『gdgd妖精s』『直球表題ロボットアニメ』などを手掛けたCGショートアニメの鬼才・石舘光太郎『ガジェット通信』独占インタビュー

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石舘光太郎監督

石舘光太郎。アニメ監督、放送作家、脚本家。2011年『gdgd妖精s』の演出・脚本を務める。その後、『バックステージ・アイドル・ストーリー(BiS)』や『僕の妹は大阪おかん』、『直球表題ロボットアニメ』といったCG制作のショートギャグアニメを次々と手がける。CGアニメの利点を活かした見事な構成と脚本・演出から、現在、アニメファンのみならずアニメ業界からも注目を集める作家である。今回のインタビューでは先日放送終了した『直球表題ロボットアニメ』を中心に、石舘監督が手掛けたCGショートギャグアニメの制作秘話、さらには石舘監督自身の口から初めて語られるここだけの話など、石舘監督の作品に対する想いを熱く語っていただいた。

注釈:本文中の『gdgd妖精s』について特に言及がない場合は2011年放送の1期のこと。

――はじめまして。よろしくお願いします。

石舘:あっ、放送開始時にレビューで酷評されたガジェット通信さんですね(笑)よろしくお願いします。

――ははは、それを言われるとは……(苦笑)僕は結局全部視聴しているのですが、レビューの点数を悔い改めているところです(笑)早速ですが、石舘監督の最新作品である『直球表題ロボットアニメ』。つい先日最終回を迎えましたが、今のお気持ちはいかがですか?

石舘:今、パッケージの特典などを作っているのでいまいち終わった感じはないんですよね。NOTTVさん用の第13話とパッケージ特典用のコンテンツも先週収録したばかりなので、まだあまり終わった感じはしていないです。あ、この記事が載るのって最終回後ですよね?最終回はテレビ放映版と『ニコニコ動画』版で若干違うので是非どちらも観てみてください。

――『直球表題ロボットアニメ』のキャストが西明日香さん、荒川美穂さん、大久保瑠美さんの3人になったのはどうしてですか?

石舘:実は、すごく売れっ子の声優さんや有名な声優さんたちもオーディションに参加していただいていたんです。『gdgd妖精s』しかりですけど、こういう作品は、スタッフとキャストが一丸となって作り上げていく必要のある作品なものですから、そんな中からキャストさんも一番そういう熱意を持っていただけそうな方を選ばせて頂きました。単純にセールスの観点から考えれば、プロデューサー陣は出来ればすでにたくさんのお客さんを持っている有名な方を、という話をしていたのですが、僕としてはそういった忙しい方々が現場で率先して楽しくモノボケなんてやってくれるイメージが沸かなかったんですよね(笑)もう1パターン録らせてください、とか言いづらい(笑)そういうわけで、若手の方で、ちょうど注目を集め始めているモチベーションの高そうな人を選んでみました。あとはバランスですね。

ロボットアニメ

――僕も観ていてバランスがすごくいいと思いました。モリ(大久保瑠美さん)はAパートの成長が目立って、フジイ(西明日香さん)はAパートで定番の無茶ぶりを受け、カトウ(荒川美穂さん)はモノボケがうまくて。

石舘:いただいた資料を拝見拝聴しながら「きっとこういう人だろうなあ」と思ってキャスティングをさせていただきました。ところが蓋を開けてみると西さんが思ったより弾ける人だったり、荒川さんが思った以上に根っから真面目な人だったりと、そういうところがCパートのモノボケでアクセントになっているんだと思います。

――『gdgd妖精s』のときのキャスティングはどのように決まったのですか?

石舘:『gdgd妖精s』のときは実は僕はキャスティングに関わっていなくて。イメージでこういう方にやっていただいたら嬉しいです、という希望リストを出したぐらいであとは音響プロデューサーさんに一任しました。それで決まったのがあの3人でした。

――『gdgd妖精s』の配役はすごくぴったりはまっていましたよね。

石舘:そうなんです。『gdgd妖精s』のときは、あの3人(三森すずこさん、水原薫さん、明坂聡美さん)のキャスティングを頂いてから、ある程度その人のイメージに合わせてキャラクターを作ったので、最初に原案のイラストはあったんですけどキャラ付けはご本人に割りと近づけました。

