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「加護亜依」使用は本人でも商標侵害にあたる?

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「加護亜依」商標登録の効力がおよぶ範囲

元モーニング娘。でタレントの加護亜依さんの独立に関して、前所属事務所側が「加護亜依」の名前をすでに商標登録していることを根拠に、この名前で活動した場合の道義的責任を追及する意向を示しています。このような争いには複数の具体的事情や契約法上の側面がありますが、ここでは商標法に絞って考えてみます。

まず、基本的なこととして、商標登録は「指定商品・役務」とセットという点です。「加護亜依」が商標登録されていても、「指定商品・役務」と同一か類似の範囲にしか効力はおよびません。登録商標(第5287159号)は、第41類「演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、歌唱の上演、ダンスの演出又は上演、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、放送番組の制作」と、教育関係を指定役務としています。したがって、加護亜依さんがTシャツや文房具、携帯ストラップなどの「加護亜依グッズ」を売ることには、商標法上の問題はありません。これらの商品は、商標登録されている指定役務とは同一でも類似でもないからです。

商標権をめぐる加護亜依側に有利な二つのポイント

しかし争点は、独立した加護亜依さんが「加護亜依」としてテレビ番組に出演したり、歌を歌ったりする場合です。これについては、二つのポイントが鍵を握ります。一つは商標権の効力です。実は商標権は、「指定商品・役務」の範囲内でも効力に制限があります。商標法26条1項1号は「自己の肖像又は自己の氏名・・・を普通に用いられる方法で表示する商標」には商標権の効力がおよばないとしています。「加護亜依」は加護亜依さんにとって「自己の氏名」です(※1)。それを「普通に用いられる方法で表示する」限り、商標権はおよびません。

二つ目は、そもそもアーティスト名・タレント名の表示が商標的使用となるのかという点です。以前、指定商品を「印刷物」とする登録商標「POS」に対し、第三者が「POS実践マニュアル」というタイトルの書籍を販売したケースで、後者は当該書籍の内容を示すものであり、「出所表示機能を有しない態様で使用されているため商標権侵害にあたらない」とした判例がありました。これらのことは加護亜依さん側には有利といえるでしょう。

商標登録は無効か?不正競争防止法に抵触か?

ただ、芸能活動の場合、事務所を介して活動するため、新所属事務所が「加護亜依」という氏名を使ってテレビ番組に出演させたり、歌を歌わせたりするのは、26条1項1号には該当しないのではないかとも考えられます。また、商標的使用か否かについては、単純に否とも言えないでしょう。

加護亜依さん側に立てば、上記二点の他に、そもそもこの商標登録は無効だという主張があり得ます。しかし、前所属事務所側からすれば、不正競争防止法に基づく主張が考えられます。いずれにしても、タレントの氏名には財産的価値があり、単純に個人の名前という根拠であっさり解決するのは難しいといわざるをえません。

※1:前所属事務所側は商標登録時、加護亜依さんは母親の旧姓「池田」を名乗っていたと主張しているようです。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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