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心理の教室(3) 子どもが勉強したくなる方法(中部大学教授 武田邦彦)

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今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

心理の教室(3) 子どもが勉強したくなる方法(中部大学教授 武田邦彦)

お母さんなら誰しもが「もう少し子どもが勉強してくれたら」と願っていますが現実は簡単ではありません。お母さんが子どもの頃のことは棚に上げて・・・などと言ってはいけません。お母さんの愛というのはそう言うものだからです。

子どもが勉強したくなる、もしくはしたくなくなるというのを心理学的に考えるとどういうことだろうか? もちろん万能薬は無いけれど、いろいろ研究はされています。子どもの性質も千差万別で年齢によっても違うので、もちろん一概には言えませんが、子どもの心理を理解しておくことはムダでは無いと思います。

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余り勉強が好きでは無かった子どもが、何かの時に勉強をし始めたとします。読書でもスポーツでも何でも同じですが、子どもは何かのキッカケで興味を持つものです。

親から見ればそれはうれしいことですから、つい褒めたり、何か好きな物を買って上げたい気持ちになります。この気持ちは親の自然なことですから、そのこと自体は問題ないのですが、子どもにとっては意欲をそぐことになります。

心理学の慎重な研究を見ると、子どもを含めた人間が「やる気」になるのは「プレゼント」では無く、その人の心の中の「自己実現」であるとされていて、その結果はかなりくり返し証明されています。

「人間はやる気満々で生まれてくる」と言われますが、まさにその通りで、赤ちゃんは「やる気満々」なのです。ところが少しずつ物心がついてくると、大人が「これをやれ、あれをやれ」と指示してきます。

「指示をする」と言うだけなら、自己実現の意欲をそぐことにはならないのですが、親が「これをやりなさい」と言ったことをすると、困ることに「褒めてくれる」のです。でも子どもは「褒められるためにやっている」のではありません。あくまで人間としての自分の自己実現のためにやっただけのことです。

子どもが難しい問題に取り組んだとき、子どもの意欲をかき立てるのは次のうち、どれでしょうか?

1)「素晴らしい!」と褒めて、欲しがっていた物を買ってあげた。
2)「素晴らしい!」と褒めて、頭をなでた。
3)「へー、できたの?」と言ってにこっと笑う。
4)何にも言わない。
5)「そんなのできないの?」と皮肉を言う。
6)「ダメじゃ無いの!」と怒る。

心理学では3)(「へー、できたの?」とニコッと笑う)ぐらいが最も良いと考えられます。 1)では子どもは「せっかく自己実現しようとしているのに、それが物に変わってしまった」と思いますし、もちろん6)では「自分の自己実現のためにやっているのに、できないことが誰かに関係するの?」という事になるからです。

人間は「やる気満々で生まれる」ということは、「やる気はプレゼントと関係なく存在し、プレゼントをもらうより強い」ということであり、「プレゼントをもらうと、自己実現の意欲より物欲というより低い意欲に転換する」からです。

自己実現は物をもらうためでも無く、他人から褒められるためでもなく、自分自身のために自分がやるという人間の最も大切な心に根ざしているからです。 そしてどうしても褒めたかったり、ものを買ってやったりしたければ、「時々、ランダムに褒める」、「勉強したり努力したことと関係なく好きな物を買ってあげる」という事です。

「ランダム」とは「3回に一回」というように規則的では無く、あるときには毎回、あるときには5回に一回という具合に「不意に」褒めるのです。また「あなたの努力は物では替えられない」ということを示すためにも、物は努力と切り離すことです。

子どもは親の心理は直感的に良く理解できます.だから、ニコッと笑うだけで子どもはすべて(自分が自己実現したことを親が喜んでいる)と言うことを知るからです。

子どもの自己実現を何気なく手助けする・・・それが「孟母三遷の教え」であり、「教育環境」であり、「何気なく手の届くところにやりたいことがある」ということを考える親の知恵でもあります。

執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年04月10日時点のものです。

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