――アニメファンとしては『直球表題ロボットアニメ』と『gdgd妖精s』をつい比べて観てしまいます。まずはキャラクターについて、『gdgd妖精s』が声優さん寄りとのことですが、『直球表題ロボットアニメ』はそうでない気がしました。

石舘:『直球表題ロボットアニメ』は、『gdgd妖精s』よりもその声優さんがまだ一回もやったことないだろうというキャスティングにわざとしたんです。こんな3DCGアニメだからこそ、他のアニメでは絶対にしないようなキャスティングにして、例えばその声優さんのことを好きなファンが「あの作品を買わないとあのキャラは絶対観られない」というようなところにフックをかけたかったんです。

――3ブロックに分かれているところも似ている点ですよね。

石舘:『直球表題ロボットアニメ』は『gdgd妖精s』と同じフォーマットで違うことをしようというコンセプトでもありました。『gdgd妖精s』はAパートとBパートが内容的につながっているわけでもなく、前の話が次の話につながることもないし、毎回好き勝手なテーマで話していて、1回1回がラジオみたいな全力投球のギャグものじゃないですか。そんな中で、作り手としては毎回毎回「なんだこれは!」って話題にしていかないとお客さんを取り込んでいけない、1回も負けられないトーナメント戦みたいな感じで作っていました。『直球表題ロボットアニメ』では『gdgd妖精s』で作ったものを全然違うものに作りなおしてみようと。一連のつながりを持った成長劇とでもいいますか。

――監督のTwitterでも“成長”について書かれておられましたが、どうして成長をテーマにしたのでしょうか?

石舘:理由はいろいろあります。まず、お客さん目線から見れば同じ内容だったらCGアニメよりも手書きで作ってくれたほうがありがたいじゃないですか。僕もアニメファンとしてそう思いますし。じゃあ、CGアニメじゃなきゃ出来ないことってなんだろう?っていうのを考えた時に“製作スピードが早い”というのと“低予算”というのが挙げられます。ただ、これだけだとお客さんには直接関係のないメリットなんですね。これをクリエイティブ的に考えると、まずプレスコ(収録した音声に映像を合わせる手法)に向いているんですよ。CGは細かい動きをつけることも得意ですし、作るスピードも早いので。ということは、アドリブにも向いているんですよ。現場での爆発的なおもしろさを作品に活かしやすいというメリットがあります。さらに、スピードが早いのでお客さん、視聴者との距離が近いんですね。作りながら反応を観て内容を変えることも出来るし、前回の収録を活かした天丼みたいなこともできる。そういうのを『gdgd妖精s』の時に感じて、これはCGアニメにしかできない、ユーザーにもメリットの有る部分だと感じました。

――なるほど。

石舘:毎度のことなんですが、収録時に初めてお会いする状態のキャストさんに「実はこの部分アドリブなんです」と言うとすごい反応をされます。「一応企画書には書いてあったと思うんですけど」とお伝えするんですが「それでも一応台本があるようなものだと思ってました」みたいな(笑)。そこからいろいろとレクチャーして、録らせていただいて、という状況なので声優さんたちも1回目からノリノリなわけはないんですよね。どうしても手探りな状態から入ることはわかっていたので、『gdgd妖精s』も1話を見返して頂いたらアフレ湖とかは絶対手探りな微妙な空気のはずですよ。12話まで観たものだから「3人はすごくアドリブが強い声優だ」って印象になってますけど序盤は絶対そんなことはありませんでした。かといってそれを最後まで観ている人たちに同じパッケージで観てもらうときに、どうしても物足りなく感じてしまうと思ったのでAパートのロボットたちの笑いに対する手探り感と、Cパートのキャストさんのアドリブに対する成長具合をリンクさせていけば、みんな徐々に楽しんでいける成長構造を作れるんじゃないか、と思ったので成長をテーマにしました。

石舘「1期の時にやった仕事をまったく評価されていないと感じた」

石舘光太郎監督

――『gdgd妖精s』の2期がありましたが、全く関わられていないんですか?

