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自己啓発セミナーの巧妙なやり口とは

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 書店にある「自己啓発」の書棚に行くと、左から右までぎっしりと自己啓発書が並べられています。
 スキルアップをしたい、考え方を変えたい、ワンランク上に行きたい、人生を変えたい、そんなときに自己啓発は味方になるものですが、逆に入れ込み過ぎるとただお金だけが飛んでいき、人生や仕事をおかしくしてしまう危険性もあるんです。

 ロングセラー『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』(マイナビ新書)の著者、齊藤正明さんが自己啓発の教材やセミナーに注ぎ込んだ額は、なんと600万円以上。就職した直後から研究所の所長の執拗なイジメに悩まされ、人間関係を良くしようと、藁にもすがる思いで記憶力がアップするというカセットテープ教材(なんと150万円!)に手を出します。そして、そのままズルズルと自己啓発の世界に埋もれていくのです。
 そんな齊藤さんの自己啓発にどっぷり浸かった日々と、その顛末が書かれているのが『「自己啓発」は私を啓発しない』(齊藤正明/著、マイナビ新書)です。今回は本書の中から蟻地獄のように抜け出せなくなる自己啓発セミナーの手口についてご紹介します。

■50代の社長が罵倒される…異様なセミナー会場
 なかなか所長との関係が上手くいかない齊藤さんは、経営者に相談したところ、セミナーを紹介されます。しかし、どんな内容か聞いても「先に教えてしまうと効果がなくなるから、詳しくは言えない」といわれるばかり。端から見るとどう考えても怪しいのですが、所長との関係が改善できるなら、ということから参加費8万円のそのセミナーに参加することにしました。

 セミナー会場は都内のビル。そこには200人ほどが集まり、50代の男性が講師として登壇。その講義は「まったく飽きのこない立派なもの」に見えたといいます。
 しかし、齊藤さんの話の端々から「これはおかしいんじゃないか」と思ってしまう点が見受けられます。例えば、このセミナーは3日間にわたるものでしたが、その3日間で何度も行われたのがこのやりとりです。

受講生「するか、しないか、迷ったらヤル!」
講師A「まだまだです! はい、もう一回」
受講生「するか、しないか、迷ったらヤル!」
講師A「まだまだ、小さい!」
受講生(以下略)

 このやりとりにどんな意味があるのかは分かりませんが、齊藤さんは「勉強にはなるな」と思っていたそうです。
 また、少しでも積極性の見られない受講者には容赦なく雷が落とされます。それは齊藤さんが「人がこんなに怒られているのは見たことがありませんでした」と振り返るくらいです。しかも怒られているのは50代の社長。
 そんな風に、意図がわからないゲームが続き、3日間が過ぎていきました。

■中級、そして上級セミナーへと進ませる手口とは?
 3日間にわたるセミナーが終わる頃になると、受講生たちはみな、セミナー開始前では考えられない行動力と積極性を身に付けます。
 しかし、これでセミナーは終わりませんでした。実は4日目があったのです。4日目は面接が行われるのですが、そこに現れた面接官と3日間で学んだことを話したあと、こんなことを言われたそうです。

面接官「過去の自分に気付いたわけですが、そんな自分にサヨウナラをして、新しい積極的に動ける自分になる必要がありますよね?」
齊藤さん「は、はい」
面接官「それには、次の『中級コース』に参加して・・・」

 ここで登場した新たなトラップ「中級コース」。
 参加料は最初のコースのほぼ倍となる約15万円。お金がないため参加に前向きになれなかった齊藤さんを見抜いたのか、面接官は「お金が厳しいからこそ、工面して何とかする。これが成功体験となって、より上のステージに行けるんです」と圧力をかけます。
 結果、齊藤さんは中級コース、そして上級コースも受講することになります。ここでは詳しい説明を省きますが、とにかく「なぜ誰もその状況に疑問を持たないのか」と思うものばかり。さらに、上級コースでは「周囲の人間を初級コースに勧誘する」という任務が課せられます。

 ここで紹介したのは、自己啓発セミナーのやり口ですが、本書は他にも様々な「自己啓発」商材の体験談が書かれています。
 純粋にハマってしまった人の視点で書かれているので、「自己啓発セミナー潜入体験ルポ」のような本とはまた別の角度で、その実態を読むことができる本書。仕事や生活に悩み、自己啓発セミナーを受けてみようと考えている人は読んでみて、本当に受けるべきか再考してみるのも良いかもしれません。
(新刊JP編集部)



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