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迷子のペットを捜すペット探偵が見た“犬の涙”

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 犬は目の病気などで目ヤニや涙が出ることはありますが、一般的に「悲しさや嬉しさなどの感情で涙を流すことはない」とされています。
 「ペット探偵」という職業があることをご存じですか? 迷子になったペットを探す“ペット探偵”の藤原博史さんは、その犬の涙を数回、見たことがあるというのです。その中でも特に印象に残っているのが、ある“クリスマス・イブの再会劇”だったそうです。

 12月の半ば、暮れも押し迫った慌ただしい時期。
 新井さんという60代の夫婦が藤原さんの元に訪れ、リンという3歳になるオスの大型犬を探して欲しいと依頼します。散歩中、たまたま通りかかったノーリードの犬に飛びかかられて、びっくりして逃げ出してしまったそうなのです。その後、新井さんご夫妻は情報提供を求めるポスターを作ったり、保健所や警察、動物病院などに問い合わせたりしながら、3週間ほとんど毎日、リンを捜しまわっていましたが、全く手がかりはつかめませんでした。

 藤原さんもリンの捜索に乗り出しますが、なかなか情報が集まらないまま1週間が過ぎます。少し前からひいていた風邪がひどくなりつつあり、そろそろ体力の限界にも差しかかってきた…そんなある日、「似た犬を最近、近くで見かける」という電話が藤原さんの元に入ります。
 体の節々の痛みやだるさに耐えながら、目撃情報を頼りに捜索する藤原さん。しかし、なかなか見つかりません。一日でも休めればいいのだけど…と思いながらも、その翌日のクリスマス・イブの日も再び外に出て、捜索を始めます。

 そんなとき「今まさに目の前を通っていきましたよ」という目撃情報が入ってきます。すぐその現場に向かうと、ガリガリに痩せた大型犬が住宅街をトボトボと歩いていました。行方不明から一カ月も経過しているのですから、身も心も衰弱しているのでしょう。やせてあばら骨は浮き、写真よりも細く見えました。
 リンが人見知りだと聞いていた藤原さんは、新井さんを現場に呼びます。どうやらリンは自分の家を探しているようでした。確かにその付近には新井さんの家と同じような外観の住宅が並んでいます。
 少し経ち、新井さん夫妻が現場にやってきました。そして、「リン!」「リンちゃん!」と呼びかけます。
 リンは新井さん夫妻の声の方を振り向き、その姿を認めると、目からボロボロと涙をこぼしたのです。
 新井さん夫妻は藤原さんに礼を言うと、病院に急いで向かいました。一方の藤原さんの身体も衰弱しきっており、病院に駆け込むと「肺炎直前の気管支炎」と診断され、数日間の入院を余議なくされたそうです。入院中に思い出すのは、あのときのリンの涙。その涙が、藤原さんの孤独な入院生活を温めてくれたのでした。

 上記のエピソードを収録している『ペット探偵は見た!』(扶桑社/刊)には、ペット探偵歴15年の藤原さんによる、ペットにまつわる“事件簿”がつまっています。
 奇妙な失踪をした猫、歌舞伎町のど真ん中でペット捜索、捜索依頼後に連絡が取れなくなった依頼者…。動物たちの行動には驚かされることが多いですが、本書では驚きに加えて、笑いあり涙ありのペット救出劇がつづられており、ペットを飼っている人もそうでない人も楽しめるはずです。
 また、ペットが行方不明になったときにどうすればいいのかという対策や捜索ポイントも載っていて、飼い主にとっては実用性も高い一冊といえるでしょう。
(新刊JP編集部)



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