石舘:全然関わっていないです(笑)。

――1期と雰囲気が違ったので戸惑ってしまいました。2期に関わらなかった理由はお尋ねしてもよいのでしょうか。

石舘:えっと、こうして公の場で聞かれたのが初めてなもので、探り探りでよければ(笑)まず、僕が『gdgd妖精s』1期でやっていた仕事からお話しますね。僕は脚本とプレスコの音響監督をやっていて、キャラクターデザインの菅原そうたくんが映像監督としてアニメーションを作っていたんです。そうたくんは、先ほど申し上げたようなCGアニメのメリットを活かすために、リアルタイムスケジュールで映像を作っていたので他に何も手が回らない状態でした。あと、あまり萌え寄りのアニメやアニメファンたちのデリケートな気質には詳しくなかったので、作品全体に関わる演出判断は僕が主に行なっていました。でも僕もオタクの中に入るとだいぶガサツでデリカシーのない性格なもので、これに限って言えばあまり向いている仕事ではなかったと思いますが(笑)他にもプレスコ収録したものを放送尺に編集する、つまりディレクターとしての「編集権」を持っていたのも僕だったり、、オープニング・エンディング曲のイメージ伝えて直しなどをお願いしたり、作中の選曲&音効チェックや、キャラクターの表情の指示なども僕がやっていたんですね。

――かなりの部分を作られていたんですね。

石舘:加えて、映像監督だった菅原そうたくんはすごい天才なんですけど、独学なせいかすごく基本的なセオリーができていなかったりするんですよね。会話劇の最中にすごいカメラワークとか入れちゃったり、同じ構図でサイズ違いのカメラのスイッチングでキャラのポーズが変わっちゃってたり(笑)。そのすごい動きを入れると会話が耳に入らなくなるからやめてくれとか、空気感を伝えたいシーンだからここは3ショットにしてくれとか、そういうそうたくんのエキセントリックな天才ぶりを出来るだけ殺さないように、気になるところだけはフォローして作品としてまとめる、っていう全体的な演出も僕がやっていたんですね。なので、座組みとしては映像監督と演出がいるけど総合監督がいないという気持ちわるい感じになってしまっていたんです。僕もそうたくんも監督の仕事をしているけど、どちらか1人だけが監督というわけではないという。

ただ、1期のときはそうたくんのCGありきで始まった企画に、僕が途中から脚本家として参加しているうちにいろいろやらなくちゃいけない形になっていたので、クレジットの最後はそうたくんで良いですよ、ということだったんです。そこで2期が始まるにあたって、僕からプロデューサー陣に「棲み分けがややこしいから、今後は監督の名前を連名にしてもらえないか」と相談したところ、「もともと菅原そうたさんありきで始まった企画なので、我々としては2期は菅原そうたさんが単独で監督という座組みで進めていこうと思っている。なので2期は石舘さんには演出を降りてもらって、脚本家と音響監督に徹してもらいたい」と言われました。それだと残念ながら1期の時に僕がやった仕事をまったく評価されていないという印象になりますし、僕からすると悲しいかな、自分が関わっていると僕の作ったものを目の前でレイプされているような状態を現場で見続けるという居ても立ってもいられない状況になると思ったので、だったら僕は外してください、と言って外れることになったんです。

――結構デリケートな話題ですね……。

石舘:そうなんですよね。記事にするかどうかはお任せします(笑)。僕としては1期の仕事をあまり上層部に評価してもらえなかったのがショックです。2期で僕のお手伝いをしてもらうために誘ったはずの脚本家の太蔵くんにはとても申し訳ないことになってしまいました。

実はハードスケジュールだった『僕の妹は大阪おかん』

石舘光太郎監督

――同時期に『直球表題ロボットアニメ』のほかに『僕の妹は大阪おかん』という作品も放送されてましたが、初の(一応)原作付き作品ですね。

石舘:まだ僕がgdgd妖精sの2期から外れるなんていう話が出る前に、gdgdのプロデューサーのひとりから「こういう本が売れてるみたいなんだけど、これでアニメできません?」って話が来たのがきっかけでした。この本が売れているのは30代の女性だったので、最初はその層をターゲットにアニメを作る予定でプロジェクトを進めていたんです。ところが『gdgd妖精s』を買って頂いたような男性アニメファンの方に受けるアニメにしたいと言われ、だとしたらだいぶ変えなきゃダメだという話になりました。それでいろいろ考えた結果、ラノベっぽい妹ものに行き着きました。

――実際、原作はあってないようなものですね(笑)

石舘:豪華な声優陣をキャスティングしていただいたので、がんばらなきゃって思いはとても強かったのですが、実質3分半、フラッシュ製作、原作も一応あって原作に反することはしてはいけないという制約もあって、僕としては自由度の少ない環境でした。そんな中、エンディングの歌で遊んだり、井口さんに『らき☆すた』のくじらさんみたいな役回りをしてもらったり。あと、「でんがなまんがな」っていう決めフレーズを入れさせてもらいました(笑)

――後半は井口無双でしたね。「でんがなまんがな」はなんだったのでしょうか。

石舘:「でんがなまんがな」を入れることで、「そんなに本気で思ってるわけじゃないですからね、あくまでネタですよ!」っていう感じを出したくて入れました。本気で思ってたら「でんがなまんがな」なんて絶対入れないでしょう。コミカルに、おもしろおかしくやってますよ、っていうことを伝えたかったんです。そうそう、実は、『大阪おかん』は1日で録ってるんですよ。

――えっ?

