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憲法は自民党改憲草案でどう変わる?

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あまり知られていない?自民党の憲法改正草案
自民党は「憲法を国民の手に取り戻す」のスローガンのもと、「憲法改正草案」を公表しています。先日の参議院議員選挙で自民党が圧勝したこともあって、今後、憲法改正への動きが活発化すると思われます。「国民主権・基本的人権の擁護・平和主義という、現行憲法の三本柱は尊重する」と自民党は明言していますが、自民党草案の具体的内容については一般的にあまり知られていません。マスコミが進んで取り上げてこなかったのも一つの原因でしょう。

たとえば「基本的人権の擁護」を概観してみると、現行憲法では「『公共の福祉』に反しない限り最大の尊重が必要」とされる基本的人権について、自民党草案では「『公益及び公の秩序』に反しない限り」という文言に置き換えられています。「公共の福祉」と「公益及び公の秩序」とは明らかに違います。「公共の福祉」とは、人権と人権がぶつかり合う場面での「調整原理」です。つまり「基本的人権」といえども、「他者の人権」を侵害してはならないことを意味し、これは「人権の内在的制約」と呼ばれています。一方、「『公益及び公の秩序』に反しない限り」とする自民党草案では、国や公共の利益・公共の秩序に反しない範囲でしか人権が尊重されないという意味にとらえられます。「個人の人権より、国や公共の利益・公共の秩序の方が優先される」という考え方が根底にあると言えるでしょう。

96条の先行改正は憲法改正手順における「禁じ手」
なお、憲法改正の発議要件を「衆議員・参議員それぞれの過半数」に緩和し、「国民投票」を通じて国民が憲法判断に参加しやすくする、という「96条改正案」は問題ありと言わざるを得ません。現行憲法は、改正手続が厳格な「硬性憲法」です。その最大の長所は、権力を掌握した者が憲法を都合良く書き換えるのを防げることです。権力が恣意的に行使され、国民の人権が侵害される危険は可能な限り回避する必要があります。その意味で、「まずは96条だけでも改正を」というのは、憲法改正の手順としては「禁じ手」です。「硬性憲法」を「軟性憲法」に変えることは、憲法が権力掌握者の恣意的権力行使を「縛る」ことを困難にし、その最高法規性をないがしろにするからです。

「9条問題」にどう決着をつけるか。まだまだ未完成の自民党草案
また、いわゆる「9条問題」は、現行憲法の解釈や改正の是非をめぐる意見が極めて強く対立するところです。自民党草案では、「自衛権を明記したうえ、国防軍を設置し、領土等の保全義務を規定する」としており、これらが「平和主義」に反するか否かが大きな論議を呼ぶでしょう。日本の現状と憲法条文との「かい離」をどのように埋めるかも大きな問題です。

最後に、この自民党草案について、一般国民はもとより、衆参両議院の議員ですら、正確に理解・把握できている人は多くないと思います。また、何よりも自民党草案はまだまだ未完成の段階にあると感じています。今後さらなる議論を重ねたうえで、「不磨の大典」に代わる立派な改正案に仕上げてほしいと期待します。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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