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馬鹿の一つ覚えの構造改革

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今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

馬鹿の一つ覚えの構造改革

金融政策はしょせん虚妄で、真に日本経済を再生させるには構造改革が必要だ…という人が少なくない。しかし「構造改革」ってそもそもなんだろう。なんか「コミュニケーション能力」と同じで、誰も実態がわからない魔法の言葉なのではなかろうか。虚妄なのは構造改革の方だろう。

構造改革が言われ始めたのはいつだったろうか。中曽根首相の頃に、絶好調の日本経済の「黒字減らし」として、内需拡大が目標に掲げられたと思う。

すなわち日本の経済力が強すぎてアメリカが対日貿易赤字に耐えかねて、日本に圧力をかけてきた。円高ドル安誘導のプラザ合意もこの頃。最近は為替操作はけしからんとか言ってるけど、この頃はどの国もやってたんだけどねぇ。協調介入とかも。いつの間に「為替介入はけしからん」とかいうことになったんだ? 欧米はいつも自分たちに都合のいいルールを作って「ルールを守れ」と言うんだよね。

貿易黒字を減らすために、日本は輸出型経済ではなく内需型経済に切り替えていきましょうということになった。そのためにアメリカが日本にああしろこうしろと注文をつけたのが構造改革の始まりではなかろうか。

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そのうち日本はバブルが弾けて一気に不景気に。あれほどうるさかったアメリカも静かになり、今度は逆に日本の不況が世界経済に悪影響を与えているから、なんとかしろと文句を言ってきた。アメリカは呆れるほどわがまま。アメリカがプラザ合意で円高誘導したから、日本はこうなったのだろうが。

まあバブルはプラザ合意の対処を日本が結果的に誤ったためではある。円高になると輸出依存の日本経済は不況になるから、それを防ぐために金利を下げたわけだ。円高で強くなった円が、さらに金融緩和で大量に溢れたわけで、今から考えれば、そりゃバブルになるよね…。

日銀が金融緩和に消極的なのはこの時のトラウマではないかと思う。

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次に構造改革という言葉を聞いたのは小泉政権だったろうか。この時の「構造改革」とは、規制緩和だったように思う。とにかくいろんな規制を撤廃し、今まで保護されていた産業は自由競争の荒波に放り出す。それによって日本経済は再生するんだ、というのが小泉首相の考え。

んでその反動で、第一次安倍内閣の頃は、国民は小泉改革を批判してたんじゃなかったっけ? つまり構造改革を批判していたはず。行き過ぎた自由競争が弱者イジメになった、と。

で、まあいろいろあって安倍内閣は短命で潰れた(笑)。

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そしていままたアベノミクスに対抗する形で「構造改革」という言葉を聞くようになった。あれ? 第一次安倍内閣の頃は、小泉政権が進めた構造改革をみんな批判してたんじゃなかったっけ?(笑)。

そもそもまだ日本に「改革」すべきものが残ってるのだろうか。小泉改革でずいぶん規制緩和したよね。まだ緩和しきれない部分があるのだろうか。

それともいま「構造改革」と言ってる人たちは、また別の意味の構造改革を求めているのだろうか。ならばその構造改革の中身は何なのだろうか。どういう部分を改革すべきだというのか、もう少し具体的に言ってほしいものだ。

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中曽根総理の時代、そして小泉総理の時代から、日本を取り巻く世界情勢は変わった。中曽根総理の頃は確かに日米貿易摩擦が世界における大きな懸案だった。

しかし今は中国など当時はまだ経済発展していなかった国の台頭が問題になっている。正直、欧米も日本の内需拡大なんて、どうでもいいと思ってるのではなかろうか。もはやそんなこと日本に要求したことすら忘れているかもしれない。

日本の国内事情も劇的に変わった。円高にすれば輸出依存型から内需型経済になると言われたのは過去のこと。いまや中国や韓国の安い輸入品によって国内産業は壊滅寸前だ。内需拡大どころではない。

構造改革というのはもはや時代遅れなのだ。少なくとも内需拡大という意味での構造改革はもはや意味を持たない。言葉だけが後生大事に今も生き残っていて独り歩きしている。

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最近は競争力のある産業を行政が育成することを構造改革と呼んでるかのような主張をしている人もいる。でも具体的にどういう産業をどう育成するべきなのかという主張がないなら、それは単に「日本の競争力を高めるには、競争力のある産業を育成すればいい」と言ってるだけで、内容がないよね。

「競争力を高めるには、競争力を高める工夫をすればいい」というトートロジーにすぎない。つまり「もっと頑張ればなんとかなる」という精神論。いや、具体的な内容があるなら、まじめに聞くけどさ。

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よく金融政策をいじっても意味がない、実体経済が大事という。しかし考えが逆だと思う。むしろ日本の実力は十分あるのに、これまで金融政策がダメで足を引っ張っていた。その足枷が外れれば日本は実力をそのまま発揮できる。

日本企業のあれが悪いこれが悪いと自虐的に批判する人が多いが、そんなに日本企業が悪いものだろうか。世界の他の国と比べても、そこまで日本がひどいとは思えない。むしろEU諸国と比べればかなり上だろう。にも関わらず長年苦境にあえいでいたのは、すべて金融政策のせい。

1995年頃は円高だ大変だとみんな大騒ぎしてたはずなんだけどね。ところがずっと円高が続くうちに、それが異常だとは思わなくなってしまった。不思議だよね。だんだんとそれが普通だと思うようになってしまった。で、一生懸命他に理由を探そうとして、日本企業のあれが悪いこれが悪いといいだした。

いま「構造改革」だとか言っている人たちは、感覚が最低でも10年(小泉時代)、もしかしたら30年(中曽根時代)、遅れていると思うよ。中国などの新興国が台頭しなければ、いまでも内需拡大路線が正しかったかもしれないが、事情は変わった。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年04月01日時点のものです。

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