石舘:全12話、1日で録ったんです。エンディングの歌も阿澄さんだけ残ってもらってその日に録ってます。あと、12話の収録とは別に特典用にもう1日だけとって、その日は1時間ぐらいで終わっちゃいました(笑)ほんとに当時僕も時間がなくて、台本も2日ちょっとで書き上げましたし。

――『大阪おかん』もハードだったんですね。

石舘:僕としてはアドリブ要素が盛り込めなかったり、収録日が同じ日だったので、声優さんたちがだんだん上達するということができなかったとか、ちょっとこだわり足りない不完全燃焼な部分はありましたけどね。それでも、こんなアニメファン向けのほのぼのギャグ5分アニメがあってもいいかな?と思えるものを作れたと思っています。あと、キャラクターはすごく良いキャラクターを作ってもらえたと思っています。原案をそうたくんに作ってもらって、そのCGをイラストレーターのpikomaroさんに2次元に描き下ろしてもらって。ツインテールでつるぺたな女の子をお願いしたんですけど、pikomaroさんと一緒に「大阪の女の子は多分がさつで、朝から髪なんて伸ばさないだろう」とか「でっかい髪留めをしたまま学校行っちゃうだろう」とかいろいろ案を出しあって出来上がりました。ヒロインの浪花はよく出来たキャラクターだと思います。阿澄さんのちょいエセ関西弁も含めて(笑)

――エセって言っちゃっていいんですか(笑)

石舘:これは僕の主観なんですけど、アニメの関西弁キャラクターが本意気のガチ関西弁でしゃべってたら引くと思うんですよ。リアリティありすぎて。だったら「エセだ」ってつっこまれるぐらいがちょうどいいな、って。でも、意外と視聴者からの最初の反応は「関西弁のイントネーションが違う」っていうマジレスリアクションが多くて驚きました。『直球表題ロボットアニメ』も最初の3話ぐらいはわざと不穏な空気を作ったつもりだったんですね。いつもだったら繋ぐところをわざとたどたどしい間に音声編集したりして。ギクシャクしてる感じを観て楽しむ、みたいなところから入りたいなと思ったんですけど、こういうのって意外と伝わらないもんですね(笑)勉強になりました。

――話を聞いていて、2週目を観る時は意図が伝わって楽しめるんじゃないかと思いました。

石舘:アニメファンって数々の挑戦的な作品を見て来て目が肥えているから新しい刺激に慣れてるじゃないですか。だから割と簡単に「なるほど、こういうことね」って分かっていただけると思っていたんですけど、そういうところは意外にみんな真面目なんだなって『大阪おかん』と『直球表題ロボットアニメ』の序盤に感じました。自分で言うのもなんですけど、『gdgd妖精s』を書いてた人が本気で書いてあれなわけがないじゃないですか。どんだけスランプなんだと(笑)

――確かにそうですね(笑)

石舘:『直球表題ロボットアニメ』は、趣味でやっているニコ生に、人形劇でやる声優バラエティっていう企画案をいただいて、「ロボットたちが失われた笑いを調査しているバラエティってどうですか?」って感じでユーザーさんと一緒に企画をもみながら話が進んだので、当初は人形劇でアドリブのトーク番組になるはずだったんです。そこにたまたまMMDでアニメをやりたい、という話がきたので生まれた作品なんです。別に『gdgd妖精s』をロボットでやろうとして始まったわけじゃなくて、設定を最大限活かせる構成を突き詰めた結果「あれ、これ『gdgd妖精s』だな」ってなって(笑)『gdgd妖精s』のときも必死に構成を考えたと思うんですけど、現状、15分枠のプレスコCGギャグアニメの良さを一番活かせるのはあの形が多分ベストなんだと思います。試しに例えばBブロックとかCブロックのない回をマンネリ防止で作ったりしますけど、なんか物足りないですもんね。なんなら物足りなさを視聴者の方々に再確認していただくためにも作ったりするんですけど。あれが何か黄金比なんでしょうね。だから多分今のところ僕が関わったCGアニメに関してはどの作品よりも、この構成が最大の発明なんだと思います。これを受けて、先ほどお話しした「このフォーマットで違うことをしよう」というコンセプトにたどり着きました。

