

はっきり言いますが、あなたたちの情報リテラシーはまとめブログのデマに踊っている人たちと何も変わりません。

いい加減ヤバイなと思ったのですぐに釣り宣言をしたのですが、虚偽の情報に踊った自分よりも虚偽の情報を流した僕に噛み付く人間が多かったのは残念だなと思います。

もちろん、僕は意図的にデマを流したわけであって、基本的に「悪い」のは僕です。

しかし僕が「悪い」のと同程度に、このデマに騙された皆さんの頭が「悪い」のも事実だと思います。

偽情報というのは今回のように「悪意ある人間が意図的に流す」というものよりも「善意から間違った情報を流す」「意図せぬミスで間違った情報を流してしまう」というパターンの方が圧倒的に多いです。

例えば日本の有名な流言事件だと、

・ トイレットペーパー枯渇事件
・ 豊川信用金庫事件

などが有名ですが、それらには今回の件のような「黒幕」は存在しません。

豊川信用金庫の事件に至っては女子高生の雑談が引き金で起こった事件と言われています。

というわけで、僕を悪しざまに罵るのはいくらやってもらっても構わないのですが、僕に腹を立てるのと同時に僕に騙された自分自身にも腹を立ててほしいと思うのです。

デマは時に多くの人間の命を奪う蛮行の引き金にもなりえます。

あなたはそんな時も「情報を流した側」に全ての責任を押し付け、自分のリテラシーについては全く顧みないのでしょうか?

今回の事件があなたの情報リテラシーについて、ほんの少しでも省みる機会をになればと願っています。

執筆: この記事はomaenotekiさんのブログ『戦争だ、90年代に戻してやる』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年08月23日時点のものです。

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記者:

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