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世界から“貧困”がなくならない、驚くべき理由!

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 ローンの金利というと、どのくらいの利率を思い浮かべるだろうか。目的や種類によってさまざまではあるが、日本の場合、例えば住宅ローンは現在1〜2%の水準で、消費者ローンでも20%の上限がある。
 経済学者、ムハマド・ユヌス氏が1980年代に開発した「マイクロファイナンス」は、本来なら比較的低い金利で農村部の貧困層の就業支援を行うという、画期的なローンシステムのはずだった。ユヌス氏はこの功績が認められ、2006年にノーベル平和賞を受賞した。だが、ユヌス氏のまいた種は今、思わぬ事態を生んでしまっている。
 例えば金利の場合、マイクロファイナンス機関が顧客に課しているローンの年率は、なんと100%以上が一般的である。つまり、顧客は借りた額の倍返さなければならないのだ。このようなシステムは、本当に貧困解決に役立っているのだろうか? 朝日新聞出版から刊行された『世界は貧困を食いものにしている』(ヒュー・シンクレア/著、大田直子/訳)は、こういった業界の闇を、10年間マイクロファイナンス組織で勤めてきたエコノミストが暴いた告発書である。
 
 シンクレア氏は、マイクロファイナンスの社会的影響力と寄せられる期待の大きさについて、「ほぼ完全に理論上の話で現実は違う」と批判する。マイクロクレジットが貧困から人々を救い出していることを証明する根拠は驚くほど少ないのだ。
 シンクレア氏がマイクロファイナンスを批判するのは、メキシコ、モザンビーク、ナイジェリアなどで、その無秩序な実態を目の当たりにしてきたからである。顧客の貯蓄口座の利子を“間違って”計算するITシステムや、顧客一人当たりにかかる“法外な高さの経費”などを、記録に基づき詳細に告発している。

 では、それはマイクロファイナンス機関だけの問題なのだろうか? そうではない。調べていくと、投資家や格付け機関など、様々な人間の思惑が構造的に浮かび上がってくる。マイクロファイナンス機関への投資は「倫理的」と考えられるため、投資家の多くは税額控除を認められている。貧しい人々は金利の高いローンを組まされているのに、だ。もちろん、善意で投資をして貧困対策に役立てて欲しいと願う投資家もたくさんいるが、そんな彼らの思いが、融資を受ける人たちには届かないのである。

 ユヌス氏も、「いつかマイクロクレジットの血を引く高利貸しが生まれるとは思いもしなかった、金利は10〜15%に抑えるべきだ」と批判している。ところが、当のマイクロファイナンス機関の最大の投資家には、なんとユヌス氏が創設したグラミン銀行の財団の一つ、米国グラミン財団が名を連ねているのだ。

 マイクロファイナンスは貧しい人々から搾取するだけの存在に成り下がったのか?
 「正しく利用されれば役に立ちうるし、プラスの効果を上げられると確信している」。シンクレア氏は、徹底的にマイクロファイナンスの「闇」を描写しながらも、ひとすじの「光」への希望は捨てていない。
(新刊JP編集部)



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