石舘「かわいいこととおもしろいことが相乗効果を生む」

ロボットアニメ

――話は変わりますが、アニメを観ていて「これはやられた!」っていう作品はありますか?

石舘:いろんなのにやられっぱなしですよね。例えばベタですけど、『機動戦士ガンダム』が戦争っていう重い価値観をロボットものに持ち込んだときとか、『新世紀エヴァンゲリオン』がエキセントリックな演出の数々と、エンディングが毎回レコーディングし直してたのとかも衝撃的でしたし、こんな細かい所まで気が回る監督ってなんなんだと思ってびっくりしました。『涼宮ハルヒの憂鬱』も時系列無視して放送するのや、再放送しながら新エピソードを挟み込んでくるっていう発想にも、やられた、って思いましたし。『ひぐらしのなく頃に』もバッドエンド何回も見せられて全体が見えていくなんていうのも、すごく頭いいなと思いました。流行っているものには大体何かしらやられてますね。

――30分の作品を作られる予定はありますか?

石舘:今僕がやっているCGギャグアニメっていうのは、アドリブ満載のプレスコ収録に向いているというのと、そのスピード感のあるバラエティ的な製作スタイルでユーザーとの距離が近いということが手書きアニメに勝てる唯一の武器だと思います。なので、それを捨てるのであれば手書きでやれよって話になると思うんです。手書きのを作らせてもらえるなら30分のものもやってみたいと思うんですけど、CGだったらギャグもので15分が限界だな、って思います。僕のテーマは「かわいいこととおもしろいことが相乗効果を生む」という構造なんです。子猫とか赤ちゃんとか、転んだり変な顔するだけで笑っちゃうじゃないですか。ノーガードのところにうちこまれるパンチですね。かわいいこととおもしろいことってすごく相性がいいんですよ。「愛着」と「笑い」のかけ算です。『直球表題ロボットアニメ』でも後半にかけて徐々に体感していただいていることだと思いますけど、「かわいい、かもしれない」と思い始めた瞬間からおもしろさのボディブローがどんどん効いてきませんか?一回「あれ、かわいいぞ」と思った瞬間から不思議なことに全部おもしろく感じるんですよ。あのドーピングみたいな状態の内側に入ったらみんなが幸せになれるみたいな、夢の国ですよね。いつもせっかく可愛い女の子をモチーフにしているギャグアニメなので、その構造を作り上げる努力をしています。

――かわいいこととおもしろいことの相乗効果、いいですね。わかる気がします。

石舘:スタッフになかのとおるさんっていうアニメ業界で大ベテランの音響プロデューサーがいるんですが、そのなかのさんから「石舘さんのCGアニメを観て一番びっくりしたのはアニメ業界の中の人達ですよ」と言われました。アニメ業界の内側の人たちは、CGはツールの一つだったけどあんな使い方をするっていう発想はなかったそうで。すごく嬉しかったです。

――最後になりますが、今後の作品予定があれば教えてください。

石舘:今のところ秋に1本と、年明けに1本という話になっています。ちゃんとした目標というわけでもないですが、僕が「かわいいこととおもしろいことの相乗効果」を学んだ作品が『ぼのぼの』とか『サナギさん』といった4コマ漫画なんです。なので、まだアニメ化されていない『サナギさん』の方をいつかアニメ化したいなという夢はありますね。その時には今まで仕事をさせていただいたキャストさんたちに協力していただいて総動員できたら嬉しいな、という夢物語をときおり布団の中で考えています(笑)

――是非そちらも観てみたいです!それではありがとうございました。

石舘:ありがとうございました。

直球表題ロボットアニメ
http://www.robotanime.jp/
石舘光太郎(Twitter)
https://twitter.com/ISHIDATE_Kotaro[リンク]

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srbn

ネットで流行っているものを追いかけていたら、いつの間にかアニメ好きになっていました。 http://com.nicovideo.jp/community/co621

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