秋元康氏「日本を発信するプロデューサーが必要」 第三回クールジャパン推進会議ハイライト(2013年4月30日)
2013年4月30日16時より、クールジャパン推進会議(第三回)が開催。稲田朋美内閣府特命担当大臣をはじめ、寺田稔内閣府副大臣、加治屋義人農林水産副大臣、山際大志郎内閣府大臣政務官、城内実外務大臣政務官、竹内譲財務大臣政務官、坂井学国土交通大臣政務官、民間からは秋元康氏、角川歴彦氏、金美齢氏、コシノジュンコ氏、佐竹力総氏、依田巽氏と、ポップカルチャーに関する分科会の議長を務めた中村伊知哉・慶応義塾大学大学院教授が出席しました。こちら会議の各氏の発言を抜粋してお届けします。
※詳細な資料・内容・議事録は、内閣府ホームページをご確認下さい。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/cool_japan/
ポップカルチャーに関する分科会提言の報告
中村氏:ポップカルチャーが世界に飛び出す“発信力”の強化。このため「参加」「融合」「育成」という、みんなでつながって育てる3つが柱。アニメ・ゲーム・ファッションを支えているのは消費者と国内外のファンを活かす必要性と、伝統文化との「つながって」、人材と「育てる」環境を整える。資料には書いていないが、ファンサイトの多言語翻訳やキャラクターの人気投票、ポップカルチャー大使などのアイディアが出ている。政府には具体的な落とし込みと実行をお願いしたい。また私が議長を務めている知財戦略本部との連携も図っていただきたい。
金美齢氏「スピーディー・スイート・ストーリーが重要」
金氏:ポップカルチャーにまったく興味がないからわからない。スイーツは誰もが楽しいしノリがいい。安倍総理がトップセールスと言っていたが、クールジャパンも国をあげての売りだそうとしている。国として何ができるのかといえば、スケールメリットだろう。アクションプランを中心にするのならばスケールが大きくなければ意味がない。また、スピーディーにやらないと。根回しをやっていかなければいけないのをやめてもらいたい。スピーディーでスイートなストーリーを作ってもらいたい。
実は台湾から日本国籍を取り、日本人の愛し方愛され方を50数年やってきて、25年前に日本語学校を立ち上げた。日本語を勉強することで日本のよさを知ってほしい。日本人自身が日本素晴らしいと感じていないと伝えらないしクールジャパンなんてとてもいえない。日本人自身が日本の素晴らしさを認める。そこが難しい。
コシノジュンコ氏「日本はPRが下手。海外のデパートで日本イメージのウインドーディスプレーを」
コシノ氏:日本はPRが下手。どんなPRをすればいいのか、世界ではデパートの発信が大きく業界とのつながりはできる。日本のイメージをウインドーディスプレーにすればどうか。目で「美しい」と訴えることで世界中で見れる。コンテストで競って、日本ブームにするというPRはどうか。
日本は「手わざ」の文化。折り紙にしてもお寿司にしても、手で小さく作って大きく表現をする。外から見ると日本は素晴らしい。大変なオリジナリティがある。いちばんわかりやすいのが清潔さ。おしぼりにしても簡単なことだけれどオリジナリティがある。ニューヨークでお弁当が流行っているが、日本の独特の文化をもう一度自慢のものにする必要があるのでは。クールジャパンはあちこちで動いているのでそれをつなげる時。
佐竹力総氏「カルチャーとして日本食を売り出していく戦略を」
佐竹氏:海外において5万件以上の日本食レストランあるが、95%が外国人経営。急がなければならないものと腰をすえてやるもの、戦略をたてること、スピード感をもってやること、現地で調達するものを組み合わせるステップアップ感や、日本食文化を正しく伝られる人材が必要。
日本の食文化は四季を巡る心、おもてなしの心。懐石料理は難解だが、かつて『anan』や『non-no』で京都に行くキャンペーンをしてブームになった。カルチャーとして売っていくことを考えていく。海外でも弁当ボックスが流行しているので、「オーベント」(O-Bento)として売り出したらどうか。
角川歴彦氏「クールジャパンが立ち枯れないために人材育成を」
角川氏:いちばん難しいのは人材育成。東京国際映画祭を国が支援してほしいと知財本部で主張してその旨を入れてもらい10年になる。東京国際映画祭をすることによって、イベントをやり終える人材が育ってきた。人材育成という点では専門学校・大学を作るのが基本でいちばん確実。クールジャパンが立ち枯れないように。すでにゲームの分野では世界のベスト10に日本のゲームが入らなくなり立ち枯れになっている。アニメも制作現場では豊かではない。人材育成や待遇改善策が重要なので、国に頼りたいと思う。
今若者たちはデジタルネイティブで、情報機器を器用に活用する人たちが現れていて、今後日本の中核になっていく。彼らに健全な仕事を与えていき、創作の場でも与えられて行く。文部省が小中学生の履修科目にダンスを入れたが、誰の発案なのか興味がある。もと海外のものだが、沖縄の踊りなどアメリカの文化と融合しながら日本の文化にしている。ダンスをするひとたちもオタク。角川もグループをあげて教育の場をエンターティメントでやっている。
依田巽氏「韓国と比べると予算が少ない」
依田氏:クールジャパン立国宣言とクールジャパン立法をお願いしたい。ローマ字で「oishi」「kawaii」「kakkoii」など、クールジャパンをポップカルチャーのみならず、海外でオールジャパンの文化のすばらしさを伝えるアウトバウンドとインバウンド。それがサイクルになる。総務省で160億円の予算が出てきて、運用がはじまっていて、クールジャパン推進機構での500億円の予算は日本はじまって以来の投資だが、韓国などと比べるとこれでも足りない。
秋元康氏「個人をバックアップするだけでなく、オールジャパンでやらないと勝てない」
秋元氏:個人が発信するのをバックアップするだけでは勝てない。オールジャパンでみんながやらないと勝てない。サイトを作るといったことも大事だと思うが、ポップカルチャーだけでなく、大臣に渡された飴細工をきれいだなと思うような、きっかけが必要。飴細工の職人ががんばってもなかなか伝わらない。それこそアニメといっしょになってそれを映画館で販売して売ろうとか、何か新しい交流がないと育っていかない。プロデューサーが必要。あるひとが飴細工、ある人が場所、アニメやスイーツかもしれない。それを協力して陣頭指揮する方がやっていかないと。
「大好きな日本の愛し方」。クリエーターとプロデューサーの両方兼ねるのは難しい。画家は絵だけを描いて欲しい。画家タイプと画商タイプがいる。それ(作品)を伝える誰かが必要。飴細工が世の中に広めるためにはどうしたらいいか、それぞれの愛し方で日本を振り返ってみようということ。どこがハリウッドと違うアニメなのか、どこが音楽と違うものなのか。ほかの国のものとどう違うのか。それぞれの分野に長けた人たちで協力する方はたくさんいらっしゃる。
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
ウェブサイト: https://note.com/parsleymood
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